北野武「アウトレイジ」感想。北野映画の到達点?

北野武の映画「アウトレイジ」の第三作目が10月に公開だそうです。よかった。

北野武の映画、面白いし評判もいいんだけれど、改めて昔のやつを見るとそのわざとらしい狙った演出に気恥ずかしさを覚えてしまう。なんというか、狙ってとった構図が見え見えというか。伊丹十三の「お葬式」みたいというか。

「その男、凶暴につき」の主人公の刑事が犯人の存在に気付いて当然来た道を駆け戻るシーンとか、最後の銃撃戦後にシャッターを開けて日の光が差す場面とか、意図的な演出感がありありと出ていて、画面的魅力を感じる以上にこんな風に撮ってみましたという狙いが前面に出てきて、見ていて照れくさくなってしまうような。

そういう傾向はしばらく続いたと思うんだけど、「みんなーやってるか」とか「監督ばんざい」みたいな馬鹿馬鹿しいタイプの映画はそういう鼻につく作家性を中和するための努力だったのかも知れないと思った。

それが、「座頭市」ではあまり気にならず、北野映画であることは明白なもののごく普通に面白い、悪目立ちもしていない映画として成立していたような気がする。

さらに「アウトレイジ」にいたって、作家性がごく自然にエンターテイメントにとけ込んで、北野映画でありつつ(ジャンル自体がヤクザものではあるものの)観客を選ばない映画になっていて、これはある意味で北野映画の頂点に達したと言えるのではないか、と思った。

北野映画独特の演出が回を重ねる事に洗練され、ぎこちなさを無くしていき、特有の「間」もあまり見せすぎることなく比較的喧しい台詞回しとほどよいバランスをとっていて、さらに「アウトレイジ」のテンポよく過剰な暴力表現が映画全体のリズムをよくしている。

ストーリーそのものは、デビュー作「その男、凶暴につき」ととてもよく似ていて、主人公を刑事からヤクザに変えて原点回帰したようにも思えるけれど、クオリティが数段洗練されている、という気がする。

もちろん初期作のむきだしの演出感がたまらない、という人も沢山いると思うけど、いま改めて初期作をみると若干こっぱずかしい感じがするんじゃないかしら、と思う。

監督本人がどう思っているかはわからないけれど、「アウトレイジ」は「キッズリターン」「座頭市」と続いて作家性とエンターテイメント性が両立し、さらに監督の原点であるヤクザものとその悲哀という色調も色濃くでた傑作だと思いました。

以上、第3作が公開される前に忘れないうちに感想をかきました。

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