映画「日本で一番悪い奴ら」の感想。

「孤狼の血」を見に行こうか迷っている間に、「日本で一番悪い奴ら」をまた見た。

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北海道県警の悪徳警官が主人公の映画。面白い。

北海道県警の柔道部を強化する目的で警官にスカウトされた主人公が、徐々にヤクザとズブズブの刑事のやり方に染まっていき、いつのまにか職務を見失っていく姿を描いたもの。

全体的に風刺が利いた作風でブラックユーモアとして楽しめると思います。

劇中でも時間が割かれていて面白いエピソードは、当時国松長官が何者かに狙撃された事件をうけて、何が何でもチャカを挙げようと必死になるところ。主人公はノルマを達成するためにコネを使ってヤクザから買ったり、日本からロシアにわざわざ銃を買いに行かせたりとめちゃくちゃ。しかし上司もそれが当たり前と思っていて、とにかく上から言われた目標を達成することが第一でそのやりかた、過程はどうでもいい。

そのバカさ加減がよく出ているのはチャカを手に入れるための資金として上が(警察が)用意してくれる金が足りないから、覚醒剤を売ってチャカを摘発するための資金作りをするところ。本末転倒というのはこのことだけど、警察官が麻薬をさばいているという矛盾について、チャカを挙げるためなんだからいいでしょ、と言われて納得してしまう県警のみなさん。主人公だけでなくまわりもみんなモラルが崩壊している。

コネを使って内地のヤクザからも拳銃を買うが、普通の宅配便で送ろうとしたもんだから警視庁に見つかってしまう。警視庁も、今回は不問にするがかわりにこの拳銃は警視庁で挙げさせてもらう、と、つまり北海道県警だけでなく警察組織全体がモラルとかどうでもいい悪い奴らとして描かれている。

前編このノリで突き進んでいたらずっとドタバタの楽しい映画になったかもしれないが、マフィアとの取引で拳銃密輸を摘発する見返りとして覚醒剤の密輸を見逃したあたりから主人公の行く手に暗雲が立ち込める。密輸した覚醒剤の量が予定よりはるかに多く、まずい雰囲気になる。見逃したと思っていたら仲間のヤクザに持ち逃げされ、当初引き渡すはずだったヤクザ(TKO木下隆行)にリンチされる。仲間とは疎遠になり、女も去っていく。主人公自身も覚醒剤に手を出してしまう。で、夕張の生活安全課(だったかな)に飛ばされてしまう。

最後に、主人公は捕まってしまうんだけど、不幸なのは主人公だけではなく、舎弟同然だった仲間も離婚してしまい、やがて逮捕されて自殺してしまう。なんのために警官になったんだ?という問いが何度かでてくるけど、主人公は本来の目的を完全に忘れてしまっている。

主人公が転落してからはドタバタ風の演出は消え去り暗い場面が連続するものの、それまでの場面とのギャップがいい。

結局、逮捕された警官は主人公だけで、すべての罪を主人公になすりつけて警察は依然として不正の温床のまま。

警察の組織ぐるみの腐敗という扱い方によっては深刻な話にもできるネタだけど、シャブ中のおばあちゃん(生活保護を受けてるから金はある)とか笑えるエピソードをたくさんいれてブラックユーモアに仕立てた良作でした。ただ、セックスシーンとか覚醒剤を打つシーンとかけっこう出てくるので15Rになっていました。なかでも主人公が覚醒剤を打つシーンはやばい。ちょっと飛び過ぎてて、これはちょっとオーバードーズじゃないか?と思える綾野剛の表情が見ものです。

役者の方々の演技も良かったと思いますよ。

主人公は綾野剛。柔道チャンピオンにしては線が細い気がするけど、軽量級だったのかな。それも後半の落ちぶれた姿にあっていていい。序盤の熱意が空回り気味の新米警官時代から中盤の力の抜けたほぼヤクザ警官、後半の廃人寸前まで安心して見ていられる演技。

ピエール瀧。主人公に警察捜査の手ほどきをする先輩。「凶悪」のヤクザと違って、どっしり構えた態度と喋り方が悪徳警官によくあっている。悪徳とはいっても、本人は全く悪いとは思ってないんだけどね。途中で淫行がバレて退場。

ヤクザの中村獅童、同じくヤクザのTKO木下隆行、主人公とつるんでいるYOUNG DAIS、デニス、みんな適役でいいと思います。後半に登場する若手警官役で中村倫也がでていた。