ツィッターとかで話題の「連ちゃんパパ」、無料で全話よめるっていうので読んでみました。
主人公のクズっぷりや、主人公だけではない登場人物の全員悪人ぶりがすごいとか話題だったので、ちょっと怖いもの見たさもあって読んでみたのですが。
でもまあ、読んでみたらそこまで邪悪というほどのものではありませんでした。私が鈍感なのか?主人公はたしかにクズな面もあるけど、それと同時に親子、家族の愛情も漫画の主題になってて、それを裏切るような行為の連続で展開する漫画ではありますが、それと同じくらい家族愛がテーマ何じゃないかなと思います。
一貫してストーリーがある。
普通に漫画として面白い。全43話、それほど長くなくて、始まりから終わりまでの一貫したストーリーがきちんとあって、中だるみはほとんどない。ラストもきっちりオチをつけて終わってる。
パチンコ雑誌に連載してたというけど、そもそもパチンコで身を持ち崩す話。
まず、主人公の奥さんがパチンコで借金まみれになった挙げ句、家庭を捨てて男と家を出る。主人公のクズさが目立つ話が多いけど、もともと優秀な教師で生徒にも慕われていた主人公がおかしくなるそもそものきっかけはここ。
そして自らパチンコを体験し、のめり込み、後戻りできないパチンコ狂になっていく。と同時に、一人息子はパパに心を閉ざしてしまい、ママがいなくなったのはパパのせいだという。
パチンコで職もなくしその日暮らしになってからのパパは、高利貸しの取り立てを手伝ったり他人をパチンコ沼にハメて財産をむしり取ったり、昔の教え子たちがパチンコをやめてまっとうになれるように、とカンパしてくれたお金で早速パチンコを打ったりとなかなかのクズっぷり。
ママの方もなかなかに打算的でしたたかな面が見え隠れする。
しかし、どっちも結局は子供に対する思いがあるんだよね。パパもクズいところを見せつつ、やっぱり本心では子供のことを考えている。ママもそれは同じ。
パチンコの他にも、ママが付き合ってた男がマルチ商法の会社やってて、ママはいつの間にかそこの会長に仕立てられてたとか(もちろん男はママに全部おっかぶせて逃げる)、預かった15万円を転んだ拍子に失ってしまうとか、どうしようもない不幸が降ってかかる全43話なんだけど、そういう波乱万丈の中でも家族愛みたいなのが描かれてるのがこの漫画だと思います。
パパが息子の先生を手篭めにしたのには引いたし、それなら弁当屋の親父を型にはめるのも非道いとしかいいようがないんですが、そんなクズでも子供への愛情がないわけではないんですね。
それから妙な縁で一家と付き合う高利貸しのヤクザ。外面はヤクザそのもので鬼とか言われながらも、実は情深くなんだかんだいってパパや息子を気にかけてくれる。
絵
絵は洗練されててうまいと思います。キャラクターの表情、動作が型にはまってて、そつなく描かれててブレがない。きれいとかかわいいとかじゃないんだけど安定感があってうまい。ヤクザが人を足蹴にしているときのポーズが気に入った。
この絵柄でこの内容というギャップを感じている人も多いようですが、この絵柄だから不幸な出来事もデフォルメされて毒素がほどよく抜けているんだと思う。主人公の境遇もそれほど悲惨に見えないし。
ほのぼのした絵柄の闇金ウシジマくんという評もありましたが、それよりもむしろ、パチンコ雑誌ということで、絵柄にふさわしいほのぼの漫画とナニワ金融道的な非情をうまい具合にミックスしたものだと思います。
まとめ
こういう漫画、ほとんどよんだことなかったんだけど面白かった。
たしかに主人公はパチンコの軍資金のためにあっけらかんと非道いことをするし、結局はパチンコでスッて金にまつわる苦労が連続するんだけど、読んでる感じはナニワ金融道。あれと比べて特別なにかひどいってこともないような。
主人公も何度か立ち直ろうとするし、いったんはうまくいくこともある。パチンコが発端ではあるけど、後半で失敗するのはパチンコ以外の理由でもある。後半では、なんとか大金をせしめようと計画し、結局失敗に終わる、というパターンも何度か見えて、じゃあ何が描きたいのかって思って考えてみると、やっぱり紆余曲折ありながら一緒に暮らすことになった家族の姿なんじゃないかなー、と思いました。
このマンガ図書館Zというサイトで無料で読めました。