プリズン・ブレイク シーズン5の感想。完結。

大人気脱獄ドラマシリーズ「プリズン・ブレイク」、長い時を経てシーズン5が登場した。シーズン4の終了が2009年ということなので、実に8年ぶりの新シリーズ。

どういう経緯で再開に至ったのかよくわからんのだけど、ウィキペディアを見たら主演のウェントワース・ミラーとドミニク・パーセルの何気ない提案にフォックスが満更でもない反応を示し、そこから具体的な計画が始まった、とある。これは意外でした。その後、ウェントワース・ミラーはシリーズを続けないことを明言してるし、あんまり乗り気じゃないのかなーと思っていました。

まあだいぶ時間もあいてるし、いままでのシリーズの続きというよりはリバイバル作品という位置づけで、エピソード数も全9話と短い。そして最大の疑問が、いったいいままでのシリーズとどうやって繋げるんだろう、という点。

以下、重大なネタバレ注意。

だって主人公ってシーズン4の最後で死んじゃってるよね。でもシーズン5にも主演で登場する。いったいどういうことだ。前日譚?双子の兄弟?

って興味深く見始めたのですが、なんのことはない、実は生きていたっていう設定でした。

どうやって生きてたか、そしてなぜ死を偽装したのかってところがシーズン前半のミステリーになりますが、もっともらしさやリアリティよりも商業的成功が優先されるエンターテインメント界を体現するような展開が続きます。このへんがプリズン・ブレイクというドラマの関心する点のひとつで、ありがち、無理やり、ご都合主義といった批判はとりあえずおいといて、どうやってドラマを盛り上げ、転がしていくか。いい勉強になります。

で、実際のストーリーなんですが。

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ウェントワース・ミラー降板の理由がよくわかる気がする

今までのシーズンとはちょっとトーンが違うような気がしますね。

そしてこれを見ると、主人公のウェントワース・ミラーが降板するっていった理由がよくわかるような。というより、ウェントワース・ミラーの気持ちが全面にでているような気がします。とくに前半。

ウェントワース・ミラーは同性愛者であることをカミングアウトし、プリズン・ブレイクも本シーズン後に降板することを発表しています。その理由は、ゲイなのにストレートの役をやるのに耐えられないからだそうです。

(これが奇異に聞こえるかどうかはなんとも言えない。昔、シェイクスピアとかのころの舞台は女役もすべて男がやっていたし、黒人役は白人が顔を塗って演じていた。いまはそういう縛りは一切ない。日本の歌舞伎や能楽では昔からの慣習が残っているが、あれらは特殊な伝統芸能という位置づけになっている。

しかし黒人役は黒人、アジア人役はアジア人が当たり前の時代でも、ゲイかどうかは見た目ではわからない。それを本物のゲイがやるべきというのは、犯罪者役は本当の犯罪者にやらせるべきという理屈にもつながって、どこまで納得感がえられるのかよくわからん。)

今シーズンはそんな主人公の気分がもろに表に出てきてるような感じがします。

まず、主人公が収監されているイエメンの刑務所、劣悪な環境なんですがここでは同性愛も罪で、同性愛者の若者シドが一緒に収監されています。で、かれは脱出中に死亡してしまう。

もうひとり、ジャという韓国人の囚人。変わった人物として描かれていますが監獄でもスマホを隠し持ってクイーンのライブ映像に見入ってボヘミアン・ラプソディーか何かを聞いている。どう考えてもゲイですよね。劇中ではそうとは描かれていないのですが、どう考えてもリアルのウェントワース・ミラーが投影されているように思えてしまう。

このジャは脱出劇の途中でたどり着くイエメンのどっかの田舎町で、そこにすむ人々、子どもたちの素直さなどにふれて、「ここには檻がない」みたいなことを言ってそこにとどまることを決める。

このあたりの、抑圧とそこからの解放と言った描写がどうしてもウェントワース・ミラーのカムアウトやなにかを連想してしまうんですわ。勝手な連想かもしれんけど、見ててそんな感じを受けました。

ストーリーは相変わらず二転三転するプリズン・ブレイクらしい展開

あ、それ以外のプロットは典型的なプリズン・ブレイクで、とくに後半シリーズのむちゃな展開を踏襲していて微笑ましく楽しめました。

冒頭でお兄ちゃんがただのチンピラになっちゃってるのも、え?前シリーズの彼女とかどうしたの?って感じでしたし、スクレやシーノート、ケラーマンまでもが再登場するのは同窓会みたいな雰囲気があってよかったです。もちろんTバッグも登場し、人気に比例したそこそこの役回りをあてがわれている。

マホーンが出てこないのは残念だけど、彼が出てくると一人でいろんな問題を解決してしまいそうな気がするのでまあ仕方ないか。

イエメンパートの後も、主人公とサラ(再婚してる)との再開とか、黒幕の正体とか、Tバッグの役割とか、全9エピソードに詰め込んでスピーディーに展開していきます。

まとめ

これでシリーズ完結となる最終シーズン。エピソード数も少なく、時間をおいた特別編って感じですが、ファンは締めくくりに見ざるを得ないでしょう。

正直、シーズン1が一番おもしろいドラマですが、キャラが立っていてシーズン3くらいまでは勢いで見られます。そこまで行けば、そんなに長いドラマじゃないので最後まで見てもいいか、って感じです。個人的には大満足でした。

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