ジュラシック・ワールドシリーズ完結なので、とりあえず最初のやつの感想をメモっておく。
編集された?欠落している要素を感じる。
面白かったが気になる点も。いろいろ、放置されてるというか中途半端な点がある気がする。
まず兄弟の両親。劇中グレイが、どうせうちの両親は離婚するんだ、弁護士と話してたとかいって泣き出す。
これ、両親のそういう関係って劇中で描かれてたっけ?なかった気がする。
もちろんこれが兄弟二人がツアーを外れて危険なコース外に行ってしまうというストーリーに直結してはいるものの、ここで言及される両親の関係にはちょっと唐突感があった。
もっとも、そもそも兄弟が二人きりでジュラシック・ワールドに行くことや、そこの叔母に世話を頼むことなどから、何らかの設定があったには違いないが、設定はあったものの実際の映画には反映されていないような印象を受けました。
あとはお兄ちゃんの女好き、というか女性への関心か。出てくるときに彼女としばしお別れみたいなシークエンスがあるけど、パークに着いてからもお兄ちゃんは女しか見ていない。
これも、恐竜とか弟の面倒とかにまったく関心のなかった兄が、家族愛に目覚め弟を守ろうとし始める変化を見せるためなのかもしれないけど、それにしてはあまりにぎこちない。兄の女性への視線がちょっと重すぎる描かれ方をしている。
とくに女たらしってわけでもないし、恐竜好きな幼い弟との対比としての思春期の少年ってことなのかもしれないけど、ちょっとよくわからない描かれ方だ。
あー、そうするとこの兄弟そのもののプロットがなんだかよくわからんってことになるのか。
でも彼らがいないと屈強な主人公がわざわざ危険をおかして園内を冒険する意味が薄れてしまうし、二人で球体にのってゴロゴロ転がって危険な目に遭うシークエンスもまあ悪くはないし。なによりファミリー映画の装いを演出するためにも兄弟は必須だったのでしょう。
それなら、もうちょっと映画内で説明があったほうが、違和感なくてよかったかな、と思いました。
恐竜映画としては問題なく楽しい。
ちなみにそういう違和感をささいなものにするくらい、本編は面白かったです。なにより恐竜が大暴れする映画であるという基本をしっかり抑えているので、その他の些末なサブプロットはどうでもいいのかな。あとはメインキャラであるオーウェンとクレアのキャラ造形も、ちょっとしたぎこちなさはあるもののまあまあ悪くない出来だったからかしら。
「ジュラシック・パーク」1ではヴェロキラプトルという恐竜に集団で行動する頭のいいフィクショナルな性格を付与し、そこに映画的発展を取り込んだ。ティラノサウルスやトリケラトプスといった人気者の見せ場も作りつつ、主なサスペンスはもっぱらフィクションの産物であるラプトルに頼っていた。そもそも恐竜そのものがSF的な架空の存在なわけだが、なんとなくまっとうな恐竜たちと、異質なラプトルという不思議な関係になっていたのが面白かった。
で、「ジュラシック・ワールド」まで来るとなんとなく恐竜って実際にもう再現できてるんじゃないの?っていう錯覚を覚えてしまう。こんなテーマパークがほんとにあってもおかしくないような…。
「ジュラシック・ワールド」では「ジュラシック・パーク」から更に大胆に発展し、もはや恐竜は遺伝子操作で新たな種が生み出せる状況になっている。そして今回の目玉はいろんな遺伝子を取り込んだ結果予想以上の凶悪な化け物になってしまったインドミナス・レックス。
こいつの暴れっぷりがなかなかすごい。インドミナス・レックスの制圧に向かった分隊は一瞬で全滅。このインドミナスの凶悪描写は昔なつかしいSFホラーとかモンスター・パニック映画の雰囲気がありありです。
遺伝子操作によって生まれた恐竜が化け物と化す一方、前シリーズで凶悪だったラプトルは逆に人間に手懐けられ、危なっかしさはありながらも化け物と対峙する立場になっているのも面白いですね。このラプトルが新シリーズでは活躍するようです。
キャスト
ヒロイン役は兄弟のおばに当たるクレアという人物で、仕事中心で甥っ子たちにはまったく無関心、施設の運営と業績拡大のために人生を捧げてる感じの人。結局インドミナス・レックスふくめいろんなハイブリッド恐竜もこの人が施設の利益追求のためを開発したようなもんなので、ハリウッドのファミリー映画のセオリーに則れば途中で自分が開発した恐竜に八つ裂きにされて食われてしまってもおかしくない。
しかし、何こいつ?っていう印象だったクレアですが突然甥っ子たちへの責任感に目覚め、自分がいかにヒトでなしであったか自覚。そっからはどんどん動けるキャラに変身し、甥っ子たちのために危険も顧みずアクションもこなす。コミカルな掛け合いも似合ってるし、すっかり主役になっています。
兄弟の弟グレイはまだ幼く、中性的なかわいさがある。若いときの鈴木杏に似てると思うんだけど、どうでしょうか?
お兄ちゃん役はちょっと役どころがあいまいに感じた。
兄弟の両親も、出番は3箇所くらいだけで、どういう関係なのかよくわからなかった。この両親と、母の妹であるクレアの関係性はもっと発展させても面白そうと思ったけど、そんなことをしていると肝心の恐竜の出番がなくなってしまうのでしかたない。
主人公クリスは恐竜の調教師をしているという変わった人だけど、元軍人ということでタフガイ風の男。クリス・プラットはよくあっていると思います。
恐竜の軍事利用を企む悪役にヴィンセント・ドノフリオ。このひと微笑みデブの印象が強烈なんで他の役になってても気が付かないことが多い。今回は認識した。
まとめ
おおまかなストーリーラインは恐竜のテーマパークで不測の事態が発生して恐竜大暴れし、そこに子供が巻き込まれ、恐竜に詳しい主人公が助けに行くという今までのシリーズを踏襲したもの。主人公とヒロインのやり取りや、恐竜をネタに何かを企む悪いやつってのもど定番。
そこに遺伝子操作による新種恐竜の開発と、ラプトルの調教という新機軸を持ってきました。
そういうわけで大ヒット恐竜映画の新シリーズ、けっこういい出来の面白い映画でした。ヒットしすぎな気もするけど、恐竜の人気はすごいということですね。