「アンという名の少女」Netflixオリジナル、赤毛のアンのドラマ化。

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Netflixオリジナルドラマ「アンという名の少女」の感想です。

「赤毛のアン」は有名だけど読んだことがない。NHKの連続テレビ小説(という不思議なネーミングの朝ドラシリーズ)で「花子とアン」ていうのがやってた。これは赤毛のアンを訳した村岡花子がモデルのドラマだったようで、結構人気があったらしい。

赤毛のアンはテレビアニメが放送されたりした日本でとくに人気が高いのかと思ったら、最近になって映画が公開されたり、劇場版アニメが出たりして、過去にも何回もドラマ化されていた。舞台となったカナダの島には赤毛のアンの家(グリーンゲイブルズ)が作られていて人気の観光スポットになっていて、カナダでは作者のルーシー・モンゴメリは国民的作家らしい。

つまりわたしが知らないだけで、赤毛のアンは日本だけではなくて世界的な人気小説だった。

で、このたびめでたくNetflixでもドラマ化された。タイトルは「アンという名の少女」(ANNE with an E)なんとなく感想をみていたら賛否両論、多くは賛成でけっこう評価高いんだけど、なかには全然ダメとけなしているレビューもあった。ずいぶんダークで、赤毛のアンにあるまじき暗いトーンのドラマだそうだ。

赤毛のアンと大草原の小さな家の区別がつかないわたしにとって、赤毛のアンってなんか明るい前向きな話っていう印象しかないので、それが暗いっていうのがよくわからなくて、気になったので観てみました。「ブレイキング・バッド」と同じ脚本家というのも気になったので。

結論から言うと、普通に面白かったです。とりあえず3話まで続けてみた。

とりあえず、予告編をみるよりも下のオープニングシークエンスをみてください。きれいで、いいオープニングだと思います。歌もいい。

感想。

貧乏で不器量で赤毛で、親に捨てられて孤児院暮らしという苦難を背負った赤毛のアンという少女が、読書で身につけた知識とおしゃべりで苦難にめげずに暮らしていく、といったような話。一難去ってまた一難、というパターンで、NHKの連続テレビ小説みたいな話だなあと思った。

主人公の赤毛のアンだけど、馬車のなかで里親になる予定のお父さんに向かって延々と喋り続ける姿、その話の内容を姿を見ているとちょっとあたまがおかしいんじゃないか、と思った。読書家のようで、いろんな話を引き合いに出すんだけどその様子がちょっとイカレてる感じがした。最終的には無邪気な子供の愛らしい一面、という印象に落ち着いたので、演出的にはまあOKだったんじゃないか。里親予定のお父さんにも気に入られたみたいでよかった。

主人公を演じる役者は見事に赤毛でそばかす(メイクかな?)の人で、イメージにぴったり。アンは台詞で自らを不器量といっていて、客観的にもやせっぽちで不器量という設定のようだ。そういう役にもかかわらず平気で美人女優を使ったりするドラマも多いけれど、このドラマではたしかに美人過ぎず、といってまったく不快感もない丁度いい赤毛のアンで、ぎくしゃくした歩き方とか才気走ったちょっと生意気なところとか、その性格と外見とがよくあっていると思う。

ブスなんだけど美人、美人なんだけどブスという難しい設定で常に思い出すのは「キャリー」のシシー・スペイセク。冴えないいじめられっ子なんだけど、プロムでドレスを着ているとなんか美人に見えた。あの役はシシー・スペイセクだから説得力があった。リメイクのキャリーを演じたクロエ・グレース・モレッツは、その点だめだ。可愛すぎて、いじめられっ子のわけがないと思ってしまう。

ブレイキング・バッドの脚本家だとどうなるのかというと、どうも全体的に、演技のテンションが高い。どのキャラクターも非常に感情の振れ幅が大きいというか、会話の場面でつねに一触即発の緊張感が漂っている。それからストーリーも、原作からそんなに逸脱していないと思うんだけど、わりと波瀾万丈。

赤毛のアンに新味を加えとされるダークな部分については、突然フラッシュバックするアンの過去の様子がそれに当たる。ドラマは里親の元にアンがやってくるところから始まるが、それ以前には孤児院でイジメに遭い、さらには別の過程で召し使い同然の辛い生活を送っていた。そんな過去の出来事が、ちょっとしたことをきっかけにちょくちょくフラッシュバックする。この演出が、とくにダークな側面とされてるんだと思うけど、まあとりたてて暗いとか悲惨とかいう内容ではない。けれどもその演出の仕方が戦争映画のPTSD発症シーンみたいな雰囲気になっているので、確かに急に部分的にホラー映画になったみたいな感じはするかもしれない。

まあ、そういう過去を乗り越えて前に進んでいく成長ドラマなんでしょうね。ただ、この演出からすると意外に重い展開になりそうな気もして、油断できない。

それからフェミニズムを押し出してきてる感じがする。もともと、男の子が欲しかった里親のところに間違ってアンが連れてこられるという話なんだけど、男にできる仕事だって全部できます!それ以上のことも!みたいな台詞があったり。原作ではどうだったんだろう、まだそういう意識が出てくる前の小説だと思うからこれはドラマオリジナル演出だと思う。これからアンが学校に通うようになると、その辺がさらに過激化しそう。

時代背景は、原作と同じでたぶん19世紀末で、服装とか街の様子とかは結構いい雰囲気で再現されている。といっても19世紀末の実際の様子は知りませんが・・・雰囲気はでている。Netflixのオリジナル番組全般にいえるけれど、民放のドラマとまったく遜色ない。お金かけて作ってる感じがする。

結論。

というわけで、赤毛のアンにたいしてもっていた眠たい印象を吹き飛ばしてくれたドラマでした。3話までしか観てませんが、結構面白かったので最後までみる予定です。

なお、オープニングの歌はカナダのバンド、The Tragically Hipの”Ahead By A Century”だそうです。すごくいい曲に思えてきて、はまりそう。

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