新潟県知事選、花角氏が勝利し、野党の推す池田氏が負けました。

2018年の新潟県知事選が終わりました。候補者の花角氏は自公の支援を受け、対する池田氏は野党の支援を受け立候補。与党vs野党の選挙という一面もある選挙でした。また、不祥事で辞任した前米山知事は、主に原発反対を訴えたことで当選できた感があり、それを受けて今回の知事選では候補者の原発政策にも注目が集まったと思われます。

結果は花角氏の勝利。なかなか興味深い選挙だった。花角氏の勝因と池田氏の敗因を考えてみました。

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投票率

そもそも、前知事が出会い系サイトで買春していたという不祥事によって発生した選挙なので、わりと注目度は高かったと思います。

また前回の選挙から、新潟県知事の原発に対する姿勢が大きな要素として取り沙汰されていて、その点は今回も変わらず。原発政策は県内外を問わず注目される要素なので、そういう意味でも注目されたと思います。

さらに、原発を推進したい自民党と自民党に対抗する野党がそれぞれ候補者を擁立して戦ったので、与野党の戦いであるとか、この選挙に安倍首相三選の行方がかかっているとか新潟県外にもアピールする要素がありました。

いろんな条件が重なって、投票率はかなり高かったようです。58%くらいだったかな。それだけみんな注目していたということです。

普通、投票率が高くなると野党が強くなると言われるのですが、今回は結構高めの投票率なのに自民党が推す候補が勝利しました。これは重要な気がします。

原発

この選挙戦で焦点になると思われたのが原発再稼働に対する姿勢です。

はっきりいうと、池田氏がアピールできるのは原発再稼働を絶対に許さないという主張だけだったと思います。それ以外に、池田氏がアピールできる点はあまりなかったのではないか。全知事の米山氏の勝因もほとんどそれだけです。基本的に池田氏はそれを踏襲するしかなかったし、そうしていた。

しかし、原発反対の主張の中に、「首相官邸の言いなりにはならない」という余計な文言がくっついてしまった。これによって池田氏は原発反対ではなく、安倍反対の候補になり、さらに野党の代弁者として見られるようになった。

こういう要素が裏目に出てた可能性があります。

対する花角氏はどうしたか。前知事の進めていた原発に対する検証作業は継続し、それが完了するまでは再稼働の議論はしない。さらに、将来的には脱原発の社会を目指す。

これは優等生的な正しい答えで、池田氏のような過激さはなくても原発に一定の距離をおく態度を匂わせています。そして、「将来的には脱原発」。将来とはいつなのか、10年後なのか100年後なのかはここではどうでもいいのです。

花角氏も原発が大きなファクターになることは重々承知だったにきまっています。再稼働推進を多くの県民が許さないだろうことはわかっていた。なので当然原発再稼働には慎重な態度をとり、それによって池田氏の主張を相対的に弱めることに成功しました。

本来ならば池田氏は花角氏は原発推進派であるという対立点を作り上げて戦うはずだったのが、躱されてしまった。

それに花角氏の発言には政敵を避難する余計なニュアンスがなく、わたしとしては池田氏よりもよほどクリーンに感じられました。

初の女性知事

池田氏が女性であるということから、初の女性知事を誕生させようとか、女性をアピールする動きもありました。

これはあまり効果がなかったと思います。

というのは、新潟では田中真紀子、菊田真紀子、金子恵美といった女性政治家はまえからいるし、女性だからどうこうという考えは投票の際にとくに影響を与えなかったのではないか。

原発以外の政策

原発以外の政策については、よくわかりません。こういうのはやってみなければわからない。選挙のポスターにかかれていることや公約なんかは聞く人の耳に心地よい言葉をられるしているだけだと思ったほうがいいので、その点ではどちらも似たようなものかもしれません。

それよりも肝心なのは結局、人間です。候補者個人の資質、人柄が重要になってきます。

個人的なつながりなんかがない場合、その人の来歴、経歴を見るしかありません。そういう点で比べると、政治家としては花角氏のほうがはるかに格上といった印象です。

自民党vs野党

この選挙でもっとも興味深かったのは、自民党vs野党という構図が全面にでていたこと。

自民党は加計学園、森友学園問題で首相の支持率が低下している最中ということもあり、表立って応援演説に立ったり、積極的に自民党の名前を出して支援したりということはやっていなかったみたいです。ただ、二階幹事長が来て支援団体を周り、組織票を固める方針で動いていたようです。

対する野党は6党が全部池田氏を全面的に支援。

ただ、ここでも野党がやっていたのは池田氏の支援というより安倍政権の批判でした。立憲民主党も、自由党の小沢氏も、言っていたのは「安倍政権を終わらせる」ということで、なんかずれてるなと感じました。

花角氏の勝利

選挙の結果、花角氏が勝利しました。これをどう考えるか。

前回の選挙では自民が推す候補が破れ米山氏が当選しました。今回も池田氏が相当支持を広げているという調査結果で、相当の接戦になることは予想されました。

わたしは投票率が58%というのをみたときに池田氏が勝つんじゃないかと思いましたが、そうはなりませんでした。

おそらく池田氏の敗因の一つは、原発問題が争点にならなかった点。それから、新潟市、長岡市では十分な活動ができたようだけど、それ以外の地域で得票が伸びなかった。新潟市、長岡市は新潟県の中では大きい。都会はリベラルが強いので、そこで票が伸びるのは理解できる。しかし、人工の多い部分を抑えても勝てなかった。

参考リンク:

どの市町村で差がついているのか? 新潟県知事選の得票率と得票数を地図化|三春充希(はる) ⭐第50回衆院選情報部
今回の新潟県知事選は前回よりも投票率が上昇し、各社で出口調査が食い違う接戦の末、自民・公明の支持する花角英世氏が当選を確実にしました。 図1.今回の選挙の得票数 まず、今回の選挙の得票数を確認しておきます。花角英世氏の得票率は49.6%で、半数までは到達していません。立憲・共産・社民・自由・国民が推...

これは自民党の組織力の賜物なのか、それとも無党派層が野党ではなく自民党に流れたのか。

投票率があがり、無党派層の票が増えるとふつう野党が有利といいます。それが自民党に流れた。花角vs池田という個人レベルでみたら、経歴からしても花角氏のほうが格上と冷静に判断して花角氏を選んだのか、それとも自民党vs野党という構図を見て自民党に入れたのか。

どちらなのかはわかりませんが、はっきりいって野党をうざいと思っている人は相当数いるのではないか、と感じます。

野党のだめなところ

野党のだめなところは、森友学園、加計学園の問題をいたずらに長引かせて国政を停止させているところです。そして本質的には、それ=与党批判を自らの使命と勘違いしているところ。

加計学園の一連の問題について、なにかしらの忖度はあったのか。あったに決まっています。忖度とは美しい言葉で、言われなくても人の心を慮るいかにも日本的な態度です。それがあったかなかったかなんて、あったに決まっている。問題にしている人には怒られるかもしれませんが、あって当たり前だと思います。

野党は批判するのなら具体的に首相が金を受け取った証拠とか、犯罪の証拠を提示する必要があるのではないかと思います。それをできずにこの問題を引きずっても無意味だと思います。

新潟県知事選に露骨に与野党の対立を持ち込んだために、この問題に飽き飽きしている人が、野党を嫌って花角氏に投票した可能性さえあると、思うのでした。

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