アメリカン・ゴッズ シーズン2 前半の感想。

アメリカン・ゴッズシーズン2前半の感想。

一言で言うと、面白い。シーズン2からは原作とは離れてドラマ独自の展開がスタートしています。いろんな国、神話の神様がおちぶれた人の姿で登場するという異色な設定のドラマですが、シーズン1は半分くらいはその神々の紹介に費やされ、またストーリーそのものも、主人公であるシャドウとその主人となるウェンズデイがいったい何を目的にしてさまよっているのか明かされず、全体的に謎めいた部分の多いドラマになっていました。

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キャラクターが自由に動き始めている

で、シーズン2ですが、シーズン1から登場しているキャラクターがいよいよ個性的に活動し始め、キャラ同士の掛け合いも盛んになってきて見ていて普通に楽しめるドラマになっているように思います。

原作と比べるとキャラクターの独自な行動が多く、それぞれの会話も行動も生き生きとしているので、小説の作者がよくいう「キャラクターが勝手に動き出した」状態を見ているかのようです、いち視聴者が思うのもおかしいけれど。

ウェンズデイ=北欧神話の戦と死の神オーディンで、かれが旧来の神々を抱き込んで新世界の神(テクノロジー)から覇権を取り戻そうとする、という大枠は提示されています。まだまだウェンズデイの言動はなかなかとらえどころがなく、本人自体もやはり謎めいているので彼がどのようにことを進めているのか気になります。

何組かのパートに分かれて、それぞれが付かず離れずことを進めていきます。

ひとつはジンとサリム。二人はオーディンの武器、グングニルを取りに行くよう頼まれ、探しに行きます。ふたりともシーズン1からの再登場で、見せ場というほどのものはありませんが独立して行動する二人がでてくるのが面白い。神様としてそこに存在するジンがいうことより、イスラム教の教えに従うサリムが笑える。

もうひとつはシーズン1から続くレプラコーンとローラ。死人であるローラはシャドウに近づくため、さらに肉体を取り戻すために行動し、レプラコーンは幸運のコインをローラに奪われているため、やむなくついていくという格好。若干関係性は変化していっているように見えますが、基本的にレプラコーンのツイてなさが笑える。

もうひとつは主人公であるウェンズデイとシャドウ。ここで個人的に重要だと思うのはシャドウの過去が明かされること。それも、神々との争いという本筋とは関係のない、世界を転々としてフランスからアメリカに渡ってきた少年の頃のシャドウの思い出が描かれます。

ついにシャドウが主人公らしくなる

シャドウの少年時代のエピソードで、いままでどうも主体性がなく存在感の薄かったシャドウに一気に主役としての深みが出たと思います。アメリカに渡り、フランスからきたおしゃれな黒人ということでマイノリティの中でもマイノリティとしていじめられ、さらに母親を病気で亡くすシャドウ。結果的に罪を犯し服役することになったかれの境遇が、このドラマで描かれる旧来の神々と実は似たようなものである点もしっかりできてます。もちろん、少年時代から実はウェンズデイと因縁があったという伏線も張られています。

それからウェンズデイの過去のエピソードも。これは数十年前、第二次大戦直前ごろのアメリカが舞台で、ウェンズデイの息子トールについてのエピソードです。トールはキャバレーの舞台にたって怪力を使った芸を披露する芸人をしていて、結局ヨルムンガルドにやられるのではなく、自殺してしまう。ここでは、その頃すでに原題の神々の争いの予見があったことがわかります。

各種の神様が一通りでてきます。

他にも、シバの女王ことビルキスは原作よりもずっと重要な役になりそうだし、アナンシーもところどころに出没して相変わらずいい仕事しています。

ウェンズデイが「マネー」を味方に引き込もうとするのも笑える。たぶんお金を司る神なんでしょう。確かにこの時代そうとうな力を持っているように思いますが、そのイメージが典型的な会計士タイプのおじさんなのが妙に笑える。

他にもチェルノボグ、葬儀屋を営んでいるアイビス、ママジとかいろいろ出てきて、一通りのキャラは出てくる感じ。

相手方も、テクノ・ボーイがやや迷走し始めたりしてちょっと一波乱ありそうな感じ。わりとちょくちょく出てきたメディア役のジリアン・アンダーソンが降板してしまったのはどうするのかと思ったら、「アップデート」して新たに生まれ変わったということになりました。これは、新しい神々の性質からしてもまあOKでしょう。

で、新しいバージョンはアジア系の女子高生みたいなアイドルみたいなタイプなんだけど、きゃりーぱみゅぱみゅみたいなのではなくて渡辺直美を参考にしたようなぽっちゃり系でした。

こっち陣営も、たとえばメディアがシーズン1では狂言回し以上の役割を当たらえれていなかったのに比べると、より積極的な行動がみられるような気がします。

全シーズンにあった、冒頭の神々の渡米エピソードがないのは残念かな。あれはすごく手がかかってそうだったし、面白かったので。

まとめ

全体の筋としてはまだ動き始めてはいませんが、そんなこんなでなかなかおもしろいです。そして全体を黒人に代表される虐げられたマイノリティの話として敷衍しているところもなかなか良くできているな、と感じられるところです。

というわけで、たぶん半分くらいまで見たので、続きもまた時間のあるときに見てみます。グッド・オーメンズもあるし、早くみたいんだけど時間があるかな。

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