安定したホラーギャグ漫画「死人の声をきくがよい」の感想。末永く続いてほしい…

この人の手に入る漫画はだいたい読んでいます。この「死人の声をきくがよい」も第一巻から読み続けていますが、期待通りの出来で満足。

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ホラーというより、ホラー作品をねたにしたギャグ漫画っぽい。絵は雰囲気があって上手。

ちまたではホラー漫画とされているようですが、読めばわかるように「ホラー」をネタにしたギャグ漫画だと思います。

絵的には繊細な輪郭線がきれいで、キャラの顔もかわいい。読みやすくとっつきやすい絵に仕上がっていると思います。ときおりスプラッタやホラー描写も出てきますが、そこはそこは楳図かずおや日野日出志といったホラー漫画家のテイストをしっかり取り込んでいて、そつなく描写しています。このへんの絵の巧さもいい。

作者は小説の挿絵なんかもやっているようですが、やはり独特な雰囲気のある絵柄がうけているんだと思います。

ギャグ漫画といったけど、それはパロディ要素が多いからです。この漫画自体はパロディではありませんが、話のネタとして典型的な怪談やホラー映画が下敷きにされている気がする。特に年代的に少し昔の、今は古典となったホラー映画はネタとしてしっかりおさえられているような。

昔からのホラーファンなら安心して楽しめる作風です。

これは、この連載以前の同人誌の頃からそうだったと思いますが、そのおかげで馴染みのある世界にいる安心感があるというか、ホラー映画好きにとっては安心して読める感じがします。その上で、話の最後はきっちりオチがついているので、ホラーを見慣れた人からするとどうみてもギャグ漫画に見えてしまう。実際、話としても半分くらいはギャグだと思います。一コマだけを見ればグロい場面や怖そうな場面もあるけど、心底怖いってのはないと思う。

うぐいす祥子名義の同人誌にはもっと真剣な話もありますが、ギャグテイストは随所にありこの人の持ち味なんだと思います。

最初は主人公の美少年と死んだ早川さんの霊が中心ですが、式野会長を始めとして、連載が続くに連れ登場回数の増える人物も出てきてキャラも味が出てきてるようです。いい意味で狂った思考のキャラが出てくるから、かれらのエキセントリックな行動を見ているのが楽しいです。物語的には早川さんの霊と主人公との関係性の変化が焦点になってくるような気がしますが、そういうのを無視して延々と続いてほしいと思ってしまう好きな漫画です。

打ち切られることなく続いてほしい。

この漫画、第1巻には巻数の表示がありませんでした。つまり、売れなかったら1巻で打ち切られる可能性が大いにあったのではないかと思います。それが現在では10巻を超えて連載が続いているという、大変めでたい状況になっています。

そんなわけでホラー漫画とは銘打っていますが実際には怖いのが苦手な人にも楽しめるいい作品だと思います。

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