適当なタイトルの「ゾンビ3」(原題’The Nights of Terror’)の感想。武器を使い集団行動をとるゾンビ。

ゾンビ3。タイトルからしてやる気なさそうな映画で、見る前からかなり嫌な雰囲気を漂わせてる映画でした。もともとのタイトルは’The Nights of Terror’なんで、そのへんは勝手な邦題をつけられて気の毒ではあります。

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ゾンビ…?

どっちにしろ、ロメロ監督のゾンビとは無関係。イタリア製マカロニホラーの一つであります。ゾンビ映画はタイトルもみんな似通っていて混乱するのですが、ルチオ・フルチ監督も’Zonbie 3’ていう映画を撮ってたり、それが日本だと「サンゲリア2」だったり、混乱が加速します。

でこのゾンビ3ですが、みていてなんとなく気分が悪くなってくる感じの映画でした。

理由はゾンビのメイクかな。この映画に出てくるのは生きた人間が感染した死にたてのゾンビっていうのじゃなくて、墓から蘇った死者です。ゾンビじゃない気がする。

でこのゾンビたち、どれも似たようなメイクで、ボロ布をまとって頭髪の抜けたマスクをかぶった死体として集団で襲い掛かってきます。このゾンビの行動がなかなか珍しい。

ゾンビなので動きは鈍いのですが、なんと彼らは集団行動を行うことができ、道具も使うことができるのです。ナイフを投げたり、みんなでドアを壊したり。ロメロがデイ・オブ・ザ・デッドでやっと到達した地点をこんなふうに蹂躙するなんて、許せないですね。いや、やっぱりこいつらゾンビと呼ぶのは不適切な気がする。武器を使って人を攻撃するし。

ストーリー、演出は適当。気分が悪くなるような特殊効果が楽しめます。

舞台はどっかの古城みたいなお屋敷。これはロケをしていて、なかなか雰囲気が出ています。周囲の墓地なんかも本物っぽくていい感じなんですが、そこにボロをまとったゾンビたちと一緒に閉じ込められる状況に行きが詰まりそう。

博士がその近くの洞窟で誤って太古の死者を蘇らせてしまい、屋敷に来ていた人たちが襲われるというシンプルなストーリー。基本、庭も含めて建物の敷地内で進行していき、バカンスを楽しんでいる家族連れたちをゾンビが襲撃してあの手この手で人々を襲うシーンがいろいろ楽しめる。

やっぱりゾンビたちの行動がどうにもおかしくて、普通のゾンビ映画とはかなり違う気がする。これは何度も言うけど古代の死者、悪霊の類で、ゾンビじゃない。突き出された鉄の鍬を両手で受け止めて薙ぎ払ったり、武器を構えて集団で攻めてきたり。

グロシーンはいろいろと頑張っている感じがしたけど、個人的にはなんとなく全体的に薄汚い感じがして、みていて食欲がなくなるような気がしました。ウジとかミミズとかをこれみよがしに出してみたり。叩き割られたゾンビの頭部がなんとも汚い感じだったり。

そんなとこに墓あったっけ?ていうくらいいろんなとこから次々にあらわれるゾンビに襲われ、生存者は館に立てこもります。しかしつるはしや鎌など思い思いの武器で武装したゾンビ軍団にあえなく突破され、抵抗虚しく地下へと追いやられる人々。

なかなかのエンディングと、ゾンビ以上に気色悪いマイケル少年。

最終的には逃げ場のない場所で全員ゾンビに襲われて、最後はカップルがゾンビの大群に襲われて絶体絶命(なぜか一人は電動ノコギリで責められる)、というところで唐突にストップモーション。棺桶は開いて死者が蘇ってどうたらこうたらというキャプションが出て突然映画は終了してしまいます。このエンディングの絶望感は、なかなかいい味出してたと思いますが。

いちばん気色悪かったのはマイケル少年ですね。見た人だれもが衝撃を受ける、やけに老けたマザコン少年マイケル。「アキラ」に出てくる子どもたちみたいな彼が目を見開いて「死の香りするよ」とか言ってる姿が本当に怖いです。

しかも結構重要な役を与えられてて、後半ではゾンビ化したかれが母のおっぱいを噛みちぎるというショックシーンが用意されています。

どうもこのマイケル少年、設定は少年なのに映画業界の規制かなんかで演じてるのはおっさんで、そのせいでこの気色悪い雰囲気になってしまってるようですね。結果的に、それがすごいインパクトをもっているので怪我の功名でしょうか。

まとめ

はっきりいってメイクも演技もやっつけで作ったような、それほど志の高くない映画だと思います。個人的にもなんとなく汚らしい感じがしてあまり見返したくないのですが、ゾンビというにはおかしすぎるゾンビたちの行動やマイケル少年、絶望しかないエンディングなど、まあまあ見どころもある映画だと思いました。

これのHDリマスター版ブルーレイがでてて、特典として

  • メイキング・ドキュメンタリー(26分35秒)※DVD未収録
  • 製作者ガブリエル・クリサンティのインタビュー(10分58秒)
  • 女優エマリアンジェラ・ジョルダーノのインタビュー(9分28秒)
  • 削除シーン集(9分40秒)※DVD未収録
  • 劇場予告編(3分30秒)
  • フォトギャラリー(6分20秒)

なんてのがついているのに本当に驚きました。思わず見たくなる。

あ、Youtubeで全編アップロードされてるんだけど、これは違法じゃないんだろうか。

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