ドラマ「ホワイト・チャペル 終わりなき殺意」の感想。

イギリスの刑事モノドラマ。

ロンドンの治安の悪い地域、ホワイトチャペルを舞台にした刑事もので、扱うのは猟奇殺人で、過去の有名な事件を模倣した犯罪ばかり。そこの警察組織に赴任してきた警部と部下たちを描いたドラマ。

映像は暗く、凝った映像効果がふんだんに使われていてかなり癖がある。映画「セブン」みたいなトーンが多くて、妙な映像だけどMTV風ってわけでもない。

ホワイトチャペルはかつて切り裂きジャックが暗躍した街として有名。シーズン1ではおもに切り裂きジャックの模倣犯を追う話だった。シーズン2以降は、その他の過去の犯罪とかをモチーフにした事件を捜査する。

シーズン4でどうやら終了してしまうようだけど、これはけっこう面白かった。

謎解きとかがあるミステリではないし、現実的な捜査を描いたリアルな刑事モノでもないし、ダークな雰囲気の割に勢いだけの部分も感じられるんだけど、なかなか独特な雰囲気があってよかった。で、結局はキャラクターの魅力に引きずられて見ていた感じかな。

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有名事件の模倣犯を扱う刑事ドラマ。

同じBBCの「リッパー・ストリート」は切り裂きジャックがいた時代のロンドンが舞台だったけど、これは現代が舞台。

ドラマで行われる犯行はだいたい過去の有名な事件が元ネタだったり、なんらかの関連があったりする。シーズン1では、犯罪研究家のエドワード・バッカンが犯行が切り裂きジャックの模倣犯だってことを見抜き、捜査に協力した。

シーズン2以降、かれは貢献が認められて捜査チームの一員として局内に招かれる。

ていっても、これあんまり捜査には貢献してないような…。まあバッカンはちょっとお笑い担当っぽいポジションなんだけど。バッカンは穴蔵みたいな地下の部屋をあてがわれてそこに膨大な資料を詰め込み、事件が起こるたびにこれは○○事件の模倣だとか、○○と同じパターンが見られる、とか指摘してくれる。その指摘は正しいんだけど、それが事件解決に直接的に役立ってるかっていうと、それがきっかけで犯人追求につながったことってあんまりないんじゃない?

まあ、捜査の方向性とか、そういう面ではチームに貢献してるんでしょう。

バッカンはお笑い担当っていう感じなんだけど、ドラマ全体のトーンがちょっと暗めなので必ずしも笑える役ではないっていう雰囲気もこのドラマの特徴かな。調子に乗って冷やかされたり、ひどいからかわれ方をしたり。ちょいと気の毒なところがあります。

ケントの双子の姉にマンセルが本気になって、ケントが苦々しい顔をするところとか。マンセルは生活態度不良で離婚してたりするんで、なにか起きるのでは、とヒヤヒヤする。

そのくせ後半になると捜査員同士の掛け合い、おもに主人公のチャンドラーと相棒のマイルズのやり取りに軽さが増してきて、なんとなく見ていて楽しい。

全体が暗い感じなのに、バーでパーティしてる場面がちょいちょい出てくるのもいい。

魅力的なキャスト。

やっぱり主人公が一番魅力的かな。最初は捜査なんてどうでもいいみたいな感じだったチャンドラー警部。

超几帳面で強迫観念ぽいところもある極度の潔癖症で、何かあると洗面所で延々手を洗ったりすぐにシャツを着替えたり。まあ、この設定も都合よく出てきたり消えたりしてる感じはしますが。

そんな彼が相棒と一緒になって真剣に捜査に取り組むようになり、みんなからもある程度信頼され、手際よく部下を指揮するようになります。

が、どの事件も毎回犯人検挙ならず。逮捕目前で殺されたり自殺されたり…。挙句の果てに、もっと悲しい出来事も起きたりして、見ていると頑張れーと応援したくなってきます。

演じるのはルパート・ペンリー=ジョーンズ。海外の評を見てたらBBCのドラマで貴族の役ばっかりやってるみたいなことが書かれてたけど、他の捜査官と馴染まない、高飛車でノーブルな雰囲気がよく似合っていた。

相棒の小柄な刑事マイルズを演じるのはフィル・デイヴィス。BBCのドラマで酔っ払いの役ばっかりやってるような彼が、チャンドラーとは真逆の現場叩き上げの刑事によくあってます。

チャンドラーと衝突しながらも彼を気にかけ、協力して捜査してく様子が見ていてなんか心地いいんだよなー。

あとケントとか、検視官とか、いろいろ。

ロジックのなさが残念な点か。

切り裂きジャックの模倣犯とか、その後も有名事件の模倣ってことでなんかミステリーとしての出来にも期待してしまうんだけど、その点はあんまり気にしてないのかも。

ていうか気になって当然なんだけど、前述の通り元ネタの事件を探ることが直接には事件解決の手がかりになっておらず、そのへんをしっかり呼応させたり、トリックを効かせたりした推理ものではない。

そういう意味では、ちょっとネタの扱い方がもったいない気もする。まあ、雰囲気ですね。

各シーズンは短くて見やすい。

シーズン4まであるドラマなんだけど、各シーズンは3話とか6話で終わってて、短い。一話一話はけっこう密度あるけど。

最初の2シーズンは1つの事件が3話で完結する。その後のシーズンはは2話完結の独立した事件が3つという構成。え?ていうくらいテンポよく進む。その合間に捜査官同士のちょっとしたやり取りが入ってきて、なかなかおもしろい。

残念ながらシーズン4で打ち切りっぽい感じで終了。といっても投げっぱなしじゃなくて、最後はそれまでの謎めいた部分にちゃんと結論が与えられてたと思います。ラストはちょっと笑っちゃう感じもするけどね。

まとめ。

基本はちょっとグロテスクでダークな雰囲気の刑事ドラマ。事件そのものも、犯人とか手口とかまあまあ興味深いんだけど振り返ってみるとむしろ人間関係の興味で見てた。

意外と見やすい。グロテスクな場面もあり、検死官とかでてきてちゃんと捜査してるように見える割には、バッカンの存在とかけっこうフィクショナルで、肩肘張らずに見られるドラマに仕上がってる。不思議なんだけど。

そんなわけで秋の夜長におすすめのドラマでした。

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