「アメリカン・クライム・ストーリー」シーズン1、「O・J・シンプソン事件」の感想。

ネットフリックスで「アメリカン・クライム・ストーリー O・J・シンプソン事件」を見ました。

なんの予備知識もなかったので、最初は実在の事件をネタにした安っぽいドキュメンタリーか何かかと思って見なかったのですが、ある日暇つぶしに見たら、予想とは全く違って非常に丁寧に作られた傑作ドラマでした。

全10話。ついつい、まとめて一気に見てしまった。

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ドラマの元ネタは有名なO・J・シンプソン事件

ネタはO・J・シンプソン事件。シンプソンはアメフトのスター選手で、映画にも出たりしてた有名人だったので、事件当時は話題になったようです。しかしその頃はネットも今のようには普及しておらず、詳細はわかりませんでした。たしか無罪になったよね、という程度の記憶しかありません。ジョンベネちゃん殺害事件というのもすごく話題になり、日本でもいろいろ報道されていましたが、やっぱり細部は覚えていません。一時的に話題になったとしても、興味がないことなんて所詮たいして記憶に残らないものですね。

「アメリカン・クライム・ストーリー」はそのO・J・シンプソン事件をドラマ化したもの。関係者はまだ生きてるし、実際の裁判はすべて記録に残っているし、下手な脚色はしづらいのでは、とか思うのですが、これ見てると、どうも実際の事件と裁判そのものが下手なドラマより面白い、劇的な展開を見せてるんですね。こりゃ話題になったわけだ。

いろいろな要素を無駄なくてきぱき演出、法廷劇+αのおもしろさ

そしてドラマの演出、見せ方も上手い。メインは法廷でのやりとりなので裁判に至るまでの準備と、裁判が始まってからの検察vs弁護側の議論の応酬がキッチリ描かれるんですが、そこに絡んでくる要素をはっきり際だたせて各話のハイライトにしているので、テンポもよくわかりやすい。

  • 殺人容疑で収監された国民的スター・・・本当にやったのかどうか
  • 盤石と思われた検察側の証拠のほころび
  • 著名な黒人弁護士を弁護側につけたことで変わり始める弁護側の作戦
  • 弁護チーム内の不和
  • シンプソンの親友だった男の心の移ろい
  • 長期化する裁判に次第に嫌気がさしてくる陪審員たち

とか、裁判内外のいろいろな出来事が出来して全10話あっというまに見ることができます。

裁判の過程

肝心の弁護側vs検察側のバトルも、100%有罪間違いなしで楽に片付くはずだった事件が思わぬ展開を見せ始め、実話ではなく作られたドラマを見ているよう。

アメリカの裁判の仕組みは日本とはまた全然違うと思いますが、司法取引で決着するのが多いようです。シンプソン事件の場合も、当初弁護側は司法取引によってなるべく軽い刑になるよう交渉するつもりだったようです。しかし、無罪を主張するシンプソンに従って、司法取引ではなく陪審員による審理が行われることになります。

陪審員制度では、結果は有罪か無罪かの2択。そしてそれを判断するのは市民から選ばれた陪審員たち。ここで、人種の問題なんかが重要になってきます。

司法取引だったら(シンプソンが罪を認めていれば)、裁判官の量刑だけの問題になりますが、陪審員相手となると、いかに相手の心に訴え、自分たちの証拠を納得してもらえるかがポイントになります。

そして裁判の過程で、はじめは完全な有罪の証拠のように思えた検察側の証拠に徐々にボロが見えはじめ、警察側のありえないミスというか失態によって一気に心証が悪くなる。

検察側と弁護側の人間模様

時々可哀想に思えるほど、どんどん形勢が悪くなる検察側。かといって常に劣勢に立たされているわけではなく、時々は反撃に出て士気を高めたりもします。検察官は女性で、一緒に裁判を担当する部下は黒人。二人のやりとりや、二人の上司とのやりとりを通じて、検察側のおかれた立場、状況なんかも透けてみえます。

弁護側も順風満帆ではなく、仕切りたがりやの主席弁護士と、後から参加してやがて弁護側を仕切るようになる黒人弁護士との対立など、なかなか一枚岩にはいきません。弁護側もみな個性的で、演じる役者もお互いに引き立て合うように個性的な演技をしているように思えます。

印象的なのは、シンプソンの親友でもあった弁護士。当然、真っ先に弁護に名乗りを上げ、収監中のシンプソンにもたびたび面会に行くのですが、かれはやがてシンプソンを信用できなくなってしまいます。つまり親友でありながら、あるいは親友だからこそ?シンプソンが本当はやったのではないかという疑念を抱くようになります・・・。

まとめと感想。

ずいぶん評判もいいようで、それもなっとくの面白さです。

シンプソンが無罪になるという結末はわかっていても、そこに至るまでに明かされるいくつもの証拠や検察側弁護側の考え方なんかが面白いのでまったく飽きず、わかっていながら次はどうなるんだろう、と楽しく見ることができます。

イロモノではないし、犯罪ものだからといってショッキングなシーンなんかがあるわけでもない。よくできた法廷ドラマ。またシンプソン事件だけに集中してドラマ化していて、(実話だからということもあるかもしれませんが)ありがちな恋愛要素やお笑い要素がない。ピンポイントで想定している視聴者層があるのか、それとも制作者の志が高いのか。それともたまたまなのかわかりませんが、スポンサーや視聴者におもねらないのはいいですね。

のちほど、キャストの紹介もする予定。