イタリア製傑作C級映画、「呪われた修道院」の感想。

「呪われた修道院」。なんか修道院の尼さんが悲鳴を上げているようなジャケットでDVDとかが出ていたような。昔みた記憶しかないので細部は曖昧ですが、傑作だったという記憶があります。まったく期待しないまま、むしろおそらく駄作だろうという先入観を持って見始め、見事に裏切られたという記憶。なんでこれを見たのかというと、たぶんその昔、わたしの記憶にレンタルビデオとかいうものがまだ存在し、レンタル4本で1,000円などという牧歌的だった時代に、他に借りるものが思いつかなくて借りたんだと思う。

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イタリアの志の低いC旧映画、呪われた修道院。

一応説明すると、これはイタリア制のホラー映画で、監督はブルーノ・マッティ。音楽はたしか、なんとゴブリン。ブルーノ・マッティは、いわゆるB級C級の映画制作に特化したような職業監督で、二番煎じのような映画ばかり撮っていたらしい。

で、呪われた修道院。見始めるとすぐ、修道院で一人の尼さんがナイフを振り回しはじめて、いけにえ?にされるような人が体を切り裂かれて子宮を取り出されて…

みたいな最初のホラーシーンがもう演出もテンポ悪くて無駄にグロくて、ここでもう見るのやめようかと思った。

しかし、とりあえず見続ける。

どうやらこの修道院では不思議なことが立て続けに起きているらしい。それが呪いとか悪魔に関係があるということで、どっかの神父さんに調査してもらうことになった。

老齢の神父さんはなんとか怪異の原因を突き止めようとするものの、突然あらわれるフクロウとかに邪魔され脱落。死んだかどうかは覚えていませんが、何もできないまま退散してしまいました。

しかし、ここでひきさがっては教会の名が廃るというもの。老齢の神父のあとを継いだのはまだ若い神父。科学の心得がある彼は、呪いなんてあるわけない、ここで起きている物事はすべて説明がつくはずだ、と単身修道院に乗り込み、修道院に隠された事実を暴いていきます。

チープな演出が意外な展開を盛り上げる。

この若い神父の登場から俄然面白くなる。つまりこれは、きちんと「エクソシスト」を経た上で構成された物語なのだ。まるで、この映画の安っぽい演出自体が、主人公に指摘されるためにわざとそう作られているという高度な作りなのかと思わされる。

もちろんそんなことはなく、「エクソシスト」を研究したわけでもなく、主人公の交代という展開がたまたまわたしのつぼにハマったんだろうと思う。でも、この展開によってひたすら暗く、退屈な雰囲気が一変するのは確かで、ここから映画に勢いがついていく。

そして、科学的であることを標榜する彼もまた、修道院に隠された科学では説明のつかない出来事に翻弄されていく。

意図したのかどうかはわからないけれど、この基本的な構成がうまくいっていることが、この映画を凡百のC級映画よりマシなものにしている最大のポイントだと思う。

その後の展開は、同じ調子でいろんな怪異やショックシーンが登場するだけだけど、一応なんとなく修道院のヤバさが進行していくような作りにはなっていたような記憶があって、飽きることなく見続けられたと思う。

正直な話、ストーリーや最後どうなったのかは覚えていない。

でもこの映画の画作りにはなんとも言えない味わいがあった、という気がする。暗い陰惨な場面ばかりではなくて、真っ昼間の庭で、庭師だか小間使いみたいな男がウサギを解体する場面とか。往年のショックドキュメンタリー流行の影響か、本物のウサギをナタで叩き切る趣味の悪い場面だけど、妙に気の抜けた雰囲気が独特の空気を醸し出していた。

他にも、犬とかいろんな動物が出てきたり、ゾンビみたいなやつがでてきたり、ダリオ・アルジェント的な不気味な人形がでてきたり、いろんな場面が出てきてあまりまとまりが無いんだけど、とりあえずショックシーン、という大胆な方針とそのまとまりの無さが、他にはない不思議な味わいを生み出していると思う。主人公の佇まいもなかなか悪くなかった。

ゴブリンの音楽はまったく印象に残っていない。

大昔の記憶を頼りに書いたので間違っている可能性もありますが、当時は思いがけずいいものみちゃった、という気分になったのを覚えています。気になる方はyoutubeに予告編があったので、こちらをご覧になってください。

特撮はチープに見えるでしょうか。わたしはそれほど気になりませんでした。むしろ創意工夫が感じられていいと思う。やっぱり、CG以前の映画にはそれでしか味わえない味わいがあると思います。

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