え、全然知らなくて驚いた。イェールジ・コジンスキー(ジャージ・コジンスキー)の代表作「異端の鳥」が映画化されてた。
日本では10/9から公開。
チェコ・スロバキア・ウクライナの共同制作。上映時間169分、モノクロ映画。
監督:ヴァーツラフ・マルホウル
キャスト:
主人公は素人の少年、ペトル・コトラール。その他のキャストはベテラン多数。有名なところではウド・キアー、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズなど。
思ったこと。
コジンスキーの小説としては「予言者」(=「庭師 ただそこにいるだけの人」)に続く映画化か。けっこう衝撃的な内容で、それなりのパワーを秘めている本だと思うけれど、この本についてはどうしてもコジンスキーの経歴や創作に関する疑念がついてまわる。
コジンスキーの小説が盗作だとか、ゴーストライターによるもの、というのは正しくないと思う。英語を母語としないコジンスキーの原稿がリライトされていたことは確かみたいだけど。ポール・オースターもそのバイトをしていた。この辺は、こんど詳しく調べてみたい。10年以上前に外国のサイトで詳しく書いてあるところがあったんだけど…今もあるかな。
「予言者」は、ある意味でコジンスキーの境遇のある一面をそのまま描いた作品ともいえる小説だったと思う。それにくらべると「異端の鳥」はどこからどこまでが現実でどこからが空想なのか、そこにどうしても関心がいってしまう小説だった。あ、現実っていうのは作者の体験という意味ね。この本、半自伝的小説とされていたから。
盗作疑惑や代作疑惑があるなかで、半自伝つまり半分は歴史的事実ともみなされうる小説を映画化するというのはけっこう大胆な試みだと思う。さらに監督はこれをあえてモノクロで撮影し、映像にドキュメンタリー的質感を与えている。主人公は素人の少年だし。
毀誉褒貶ある、歴史的な紛争にも関連のある内容の物語をそういう手法で映画化する意図はどこにあるのか、とっても気になるところであります。単に内容に衝撃を受けて映画化しようと思い立ったのか。
原作も舞台となった地域は特定されていないが、ウィキペディアによると映画でも舞台となる国や場所が特定のものではないことをあらわすために、インタースラーヴィクという人工言語が使われているという。
監督は、原作やコジンスキーに関するスキャンダルについては承知していて、
最後に、コシンスキの自伝と小説「ペインティッド・バード」の構想との関係をめぐる論争はもちろん把握している。私は単に、長きに愛される名作である小説を独立した存在としてそのままに扱うことを選んだだけだ。コシンスキの話を、悲劇さはそのままに、皆さんに委ねる。
とおっしゃっています。
そのうち見てみたいな。