「ウォーキング・デッド」 シーズン8の感想。ここで終わっても違和感なし。

ウォーキング・デッドシーズン8を最後まで見ました。

第8話で衝撃的な出来事が起き、それを受けてのシーズン後半だったわけですが、結論から言うとけっこう面白かった。

しかしアメリカではこれまで好調だったシリーズがここに来てやや低迷していて(それでも高視聴率なほうですが)ドラマの行方についていろいろ言われています。

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「ウォーキング・デッド」視聴率が落ちているのはなぜなのか。

まあ、視聴率が下がったというのもなんとなく理解できます。結局、同じことの繰り返しが延々と続けられることにみんなが飽きてしまった。ゾンビの群れをかい潜って安住の地にたどり着いたと思ったら、今度は人間同士の争いで安全地帯崩壊。裏切りもの、敵側の人間などを殺すかどうか逡巡しながらまたゾンビをかい潜って次の安全地帯を目指す…。

その時々で敵対する集団は変わりますが、ようするにこれの繰り返しなわけです。で、もう結局飽きが来ちゃったと。

それから根本的なキャラクターの魅力が薄れつつあるのかな、とも思う。シーズン7の冒頭でシーズン1から登場していた主要キャラがあっさり死んでしまう。それは仕方ないことかもしれないけど、この展開を受けて必然的になぜあるキャラが死に、他のキャラが残っているのかを考えてしまう。そして、いまの主人公側のメンバーにはそれほど活躍の度合いの多くないメンバーが結構いることに気づいてしまう。

なんというか、メンバーの数は多いんだけど、個々がバラバラに行動していて数話に一度そのメンバーに焦点が当たるだけで、集団としての有機的な結合が感じられないんですよね。

これはシーズン8でも同じで、救世主vsリック軍団という大きな構図を見せる上で余計なキャラクターが多すぎる、というか登場人物たちを描ききれていないように感じる。

シーズン8はつまらないわけではなく、むしろ面白い。

そうした印象をもった前半を見た上で第9話以降を観る。以下ネタバレがあるので注意してください。

まず、8話でゾンビに噛まれてしまったカール。これはあまりにもびっくりな出来事だった。主要キャラと言うより、ある意味主人公クラスだと思っていたカールがここで脱落するとは。

9話はそれを受け、ほとんどカールの追悼回とでも言うような内容。しかし、それがけっこう退屈。たとえ主人公クラスの人物であっても、もはや単体でその死のみを持って1話引っ張れるほどの力は持っていないのでした。

ただカールは残る人々に手紙を書くという憎いことをしてくれます。そして、リックやイーニッドたちだけでなく、ニーガンにも手紙を残している。こうして、死してなお後に影響を残すところはさすが主人公級といえます。そしてシーズン8冒頭の、年老いたリックが平和そう暮らしている光景が、実はカールの想像だったということが明らかになります。このへんはきれいにまとまっていたと思う。

しかし去る者は日々に疎し。その後はリックvsニーガン、リック軍団vs救世主の争いがメインになりカールくんのことは殆ど忘れられてしまいます。結局われわれが見たいのは救世主とその他地域の対決、その趨勢帰結であって、死者を追悼している余裕などないのであった。

救世主との争いが加速して、アクション的には楽しめる。

アクション的にはリックvsニーガンの1on1が楽しめ、その後はお互いの集団による侵攻作戦が展開されます。リックvsニーガンは周りがゾンビだらけの建物地下で行われますが、ゾンビが空気なのが笑えます。RPGでキャラのレベルが高すぎてスライムとかの雑魚ではダメージを受けないっていうのは、こういう感じなのかなと思いました。

その後は、ニーガンの一時失踪からの救世主内部での反乱の兆し、それに困惑するドワイト。サイモンがニーガン不在の隙にリーダーになろうとし、その後ニーガンが戻ってからもニーガン暗殺を目論むわけですが。

もともとこの集団はニーガンのカリスマ性、凶暴性によってまとめられていたもので、ドワイトのように暴力で無理矢理服従させられているものも大勢含まれているはず。そしてサイモンも、ニーガンがリックに攻撃され行方不明になったことで権力争奪を画策する。今まではだれもがニーガンに従い、周りも言うとおりに物資を供出してくれていたけれど、リックたちが登場してからはそうは行かなくなった。そういう意味ではこの反乱劇もリックやマギーの影響によるもので、救世主は戦闘で被害を受けるだけでなく、組織内部でも質的な変化が起きている。

この辺りから最後の衝突まではなかなかおもしろく、ドワイトをダシに使ってリックの一歩先を行くニーガンや、絶体絶命のピンチを迎えながら、当てにしてなかった偶然とも言える僥倖で切り抜けるリックといういつものパターンがハラハラドキドキで楽しめます。ドワイトは結局こういう、スパイをしようとして失敗する小物のような扱いなんだなあ。

そしてこのシーズンで一番感じたのはラスト。これ、このシーズンで完結していたとしてもおかしくない展開になっていると思う。

まるでドラマ終了していてもおかしくないような、きれいにまとまったラスト。

それまでは安住の地が破壊されてさまようところとか、絶体絶命の危機を迎えたところとかで最終回、っていうのが多かった。しかし今回はニーガンとの争いに決着がつき、それぞれの集団に平穏が戻ったところで終わっている。そしてその終結についても、亡きカールの遺書に従ってお互いに手を取りあって人として再建していこうという前向きなもので、なんというか放浪の果てに息子の死によってようやく正しい道を見出したリック、という一つの区切りになるものになっている。

もちろん、途中の回で現れたヘリの正体や新たに登場した3人組という謎はあるし、こんどはリック側に内部分裂か?と思わせるラストでドラマ自体が続いていくことは間違いないんだけど。そういう引きをなくして、ラストをもうちょっと盛り上げる演出にしていたら、このシーズンでドラマ終了していてもおかしくないと思ってしまうような最終話だった。

今後に期待すること。

しかし地域別の覇権争いがひとまず落ち着いたところで、次に起きるのはなんだろう。今度は今まで仲良しだった集団同士のパワーバランスが崩れるのか?それだとあまりに閉塞感があって、ますます視聴率が減りそう。

謎の3人組はかなり資源もたくさん持っていそうだし、彼らの所属する集団がでてくるんでしょうね。ヘリコプターも同じ人たちのものかもしれない。対立するのでなければ、世界を再建する方向に向かったりするのか。

個人的にはまた新しい集団と接近し、軋轢が生じ、対立、といういままで繰り返されたパターンから脱却してほしい。制作側はこのシリーズを続けられる限り続けて、スピンオフも含めてウォーキング・デッドワールドを作り上げたいらしいけど、失速する前にきれいな結末を見せてほしい。同じ展開をだらだら続けるくらいなら、宇宙人が襲撃してきてみんなで協力して戦うとか、まったく違う方向に向かってほしい。

そんなことを思ったシーズン8でした。結局、シーズン9も観るでしょう。