ジョナサン・デミ監督死去。

ジョナサン・デミ監督死去。きのうラジオで聞いた。73歳だそうです。

「愛されちゃって、マフィア」がその邦題と一緒に記憶に残っていますが、一般的にはやはり「羊たちの沈黙」の監督として記憶されていることと思います。

この映画によって、原作のトマス・ハリスは有名が有名になりアンソニー・ホプキンスがさらに名声を高めただけでなく、心理分析、猟奇殺人、プロファイリングといったいまでは当たり前のネタが一気に知れ渡ったのではないでしょうか。

この映画を境に猟奇殺人をネタにした似たような映画が量産されるようになり、さらにこの映画から発展して新しいタイプの映画が出てきているような気がします。映画の枠を超えて「FBI心理分析官」とかの関連本?もたくさん出版されたり、それくらいインパクトのある画期的な映画でした。

もちろん原作もヒットしたし、非常に評価の高いものでしたが、やっぱりここまで心理分析とか猟奇殺人とかがはやったのはこの映画版のおかげだと思います。

同じような題材はすでに「羊たちの沈黙」の前作「レッド・ドラゴン」でも使われていて、FBI捜査官がすでに収監されている非常に頭のいい猟奇殺人犯(ハンニバル・レクター)の助力を得て事件を捜査する、というプロットも一緒です。さらに、「レッド・ドラゴン」も映画化されている。「刑事グラハム/凍りついた欲望」という妙なタイトルで、こちらはレクター博士役にブライアン・コックスを当てていて、これもかなりいい出来の映画だと思います。(後に映画化された「レッド・ドラゴン」とはまったく同じストーリーでも見た感じの印象はかなり違います。)しかしヒットはしなかった。

トマス・ハリスの原作も、「ブラック・サンデー」、「レッド・ドラゴン」と読んでいてどうも地味な印象を受ける。「ブラック・サンデー」なんかは手に汗握る緊迫感のある展開が続くはずなんですが、その割に地味な感じなのは、文章に華がないというか、新聞記事みたいな書き方だからでしょうか。というのはトマス・ハリスが元記者だから思いついただけですが。

やはり、「羊たちの沈黙」のおどろおどろしくも荘厳な音楽、レクターが収容されている刑務所のゴシックな雰囲気、バッファロー・ビルの家など、原作以上に雰囲気を盛り上げて見た目のインパクトを強めた映画の功績が大だったのではないかと思います。

というわけでジョナサン・デミ監督の冥福をお祈りします。

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