Kindle Oasis レビュー。電子ブックリーダーとしては最高、でも問題もある。

amazonの電子ブック端末、キンドル。その最上位機種のキンドルオアシスを買って、とりあえずしばらく使ってみたんで感想をかきます。

大雑把に言うと、電子書籍としての使い勝手は相当いい。キンドルオアシスでもペーパーホワイトでもどっちでもいい。いま買うならその2つがベストだと思う。でも電子書籍特有の問題もあって、それに納得できる人にはおすすめできるということになる。そんなに本を読まないという人は、無理して買う必要ない。

スポンサーリンク

基本的に使い心地は最高に近い。

初めてキンドルを見たのは大分昔の世代で、ページ送りも遅いし反応も悪いし、こんなもん使い物にならないのでは、と思っていた。しかしいまの第9世代のキンドルは全くストレスなく動く。読書用のデバイスとしてはかなりいいと思う。

画面

E-inkのおかげなのか、なんとなく目が疲れない気がする。スマホとかよりギラギラしてなくて目に優しいというか。ある程度の時間続けて読んでても目が痛くならない、気がする。昼間あかるいところで読んでても問題ないし、太陽光の下でも読めるし、夜はバックライトあるから電気消して布団の中でも読める。明るさ控えめなせいか、布団かぶって読んだりしててもあんまり目が疲れない気がする。

スマホのキンドルアプリで読んでても意外と読めるんだけど、スマホの小さい画面でずっと読むよりは疲れない。オアシスは画面が7インチでペーパーホワイトよりでかいので、さらに読みやすい。
解像度は300dpi。最近のスマホは平気でフルHD+とかなので、それに比べると少し解像度が低いのでは、と思っていたけどまったく問題なかった。

実際に読んでみるとフォントのガタツキは見えないし十分きれい。300dpiあれば十分なんだっていうのがよくわかった。それからフォントサイズ、行間の幅なんかを調整できる。この点は紙の本よりすぐれている。もっとも、縦読みとかで組版に意味をもたせている書籍の場合、レイアウトの自由度が増すことで意味が損なわれてしまう可能性があるけどそのへんはどうなんだろう。

操作性

操作性はまあまあ。E-inkなのでスマホとかタブレットみたいなスムーズなタッチ操作はできない。しかしページ送りは専用のボタンがあるので快適だし、画面をスワイプしてのページ送りも、スムーズで特に問題はない。一枚ずつのページ送りに関しては、むしろ紙の本を超えている。歯磨きしながらとか、何かしながらとか、ご飯を食べながらとか、片手でめくるのは紙の本よりも早く楽にできる。

文章の一部を選択してアンダーライン引いたりするのは、ちょっとコツがいる。長押ししたときの選択範囲が微妙にくせがあって、慣れが必要。あとドラッグして選択範囲を広げたり狭めたりするときにどうにも反応が悪くてちょいとイラつく。でも、まあ許容範囲かな。

とにかく、キンドルだとテーブルに置いておいても勝手に本が閉じたりしないし、基本片手でページめくれるし、便利。

検索機能

検索機能は紙の本にはない利点。本文中で文字列を検索できるのはとってもとっても便利。検索すると、使われている箇所が一覧になってでてくる。登場人物が登場する/言及される場所がずらっとわかったり、文章の書きぐせがわかったり、思わぬ発見もあります。

ページをパラパラ流し見する、というのが電子ブックだとできないのですが、検索機能を使うことでかなり近いことができる気がします。探したい何かがわかっているときは紙の本よりも早いかも。

それから辞書機能もついてて、最初からけっこういい国語辞典と英和辞典、和英辞典が入ってて言葉の意味を調べることもできる。さらにwi-fi接続が必要だけどウィキペディアで調べることも可能。この辞書機能はいいんだけど、ちょっと不満もある。

防水

お風呂で読書ができる。もちろん、紙の本でもタオルに包んだりしてお風呂で読める。しかし、キンドルは無造作に風呂場に持ち込んで風呂に持ち込んで湯船につかりながら読める。うっかりお湯に落としても心配ない。

もちろん屋外で、小雨が降ったりしていても気にする必要ない。

より一般的なメリットとして、テーブルに置いていて水やコーヒーや醤油をこぼしちゃったりしても安心していられる。この点は紙の本に圧勝している。

容量

8GBモデルを買った。これで文字中心の本だと数千冊は入るらしいです。保存できる冊数は挿絵とかが多い本だと減り、漫画本とかはさらに減ります。画像の多い本を読む人は32GBモデルを検討するのもいいかもしれません。漫画中心に読みたいひとは32GBのほうが余裕があっていいかも。小説とか中心なら、とりあえず8GBで十分な気がします。

