ボクシング連盟の山根会長。おもてなしリストに罪はないが、日本ボクシング連盟を道連れにしてとっとと辞めるべき。

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1.

日本ボクシング連盟の山根明会長のものすごい権力者ぶりがニュースになっている。一連の報道で一番おもしろかったのは、やはり山根会長が全国各地に赴いたとき、その地の支所に通達される「おもてなしリスト」だろう。ホテルに配備するべきおつまみ、酒、果物の種類が銘柄まで指定されて細かく記されているほか、山根会長の食事の好み(肉は和牛しか食べない、目玉焼きは外はカリカリ、なかはとろとろとか)まで詳細に記されたリスト。ホテルや旅館はこれを参考にしてじゃらんとかで予約できる「山根プラン」を作るといいと思う。あとコンビニや駅弁などで、幕の内弁当の上位版として「山根弁当」を販売すればきっと好評を得られるに違いない。

しかしこのおもてなしリスト、これを山根会長が強要したというのは考えづらい。会長ともあろうものがそんな下らない事にまで気を使っていられないから。きっと、周囲の者の忖度、おそれおおい会長に対する阿諛追従の結果としてああいうリストが出回ることになったのだろう。

このリストが面白すぎてそもそもなんで山根会長がテレビを賑わすことになったのかすっかり忘れてしまったのだが、発端は助成金の不正支出だった。それも個人的に使い込んだとかではなく、支給されていない選手に転用したとかで、それ自体はそんなに大した問題には思えなかった。

しかしその問題の裏に山根会長のおもてなしに象徴されるいろんな問題があって、それが一気に噴出したんだろうと思う。

2.

山根会長自身は、自らの行動についてまったく悪いとは思っていない。反省する必要もないと思っているフシがある。これはまったく本当で、本気で、これっぽっちも悪いと思っていないんだと思う。

わたしは山根会長はやめるべきだと思うが、それは「奈良判定」疑惑という、自分の思い入れのある奈良県の選手に有利な判定になるよう、審判に圧力をかけていたという疑惑があるから。これが事実なら、とっととやめるのがボクシング界のためになるだろう。しかし一方で、山根会長はそんなことはしていないと言い張っている。現に審判が山根会長に圧力をかけられたり、意に沿わない判定を下したものがいつの間にか試合に呼ばれなくなったりという事実があるにもかかわらず。

これは山根会長のモノゴトに対する認識と世間一般の認識にずれがあるからにほかならない。審判を呼び出して個別注意をしたりするのは、山根会長にとっては悪いことでも何でもない。世間一般ではそれはハラスメントとよばれ問題視されるが、そういう見方が一般化したのはわりと最近のこと。山根会長としては、暴力や買収という手段によらず、話し合いで言って聞かせた結果審判の判定が変化したのであれば、それは自分の意見が正しく、相手が正しい道に修正されたというだけのことに過ぎない。おもてなしリストについても、まわりが勝手にやっていたことで山根会長になんら悪い点はないし、そもそもあのリストは悪いことでも何でもない。

3.

ある意味で山根会長の態度は正しい。かれには悪いことをした自覚が(たぶん本当に)ない。ヤクザと付き合いがあったと認めたのも、あったのだから当然である。最近の芸能界がヤクザとの付き合いを忌避するのはこれ以上ヤクザを入り込ませないようにするためであって、過去のヤクザとの付き合いをほじくり返して処罰するのは単なる見せしめに過ぎない。山根会長が思ってもいないのに自分の行いが悪かったと認めるのは、これまでの良いことも含めたすべての人生をなかったことにする愚行であり、自らに嘘をつく行為であり、そんなことをするのは人としておかしい。

山根会長の問題は、自分の行為の一部が世間的にはいけないことだとわからないことだ。おもてなしリストも、親族が関連会社の社長なのも別に問題ではない。最大の問題は審判への圧力だと思う。なぜそれがいけないことだと思わなかったのか。

さらなる問題は、どうして山根会長がこのような世間と乖離する存在になってしまい、これまで存在してこられたのかだ。

4.

結論から言うと、日本ボクシング連盟がおかしいから。

おそらく山根会長は有能な実務者で、かれが会長になったのは当然という面もあったのだと思う。逆に言うと日本ボクシング連盟に彼に匹敵する人材がいなかった。そしてまた日本ボクシング連盟があまりにも閉鎖的な組織で、組織内の慣行が外部の常識によって試される機会がなかった。

その結果山根会長は永久会長に祭り上げられ、地方入りする際にずらりと並んだ黒スーツに敬礼されホテルにおもてなしの品が配備されることも審判に文句を言うことも助成金の配分をいじることも少しもおかしいと思わない、世間一般とはずれた組織が出来上がった。

5.

山根会長のおかしいと思われる行動についてテレビで告発する人がいたり、連名で告発状がでたりしているが、ちょっと遅かった。株式会社なら、もう少し早くそうした行動がとられていたかもしれない。一般財団法人という組織の内部がどんなことになっているのか、よくわからない。

山根会長はやめてしかるべきだと思うが、それなら日本ボクシング連盟も大幅な組織改革をしてしかるべきだとおもう。アマチュアボクシングで金メダルをとった村田諒太は、山根会長に対して「やめるべき」と発言した。それに対して山根会長は「生意気」であり、金メダルをとれたのは村田個人の力ではなく連盟の力のおかげであると反応した。わたしとしては、山根会長が去り、村田諒太世代の人員が中心になって構成されない限り、日本ボクシング連盟はまともな組織にならないんじゃないかと思う。

それとこういう、組織の闇みたいなものは、規模の大小を別にしてボクシング連盟以外にも無数にあると思う。

ボクシングは詳しくないけど好きで、選手も覚えてられないけどよく見る。wowowのエキサイトマッチという番組も暇があれば全部みたいくらい。疑惑の判定とか八百長の噂はたまに聞くが、さすがに「奈良判定」みたいなのは興ざめなのでやめてほしい。その一点だけで山根会長にはとっととやめてほしい。