ドラマ「ペーパー・ハウス」の誤訳と、ネットフリックス字幕について。もうちょっと改善できれば・・・

ネットフリックスの人気ドラマ「ペーパー・ハウス」の誤訳について。シーズン2以降のネタバレもあるかと思います。

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ストーリーと矛盾する字幕。

問題の箇所はシーズン2の中盤。

シーズン2の途中で、造幣局を追い出され警察に連行されていたトーキョーが、仲間の手助けで脱出してふたたび造幣局に戻ってくる場面がある。ここをみてて違和感を覚えた人は多いのではないでしょうか。

というのも、トーキョーは警察に捕まったとき、このあと二度と造幣局に戻ることはなかった、とか言ってたはずだからです。見ていて、あーそっか、今後トーキョーは造幣局の外から警察を撹乱したりするのかな…なんて思った記憶があります。

だからトーキョーが造幣局に戻ってきた時なんで?って思った。あのときのセリフは一体何?って。ひょっとしてこのドラマ、毎回適当にストーリー考えてるのか…?

そんなわけはない。とすると、考えられるのは字幕が間違っている可能性だ。

調べてみた。

問題のエピソードはシーズン2の4話目。

シーズン2エピソード4の開始まもなく、警察に連行されるシーンのモノローグは日本語字幕では次のようになっている。

この時を境に私は永遠に造幣局を去った

やっぱり永遠に造幣局を去ったと明言している。そして、これはその後の展開と明らかに矛盾している。

では英語ではなんと言ってるのでしょうか。字幕を英語に切り替えてチェックしてみると、以下の通り。

If we took a photo of this moment, it could be my last memory of the Royal Mint of Spain.

意味は、この瞬間を写真に収めたら、私にとって造幣局の最後の記憶になってたかもしれない。って感じか。

日本語訳はもし、とかかもしれない、とかの仮定がすっとばされて完全な誤訳になってしまってますね。写真を撮ったら、っていう下りも省略されてるし。

ただ、もうひとつの可能性として、原語のスペイン語がおかしいということも考えられる。日本語字幕は辻褄の合わないスペイン語を忠実に訳していて、英語字幕は辻褄が合うように修正されたとか。

というわけでスペイン語字幕をみると、以下のようになっている。

Si hicieramos una foto de este momento, podria ser mi ultimo recuerdo de la Fabrica Nacional de Moneda y Timbre.

うん、やっぱりスペイン語でも英語字幕とほぼ一緒の意味になってますね。スペイン語はわかりませんが聞いた限りセリフとほぼ同じ字幕になっている。ちなみにグーグル翻訳で上の字幕を訳すと

この瞬間の写真を撮ったら、それは国の通貨と切手工場の私の最後の思い出かもしれません。

というわけで、日本語字幕の間違いであることがはっきりしました。

こういうことがあると、この箇所だけじゃなく、ドラマ全体の字幕に信用が置けなくなる。

実際、ほかにも微妙な点はいろいろある。

他の気になる箇所。

たとえばトーキョーとリオの年齢差。最初は12歳違う(一回り違うだったか?)というセリフがあるんだけど、その後15歳も違う、っていうセリフがどっかででてくる。どっちなんだ?それとも、単にすごく年が離れてるっていう比喩的な表現を変に訳出したのか?

あと、後半のシーズンで多用される「僕」「君」という人称代名詞。これも私とか俺とかあんたとかのほうがしっくりくる場面が多くてかなり違和感がある。ていうか人物によってはシーズン1では俺だったのが、僕になってたりする。

あるエピソードでは名前の表記にブレもあった。いつもはトーキョーなのに、トキオになっているエピソードがあったり、ムリーリョがムリロになってたり。ムリロって誰だ?って一瞬戸惑った。

あとちょっと配慮が足りないと思うのは、シーズン3序盤で「金」という文字にルビがないこと。おカネの意味なのかゴールドの意味なのか、大事なところなのではっきりさせたほうがいい。後のエピソードではちゃんと「きん」とルビが振られていた。

それからこれは字幕処理上のミスだと思うけど、ルビが地の文にでてきてしまっている回があった。「気胸ききょう」「金きん」みたいに。

ネットフリックスの字幕品質について。

このドラマだけの問題じゃないと思うんですけどね。

他の、たとえばドキュメンタリーの「アヨツィナパの43人」とか「City 40」とか、ちょっと字幕が変に思う箇所はある。

Amazonプライムビデオでも、一部の映画とかで字幕がめちゃくちゃだったと話題になったことがあった。ネットフリックスはそこまでむちゃくちゃなのはきかないけど、あれだけたくさんの作品がでていて全部字幕をつけて、さらに吹き替えもつけて、っていうのはなかなか大変だろうと思う。

どのくらいの数のスタッフ/会社が担当しているのかわからないけど、ドラマを通しての訳語の統一とかそのへんまで気を配ってもらえたらなあと思いました。

ちなみに全然関係ないけど、昔買った「Stalker Clear Sky」というゲームの翻訳が最悪だった。当時、マイナーなゲームは日本語版なんてないのも結構あった。これはパッケージに「日本語版」と堂々と書かれていたので買ってみたら、どこの学生バイトに訳させたのかというとんでもなくひどい訳だった。販売できるレベルに達してなかったような気がする。

まとめ

ネットフリックスではひどいってレベルのものはないと思う。でも縦書きの表記はなんとかしてほしい。縦書きのときのイタリック数字の処理がおかしくて見た目が変。ここは技術的になんとかなるんだったら、なおしてください。

 

 

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