「ストレンジャー・シングス」シーズン3の感想。さらに勢いがよく面白くなっています。いろいろスッキリせず、続きが気になる。

やっぱり面白い。

シーズン3になってさらにのりが良くなって、キャラが立ってきて行動に勢いが増している気がする。それが時々悪ノリに感じられるところもあるんだけど、全体的に安定感があってシーズン通して楽しく見ていられる。

安定感というのは、物語のトーンというか主人公たちが遭遇する危機の質にもあって、シーズン1、2で時折見られた深刻さはかなり鳴りを潜めて、よりコミカルな雰囲気に。

物語の続き方としては、シーズン2終了からそれほど間をおいていない。子どもたちのすこやかな成長ぶりにおどろきます。とくに主人公のマイク役のフィン・ヴォルフハルトは背が伸びたね。もうひとりの主人公、エルも大人っぽくなっている。

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王道のストーリー。

前シーズンで異世界とつながっていた実験施設は破壊されて閉鎖されたはずなんだけど、実は化け物が一匹まだ残っていて、ふたたび町に危機が迫る、というストーリー。まあ、順当な当たり前なお話で特筆すべきところはないんだけど、それをどういうシチュエーションで描き、それぞれの登場人物にどのような役割を与えるかというところがみどころかな。

どのキャラも概ねきちんと機能していると思います。全体的にテンポがよく、多少不自然であったり雑な感じがする運びもあるけれど勢いで見られます。

80年代の雰囲気が結構感じられる。映像の雰囲気も、使われているネタ的にも。

おおきなモチーフとしては、ソ連共産主義の脅威があって、そのものズバリのソ連の秘密基地とか、人が化け物に精神を乗っ取られて操られるという1951年版の「遊星よりの物体X」とか、「SF/ボディ・スナッチャー」があるみたい。

ソ連が黒幕とかの話はもうかつての定番で、ソ連が崩壊した今となっては古びた感じを否めない…と思いきや、レトロフィーチャーな本作ではむしろ悪役としてのソ連自体がひとつのネタとして楽しまれています。このへんの雰囲気がなかなかよくて、とくに最初の数話は舞台になっている1980年代の再現度がかなり高くてそういう面でも楽しめます。でも、ソ連とか共産主義とかレトロっぷりはあくまで添えで、別に知らなくてもかまわない要素。

それから敵役の人はターミネーターを意識してるんですよね?

ただ、80年をそのまま再現してるわけではなくて、ロビンとスティーブの関係とか、新聞社でまともに相手にされないナンシーとか、マイノリティやパワハラに関するものも意図的に入れられているみたい。

登場人物たち。

今回、シーズン2で初登場の転校生の兄妹が結構中心になって、さらに新しい人物が出てくる。一人は4人組の一人ルーカスの妹で、生意気だけどそれに見合う頭の良さを持つ少女。もうひとりは舞台の一つになるショッピングモールにあるアイスクリームショップの店員、ロビン。彼女はそこでスティーブの同僚として働いている。

スティーブはシーズン1ではちょっと不良っぽい役だったけど、シーズン2では巻き込まれる形で少年たちと一緒に化け物と戦ってた。シーズン3ではすっかり3枚目に。なかなかの変貌ぶりです。彼とロビンはだいたいセットで行動していて、組織の秘密に迫る重要な役割を果たすんだけど、このへんは結構なデタラメぶりでロビンが語学に堪能でソ連の秘密の暗号を解読するという流れ。

シーズン2で登場したビリーとマックスの兄妹は、兄のビリーが異次元の化け物に操られる手先になってしまうということでかなり出番が多くなっている。前回は正直あんまり出てきてなかった気がするので、このシリーズが見せ場ということですね。

ロビン役はマヤ・ホーク。ユマ・サーマンの娘で、たしかにそんな感じがします。俳優はこのドラマが初?

ほかにもシーズン2で登場した陰謀論にそまった変人も登場して、ソ連の科学者と絡んで物語をにぎやかにしてくれます。

お決まりの展開が心地いい。

シーズン3ではお決まりの展開とか定石通りの展開がままあって、というかこのドラマシリーズ自体がそういうむかしの懐かしい映画を再現する方向で作られているので、衝撃的な作品とかエポックメイキングな作品とかではないんだけど、昔のB級映画の楽しさを詰め込んでいるというか。タルいって思う人もいるかもしれないけど、個人的にはこの定番すぎる展開が見ていて心地いい。

たとえばエドガー・ライト監督の「ショーン・オブ・ザ・デッド」とか「ベイビー・ドライバー」とかも、結果的にそういうかつて自分が熱中した映画のいいところを再現することになった映画の一つだと思うんだけど、ストレンジャー・シングスはもっとあからさまに、オリジナリティを出すことに拘らず過去の再現を狙って作っている気がする。そして、全体に気遣いが行き届いているというか、熱量が感じられるし、成功していると思う。

それにどこかで見たようなモチーフや設定の寄せ集めであっても、作っているうちに作者の個性は否応なく出てくるもの。いろんなネタもパクリではなくオマージュとして消化することでストレンジャー・シングスはなんだかんだでオリジナルなドラマになってると思います。

シーズン4も決定。

ちょっとあとを引く終わり方でしたが、シーズン4も制作決定したみたいであの人はまだ生きてるんですよね。気になります。

シーズン4のティーザーがほんの数十秒のものだけど公開されてます。

シーズン3を見終わればわかることですが、舞台が今までの町を離れてさらに広がるようです。それから、ネタバレですが異次元のデモゴルゴンがまだ秘密基地に存在するらしいので、当然それとの戦いがメインストーリーになるんでしょう。ただ、人間関係という面でも様々な変化がおきたので、時期的にも人と人との距離的にも連続していたこれまでのシーズンとはかわり、どういう始まり方をするのかが気になるところです。

以上、感想でした。

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