Netflixオリジナルドラマの中では一番プッシュされてる「ストレンジャー・シングス」。
1984年を舞台に繰り広げられる、昔懐かしい感じのB級映画のテイストをたっぷり盛り込んだちょいホラー風味の冒険活劇で、そういうのが好きだった人のツボを刺激しまくる最高に面白いドラマ。
舞台は学校、国の秘密研究施設、裏世界で、出てくるのは主人公がオタク少年4人組、異世界からきた化物、エキセントリックな母親、少年の姉、恋人の不良、謎の少女、なにかに感づく地元の警察署長。秘密研究、異次元への扉、超能力などなどのネタを詰め込んで、スピルバーグとかグーニーズとかスタンド・バイ・ミーとかファイアスターターとか混ぜたような。
なおインスピレーション元の一つはキングの「It」だけど、「It」の映画版は時代が1980年代になったので、さらにこのドラマと似ることになった。主演の一人も共通だし。
1980年代に少年少女だった人たちが成長して監督とかするような年代になって、自分たちがかつて楽しんだ作品を目一杯オマージュして作った雰囲気のドラマだけど、たんに過去作のパクリ集になってはおらず、各エピソードの描き方も悪くなく、いろんなネタが入ってくる割にごちゃごちゃせずしっかりまとめてくれて出来が良い。それから、シーズン2を見て改めて思ったのは、各キャラクターの扱いが丁寧。
そして10月にシーズン2の放映が始まり、期待してみたのですが。
まず、シーズン2全体をとしての感想。
結果は、期待どおりの面白さでした。
第1シーズン自体がラストに2つの引っ掛かりを残していました。まず、万事解決したように思わせながら、最後にウィルが謎の生き物を口から吐いて、そいつが排水口に流れていくところ。それから化物を吹き飛ばして自分も消えてしまったエルですが、署長のホッパーがエルの大好物のワッフルをこっそり持ち帰り、森のなかで木箱に置くシーン。
どちらも、いかにもよくあるB級映画のオチですが、シーズン2はそこから直接続くんだろうな、というのはほぼわかります。
で、予想通り、化物はまだ生き残っていてそいつが再び町に危機をもたらし、エルも再登場。ただし、それだけではなくて新キャラも何人か登場し、人間関係にちょっとした変化をもたらします。
そして、物語のテンポがシーズン1よりも良くなっている気がする。シーズン1に比べて物語が佳境に入ったと感じるのが早く、さらにその後の展開も見せ場が連続してテンポよく進む。エルの登場とか、化物の登場とか、シーンの見せ方も良いし。
おっきな流れとしては、出来事の規模もたいして変わってないし、シーズン1の再生産て感じなんだけど、視聴者もだいたいどうなるかわかってるし、なによりキャラに愛着が湧いているのでそれぞれの人物がそれらしく活躍するのを見ているのが楽しくなってくる。その点で、続編として間違いなく面白くなってる。
あと新しく登場した人物もきちんと見せ場が与えられているし、とにかくこのシーズンでは、すべてのキャラに見せ場があると言っても過言ではない。みんなおいしい部分があって、どのキャラも活躍できるように作られてるように感じました。
キャラ別の感想。脇役も。
みんなが活躍してる、という印象だけど、とくに新しく入った人もみんな見せ場がある。わかりやすい悪役がいなくてみんなが「いい人」っぽくなっちゃってるのは否めないんだけど、それも各人物を大切にするが故か。まあ、異世界及びそこからくる化物というでっかい敵がいるので、みんながいい人でもかまわないんだけど。
主人公たち
主人公4人組は相変わらず、出番はたくさんある。まずはウィル。シーズン1では異世界で行方不明、出番は一番少なかった。シーズン2ではやっと主人公たちと活躍できる…と思いきや、やっぱり化物に見つかって後半はベッドか椅子に縛り付けられてるというかわいそうな役でした。シーズン3に期待。
ルーカスは一番しっかりものっぽいポジションを維持。しかも新キャラのマックスといい仲になるという、女心もつかむ公私共に?充実した日々を送る。シーズン3でもこのラッキーポジションを維持できるか。
今回、ダスティンが主人公たちのなかでは一番印象強い。化物の子ども、ダートとのエピソードから始まってマックスへの恋、そして最終回のダンスシーン。スティーブのアドヴァイスを元にばっちり決めたつもりの彼だったが、ダンス会場でマックスをひと目見た瞬間、マックスとルーカスが出来てるのに気づく。その後の行動と顛末に、拍手を贈りたいです。
マイクは主人公なんだけど、画面には出ているんだけど、今回は他のメンバーに比べると印象が薄い。マックスを邪険にあつかったり、エルがいなくなったのが相当こたえている様子。その点、ルーカスやダスティンよりも一歩先んじていますね。
それにしても主人公たち、だいぶ成長した感じがしますね。やっぱり子役は成長が早い。
マックス(セイディー・シンク)
