アメリカン・ゴッズ 第2話「スプーンの秘密」の感想。スラブの荒ぶる神がアメリカで屠殺業。

イギリス人のニール・ゲイマン原作のアメリカが舞台の神々のドラマ、「アメリカン・ゴッズ」です。

原作のちょっとハードボイルド調の抑えた筆致と比べるとカラフルでにぎやかになったドラマ版。第2話では、ウェンズデイの用心棒になり、妻ローラの葬儀を済ませ、謎の男どもにぼこぼこにされたシャドウが、いよいよウェンズデイに連れられて目的も分からないまま出発します。

第2話のあらすじ

ウェンズデイは旧友あるいは腐れ縁らしいチェルノボグを訪れ、自分の計画に参加するよう誘う。チェルノボグははじめはいやがるが、参加を賭けてシャドウとのチェッカーの勝負をする。シャドウが勝てば、チェルノボグはウェンズデイの計画に参加し、ウェンズデイに従う。チェルノボグが勝てば、チェルノボグは巨大なハンマーでシャドウの頭をかち割る・・・。

感想。

第2話の冒頭でも、アメリカにやってきた神が紹介されます。アナンシという南アフリカの神です。時は1697年。アメリカに向かう奴隷船で、奴隷の一人が地元の神アナンシに呼びかけます。アナンシ、ここには捧げるものもないし、お供えもできないし、両手を鎖で繋がれ踊ることもできない。でもあなたは賢いから苦境から脱する方法をご存じのはず。この苦境から救ってくれたら、一生あなたのために歌い、お供えもします、と。

それに答えたのか、奴隷船の中に突如アナンシが登場。時代にそぐわない派手なお洒落スーツに身を包んだアナンシは、ぽかんとする奴隷たちに向かって、彼らがこれから先奴隷としてアメリカに売り飛ばされ、一生働かされ、子孫の代まで白人にこき使われる運命だと告げます。唯一いい話としては、子孫がつくるタバコがガンで白人を苦しめることくらい…。

これから先300年以上、白人による支配は続き、黒人は銃で撃たれるのだとアナンシは語り続けます。なかなかユーモアのあるお茶目な神ですが、聞いている奴隷にとっては笑っている場合ではない。

それに怒りをおぼえるのなら、いますぐ甲板に上がりオランダ人どもの喉を一人残らず掻き切り、船に火を放て!とアナンシ。でも、そんなことしたら俺たちも死んじゃう、と一人の奴隷が言うと、死んでるも同然だろ?せめて意義のあることに命を捧げろ、といい、アナンシは奴隷の鎖を断ち切ります。

で結局奴隷は反乱を起こし、船は焼かれる。そして、アナンシはバラバラになった船の木片に乗って、蜘蛛の姿でアメリカに流れ着く…。

この扇動っぷり、なかなかいい具合。アナンシ役の役者はオーランド・ジョーンズ。わりといろんな映画に出てて、コメディアンでもあるらしい。出演作には見てる映画もあるけどまったく覚えていない。アナンシといえばニール・ゲイマンの小説にもろアナンシを主題にした「アナンシの血脈」ってのがあるようです。

さて、葬儀を終え家の整理を終えたシャドウ。気持ちにけりを付け、ウェンズデイと一緒に次の目的地に向かいます。次の目的地はシカゴのボロいアパート。そこにすむチェルノボグに会い、ウェンズデイの計画に参加するように誘います。

チェルノボグはスラヴ神話の神で、死神。作中では巨大なハンマーを持ち粗暴な性格のようで、やっぱり過去にウェンズデイとは一悶着あった様子。

スラヴの神が安アパートで汚いランニングシャツ着て暮らしているというのもおかしな話ですが、牛の屠殺を生業としています。かつては自慢のハンマーで牛を一発で仕留めるテクニックがありましたが、ボルトハンマーが登場してからはすっかりハンマーも用なし、今の境遇に落ちぶれています。

この辺、かつての神がテクノロジーの発達によって力を失ったという状況があからさまに描写されているようです。

シカゴへの道中、ホームセンターに立ち寄るのですがそこでテレビ番組アイラヴルーシーの主人公がテレビの中からシャドウに語りかけます、私達の仲間になれと。

これが「新しい神々」なんですね。テレビとか携帯とかの現代のテクノロジーによって生まれた神々。ルーシーはさしずめその広報役といったところでしょうか。シャドウはまったく状況が分かっていませんが、要するにウェンズデイと、彼に対抗する新しい神々という構図が見えてきます。もっとも、作中ではその辺明らかにはしていないので、予備知識無しにみているとシャドウと同じくまったく意味不明かもしれない。

安アパートで、夕食のときにみんなで食卓を囲んでチェルノボグが自嘲気味に昔はよかったという話をするのですが、ハンマーで牛を一発で仕留めるとかおれは腕がいいとか、どう見ても「悪魔のいけにえ」ですね。

チェルノボグが一緒に住んでいるのはゾリャー・ウートレンニャヤ、ゾリャー・ヴェチェールニャヤ、ゾリャー・パルノーチニャヤの三姉妹で、占いで生計をたてている。三姉妹と言っても長女はもうしわくちゃのおばあさんで次女は中年、三女は汚れを知らない乙女といった出で立ちなので、とうていまともな人間とは思えない。もちろん、この三人も神なんですね。三女が昼間ずっと寝ているのは、彼女が夜の女神だから。長女は夜明けの、次女は夕暮れの神。

夕食後、チェルノボグとシャドウがチェッカーで勝負をする。チェッカーって、斜めにしか進めない白黒の駒で相手の駒をとるチェスとオセロが混ざったようなゲーム。このゲームで賭をすることになり、シャドウが勝ったらウェンズデイの計画に乗り、チェルノボグが勝ったら、自慢のハンマーでシャドウのドタマをかち割ることに決まります。そして勝負の結果は、なんとびっくり、チェルノボグの勝ち。血が一番良く出る日の出のころに、シャドウの頭をぶったたくことに…。

チェルノボグ役はピーター・ストーメア。ちょっといかがわしいおっさんの役がぴったりで、最初はてっきりこのひとがウェンズデイ役をやるのかと思った。いろいろな映画に出ていますが、ひげ面がよく似合う。

原作とはアナンシの登場とか細かいやりとりとか細部がいろいろ違いますが、ここまでは概ね同じ展開のようです。ようするに、ウェンズデイは新しい神々に対抗するために、チェルノボグとかの昔ながらの神を呼び集めているんですね。じゃウェンズデイはいったいだれなのか。分かる人には分かるけどまだ明言はされてない。とりあえず、神がどうとか分からないまま見ても、なかなか面白い。

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