ロマン・ポランスキー「袋小路」の感想。

ロマン・ポランスキーの初期の傑作、「袋小路」。昔から好きな映画なんだけど、表面をみただけでいろんな要素があるので何かと面白い。どういう映画か紹介します。

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「袋小路」のいくつかのポイント

白黒映画である。

イギリス映画であるが、監督はポーランド出身、女優はパリで、フランス映画っぽい雰囲気がある。白黒の画面とあいまって、おしゃれ感がある。

舞台がほぼ家の中だけで、登場人物も限定されている。

舞台は夫妻の住む古城と、その周りの砂浜。ある意味密室劇というのも、ちょっと特殊な映画っぽくて受けがいいかもしれない。主要登場人物も3人だけ。

舞台が島の古城。

島の古城に暮らす、中年男性と若い妻。そこに二人組の強盗犯が侵入するという話で、舞台が古城。おしゃれ。

フランソワーズ・ドルレアックが出演。

交通事故で25歳で夭逝したべっぴんさん、フランソワーズ・ドルレアックが出ている。カトリーヌ・ドヌーヴの姉。それだけでも見る価値がある。

主人公がドナルド・プレザンス。

依頼された仕事はなんでも引き受けたという噂のドナルド・プレザンス。偉大な脇役で「大脱走」「007」といった大作からB級ホラーまでいろいろ出ているが、一番有名なのは「ハロウィン」の博士役かな。アルジェントの「フェノミナ」にも同じような役で出ている。しかし、「袋小路」では主人公だ。小心者で事態に翻弄される英国人という役で、かれの役者としての力量が発揮される。海岸の岩に座り込んで彼が泣くラストシーンも印象的。

監督がロマン・ポランスキー。

有名監督で有名映画たくさん撮っているけど、妻がマンソン・ファミリーに惨殺されたり(シャロン・テート惨殺事件)、少女への暴行疑惑でアメリカから追放されたり。なかなか話題の尽きない監督。役者でもあり、自作の「テナント」では「袋小路」のドナルド・プレザンスを引き継いだような役柄で自ら主演している。

ジャンルが曖昧な、コミカルなスリラー。

お涙頂戴のヒューマンドラマでもなく、重苦しい犯罪劇でもなく、バカっぽいコメディでもない映画なので、表向き好きな映画として挙げるのに無難で、かつ通っぽくていい。合コンで、好きな映画は「スターシップ・トゥルーパーズ」と本当のことを言わず、とりあえず好きな映画は「袋小路」です、と言っておく。

ベルリン国際映画祭で金熊賞。

かといってマニア向けの特殊な映画とかではなく、一般的に評価されているし、見ていて面白い。コメディ+スリラーの一般受けする面白さがあって「永遠と一日」とかで寝てしまう人でも大丈夫。

ストーリーと感想。

プレザンスとドルレアック夫妻の住む丘の上の家に、ギャング二人組が押し入るところから始まる。ギャングは一人が撃たれて重症を負っていて、組織のボスからの連絡を待つ間、夫妻を人質に立てこもることにする。

ギャングも二人を傷つける積極的な意志はないので、「パニック・ルーム」みたいなサスペンス映画にはならず、緊張感をはらんだ状況ではあるもののどこかのんびりした空気が漂う、独特な雰囲気が醸し出されている。

お客さんがやってきて、ギャングが執事役を演じて場をとりなしたりと、コミカルな要素もある。そして状況に翻弄されて右往左往するプレザンス。ギャングと掛け合い、なんとか優位に立とうとする妻。

舞台は限定され、人物同士の掛け合いで成り立つ、劇にしやすい映画。登場人物同士のやりとりをメインに物語が進み、やがて人は死に、車は燃え、予定されていた波乱が起きる。独特な風貌で存在感のあるギャング役のライオネル・スタンダーもいい。砂浜を映すカメラに、エンストした自動車を押すかれがフレームインしてくるオープニングも素敵。