「カメラを止めるな!」盗作騒動について。

ひとことでいうと、訴えを起こしている側の筋が悪すぎる。理由がよくわからない。

これまで盗作騒動で問題になったものはたくさんあるけど、たとえば柳美里の小説とか、田口ランディの小説とか、明らかに無許可でモデルや文章をパクったものは作者に非があるとされる。裁判沙汰にならなくても、パクリが発覚した時点でパクった側に相当の悪印象がつくし、大抵の場合はバレればパクリを認めて謝罪何なりすることが多いみたい。

で、「カメラを止めるな!」の場合、最初からエンドロールに原案という形で元になった舞台については記載されてるんですよね。

エンドロールに舞台が原作だと書かれていたので、この映画を舞台でやるのってそれはまた難しいだろうなとか、舞台は話題にならなかったのかなとかいろいろ思ったことを鮮明に覚えている。なので、舞台の監督が今更パクリ問題を持ち出してくることにまずすごい違和感があった。

しかもこのネタを紹介した記事を読むと、舞台版の監督である和田亮一も最初は映画を応援し、見て感動し、ツイッターで宣伝しているという。それが一体どういう経緯でパクリ告発になってしまうのか。ちょっと理解しがたい。

告発者した和田亮一のメッセージをノートで読んでみたんだけど、やっぱりわからん。要は「原作」としてクレジットしてほしかった。それで元劇団員のみんながうちの芝居が原作なんだよ!と素直に応援、自慢できるようにしてほしかった、ということなんですが。

それって、現行の「原案」表記じゃだめなことなんですかね?

少なくとも舞台版の脚本を書いた人と、この告発者ともと劇団員の気持ちがどうなのかは、それぞれに人に聞いてみないとわからないことなので、まずこの人が劇団全体の気持ちを代弁するような格好で告発しているのがちょっと変かもしれない。

それと、原作なのか原案なのかは、実際に舞台版を見て映画と比べてみないことにはなんとも言えないのでわからない。ただ、舞台は殺人サスペンスがネタで映画はゾンビ物なので、肝になる構成は一緒でも、細部には相当の違いがあるような気はする。

このノートを読んでいると、告発者がもっとも気にしているのは、告発者に提示された「原案利用契約書」なのではないか、という気もする。告発者に対して、「今後の映画、舞台におけるリメイクその他二次利用に関する一切の権利を持てない」ことを了承しろという内容らしいが、これは多分映画版の「カメラを止めるな!」についてのことなんだよね?だとしたら、まあそれは当然かな、と思う。そのかわり、もとになった舞台の権利者は変わらないわけだから、告発者が再上演したりすることになんの問題もないわけだ。あるいは台本を出版したり。

もし、元になった舞台のリメイク、二次利用の権利を持てないという契約だとすると(そんなおかしなことはないと思うが)、その場合は舞台版の権利を映画側が買い取るような形になると思うので、劇団側にも相応の金額が提示されるはず。

映画版のリメイクの権利を持てないというのは当たり前だと思うので、そのへんにこだわっているんだとしたらそれもよくわからん。

金が目的ではないとも書かれているので、原作料よこせというわけでもないようだし。

そもそも「オリジナルストーリー」と言われているのが気に食わないということだけど、原案表記はちゃんとされているし、監督も舞台が元になったと明言しているのでその最初の時点でいいがかりみたいにも見えるし。

いずれにせよ原作を作った告発者と、映画側でもめているのは確か。

よくわからんが、個人的には、原案でも原作でもうける印象はそれほど変わらないが、「原作」にすると法律上/慣習上ややこしい権利関係が発生するから映画側のプロデューサーがなんとか「原案」にさせた。そのへんに気づいた告発者がやっぱり「原作」じゃなきゃおかしいともめてる、そんなところなんでしょうか。

大ヒットした映画「テルマエ・ロマエ」では、原作者は映画化に際して100万円もらっただけだとかで話題になってました。「カメラを止めるな!」については舞台の直接の映画化ではないので、舞台関係者には一銭も渡っていないでしょう。そのあたりがもめてる原因でもあるのかな、というのはゲスの勘ぐりか。ただ、舞台スタッフの中には映画版の制作に多少関わっている人もいるみたいなので、和田亮一の主張を読んでいるだけではよくわからない点が多すぎます。

映画への舞台製作者の許諾に関してかなり曖昧なところがありますが、せっかくの映画に水をささないよう、どこか落とし所を見つけてほしいものです。

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