『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』の感想。

時間がないのでとりあえずおぼえがき。

前作を見ている人は見て損はない。というかファンなら当然みるでしょう。

お話としては、前作だけでもまあ面白かったと思うけどその続編になります。今回はルーザーズクラブの子どもたちが成長し、おとなになってからの話になります。おとなになって、再度イットに立ち向かう。

もろに前作の続きなので、前作をみずに第2章だけみるのはおすすめしません。そういう人はいないと思いますけど。ちゃんと前作をみてから、続編を見ましょう。

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構造的な問題

基本的には良く出来てるし、面白いです。ただ、前作に比べるとちょっと落ちるかな。

ここではあえて欠点を論ってみます。

おとなになった主人公たちが過去のトラウマ場面を再訪し、思い出の品を持ち寄る。それがイットを撃退する鍵となる。そして因縁の場に向かい、イットとの最終決戦に臨む。

この流れからわかる通り、前作の展開を繰り返すという構造になっている。そのため、どうしても前作の縮小再生産になってしまっている。それぞれの場面も、前作よりはいろいろ過剰気味にがんばってはいるものの、どうしても既視感は否めずちょいとインパクトが足りないかな、という感じ。

コメディに近いホラー

前作と同じく、恐怖場面はゾワゾワするものやぞっとするものではなく、びっくり系。その演出は前作と同じく冴えていると思う。来るぞ来るぞという雰囲気の盛り上げ方もいいし、そこからちょっと外してきたりと、ツボは押さえている。ただ、お笑い担当が二人いてひっきりなしに軽口を叩きあっているので恐怖というよりドタバタな雰囲気になっていて、結構笑えるかもしれない。

このあたりは好き好きだと思うが、じっとりしたホラーではないにぎやかな雰囲気はなかなか独特。

あといろんな造形のキモさは相変わらず良く出来てる。最初の中華料理屋のおみくじクッキーとかも、たいへん良くできましたといえる出来栄え。

ただイットの怖さがちょっとCGに頼り過ぎな感じがする。まるで3Dゲームみたい。アンリアルエンジンとかで描写した、ゲームのボスと戦っているみたいに感じてしまう。

キャスト

前作のよさには、展開の妙もあるけれど子役たちのフレッシュな演技がよかった、というのもある。今作のキャストは、悪くはないと思うんだけど子役ほどの新鮮さがなかった。

ビル役のジェームズ・マカヴォイとべヴァリー役のジェシカ・チャステインは良かった。ビル・ヘイダーとジェームズ・ランソンはとにかくしゃべくってる印象で、悪くないんだけどもうちょっと情緒がほしい。

カット、変更された要素

上映時間は長い。ほぼ3時間近く。でも長いわりにだれたり飽きたりしないのはテンポがよくて個々の場面の演出、つながりもしっかりできているから。

にもかからわずカットされた要素に意識がいくのは、一つには原作にそれだけ多くのエピソードが詰め込まれていたということであり、もう一つにはけっこう重要な要素が省かれているということでもある。

たとえばビルの妻が出てこない。彼女はビルを追ってデリーにやってくる。べヴァリーの亭主も。かれもまたべヴァリーを追ってデリーに。

べヴァリーの亭主はともかく、物語の重要な位置を占めていたと思うビルの奥さんが登場しないことで、エンディングとかが結構変わってる。

映画のつぎは、原作を読もう。

映画は映画でいい出来だった。映画と原作は別物。しかし、イットに関しては原作が好きなのでぜひ原作も読んでほしいと思います。

映画とはトーンが違う。映画は、原作のごちゃごちゃ詰め込まれた雰囲気はちょっとあったけど、すこし軽薄になっている。とくに後編は。原作も饒舌ではあるけれど、軽薄ではない。

ただ、文庫で4冊、単行本は二段組で上下巻という大作だし、時間は前後するしまったく別の時代の挿話は入ってくるしで、結構勇気がいるかも。わたしは3回は読んだけど。

そして原作のラストシーンの美しさには映画はかなわないと思う。ラストシーンに関しては、原作を踏襲したドラマ版のほうが好きだ。最終決戦がしょぼいとか言われてるけど、ドラマ版もいいと思うんだけどな。

でもよく思い返してみると、ラストシーンだけじゃなくて、「物語」の枠からはみ出しそうになりながら語られるこのイットという本そのものがやっぱり好きなんだと思う。映画をみた余韻にひたりながら、また原作が読みたくなりました。

キンドル版の洋書が539円だったので、こんどはそれを読んでみようかな…でも昔買ったペーパーバックがあるから、そっちを読もうかな…

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