今回新たに登場した第二のヒロイン、マックス。転校生で、周りと馴れ合わないクールな態度。野蛮な兄貴とあわせてなんか秘密があるのか、と思ってしまうが、とくにそういうのはなくて単に複雑な家庭環境のせいかちょっと性格がひねてるというだけの、普通の子。ゲーセンのディグダグで高得点を叩き出しルーカスとダスティンのハートをかっさらう。
一見取り付く島もないように思えて、ハロウィンに誘われればちゃんと来るし、仲間に入るよう誘われれば一緒に行動してるし、そういうところが可愛い。あとエピソードのタイトルで「マッドマックス」とかついてるけど、本名がマキシーヌっていうのも笑える。エルとはマイクを巡って一瞬火花を散らしたが、その誤解は解けるのか。まだ立ち位置が不安定なので、シーズン3ではエルとの関係を含めてどういう立ち位置になるのか気になる。
ボブ(ショーン・アスティン)
ジョイスの彼氏役でなんとショーン・アスティン登場。最初はセンスの悪いダサいおっさん、っていう印象で、子どもにも受けが悪い。で、ジョイスがまた暴走して壁を落書きだらけにすると、それを否定してドラマ的には憎まれ役なるのかと思いきや、まさかの能力を発揮して一躍ヒーローに。さらに研究施設の建物がロックされた際には、プログラムがわかるのは自分しかいないと自らコンピューター室に乗り込んで解錠にトライ、さらに男を上げる。
かれの役どころは途中で変わっていったということだが、ショーン・アスティンの目が非常に印象的。単なる憎まれ役で終わるにはもったいない存在感から、いまある役になったんでしょうね。
エル(ミリー・ボビー・ブラウン)
髪がベリーショートから天然パーマへ。それと一時的にオールバックに黒のアイシャドーというメタル系ファッションにもなります。超能力を発動すると鼻血が出るのは治っていません。
ビリー(デイカー・モンゴメリー)
マックスの義理の兄で、典型的不良。金髪の長髪でなんていうか、1980年代。マックスは父親の再婚相手の連れ子で、学校の送り迎えなんかを押し付けられるので鬱陶しく思っている。そのくせマックスに他の連中とつるむなと命令したり、基本的にやなやつ。腕っ節も強く、スティーブとやりあう。
カリ(リネア・ベルテルセン)
実はエルの他にも、施設で飼育されていた子どもがいた。それがカリで、腕に記されたナンバーは8。カリは他人に幻影を見せるという超能力の持ち主。シーズン2ではほんの数エピソードに登場するだけだが、重要人物には間違いない。
フーパー署長
エルを森の奥の小屋に一年近くも匿っているのはほとんど児童虐待案件ですが、状況が状況だけにどうしようもない。結局、切れたエルが逃亡、署長は激怒という後味の悪い展開もあるのですが、署長は相変わらず活躍します。
スティーブ
当初、不良っぽかったけどだんだんふやけてきて、シーズン2ではすっかりいいお兄さんみたいな役に。子どもたちと一緒に化け犬と戦い、ビリーとは殴り合いの喧嘩。ダスティンに、女の気を引くなら最初は気のないふりをしろとアドバイス。その結果、ダスティンは…。ナンシーのことを想いながらも、涙をのんで身を引く。
サム先生(ポール・ライザー)
研究施設に新たに赴任した博士。医者。前任のマッドサイエンティスト役を引き継ぐのかと思ったら、ウィルの症状を見て真剣に同情してるようだし、情報開示に積極的だし、「エイリアン2」みたいに裏切り者役なのかと思ったら今回はいい人みたい。
マイクのお父さんとお母さん
マイクのお父さんは子どもに無関心な父親というステレオタイプだったけど、シーズン2ではその役をすこし笑える域まで押し進めて好印象。お母さんも、終盤でビリーに「ナンシーのお姉さん」とかお世辞を言われて舞い上がり、ひょっとすると今後なにか展開があるかも。
マイクの妹
このドラマでは空気みたいな存在なのがマイクの妹で、まだ赤ん坊なんだけどシーズン3ではなにかお話に絡んでくるんでしょうか。それともただいるだけ?ちょっと気になります。
シーズン3への期待
とりあえずシーズン4までは続くらしい。一応そこで完結予定、ひょっとしたらまだ続くかも。シーズン3、4の大まかな展開は決まっていると見ていいでしょう。シーズン2のラストを見る限り、シーズン3はよりおおごとになりそうな予感。
それから子役が成長著しいので、ナンシー絡みの恋愛だけじゃなく子どもたちの恋愛も話に盛り込まれそう。
それからカリが再登場するのは間違いないでしょう。
シーズン1、2は基本的に同じ話の繰り返しだったので、シーズン3では舞台を広げて街から出るとか、国が関与してくるとかもありそう。一応、外部に事件を伝えているし、またしても街の中だけで完結というのは、さすがにそろそろリアリティが無くなりそうなので。人間関係とのバランスを上手く取ってくれればそれもいいけど。
あとは主要キャストが全員続投してくれることを期待したいですね。