電池

なんかamazonの紹介ページだと数週間持つとか書いてあるけど、それは大げさだろう。でも、読まない日がしばらく続いても一週間くらいはらくにもつし、残量が10%くらいになると警告が表示されるけどそれから充電すれば十分。スマホみたいに毎日充電する必要はまずない。

というわけではっきり言ってかなり快適です。新刊を買うときに紙の本とキンドル版がどっちも出てたら、キンドル版先に買っちゃおうかなと思うくらいに快適です。

なので基本的にはおすすめの端末なんですが、問題点がないわけではありません。ここからは不満な点を書いていきます。

不満点その1、辞書機能

英語で連語が検索できない

検索機能自体は便利なんだけど、辞書としては、ちょっと問題がある。あ、とりあえず英語辞書の場合。

英和辞典と英英辞典が入ってるんだけど、英和辞典だと連語が検索できない。たとえば “each other” とか “instead of”みたいなありきたりな熟語を検索しても、

お探しの言葉が見つかりませんでした

って虚しく表示される。でもそれぞれeach instead で引けば、その用例の中にはどっちも出てくるはずだけどね。なぜかフレーズでの検索ができない。

英和辞典で副詞が検索できない。

それから、副詞も検索できない。これ結構致命的だと思うよ。検索はできるんだけど、出てくるのはこんなの。

rav-en-ous-ly
[副]→rav-en-ous

副詞のもとになっている形容詞が表示されるだけ。

で、ここで表示されたravenousって文字にリンクでもはってあるのかと思いきや、ない。つまり、ここで行き止まり。そしてキンドルの辞書、出てきた単語の前後のページ、単語を見ることができない。ただ上記の2行のみが表示されてそこから移動できない。だからこの検索結果からはravenouslyの意味もravenousの意味もわからない。…意味なくない?

しかも、英文の場合キンドルで検索できるのって単語単位だから、ravenouslyって単語のravenousの部分だけ選択して検索することもできない。つまり英和辞典では、実質的に副詞の意味を調べることはできない。なんだこれ。

まあ、英英辞典だとまともで、ravenouslyを検索するとちゃんとravenousの項目が表示される。普通そうだよね。

さっきのフレーズ検索も、英英辞典だとちゃんとできたりする。なんで英和辞典でできないのか不思議なんだけど、仕方ないから英英辞典にきりかえて調べたりする必要がある。

同時に複数の辞書で調べられない

これもちょっと不満でね。

キンドルは単語調べると同時に3つのウィンドウで検索結果を返してくれる。ひとつはウィキペディアで、一つは英英辞典または英和辞典で、もうひとつはキンドルに備わってる辞書機能。

この3つのウィンドウで使われる辞書を自分で選択できたらいいんだけど、キンドルではウィキペディアと内臓辞書は固定されている。

キンドルの内蔵辞書はほとんど役立たず。これ無駄だから、最初から検索に使う辞書をユーザーが選べるようにしてほしい。英英辞典と英和辞典両方で検索結果を表示するようにしてほしい。もしくは4つウィンドウだすとか。

ウィキペディアの検索結果を返すより、googleの検索結果を返してほしい

ウィキペディアはまあいいんだけど。wi-fiにつながってるときしか使えないけど、固有名詞とかで役立つときもあるし。

でも、それだったら最初からgoogleの検索結果返すのがいちばん手っ取り早くない?
キンドル内臓のブラウザ機能はまだ「体験版」という扱いだけど文字ベースのサイトなら表示できるから、正直なところ単語調べるのもそれでweblioとかurban dictionaryみるのが一番はやい。

という、この辞書機能の問題点ははキンドル使っててもっともがっかりした部分でした。便利は便利なんだけどね。ツメが甘いというか。

不満2、値段が高い。

もうひとつの問題は価格。まず、本体の値段が高い。2019年に購入したこのモデルだと、いまは最安の構成で29,800円。保存できるのが8GBで、広告付き。

この広告って意味不明で、わざわざお金出して買った端末で広告が表示されるというのが理解できない。当然、広告表示しないモデルを選ぶんだけど、ちょっと高くなる。こんなもん、最初から同じ値段で広告なしであるべきだと思う。

容量は、文章中心なので8GBで問題ない。広告なしの8GBモデル。

そうすると31,980円。

しかし、ゲーム機とかと違って、キンドルがないと読書ができないわけではなくて、ちょっと便利に読書ができるという機能に3万円をだすことをどう考えるかですね。たしかに軽いし使いやすいし便利で、風呂でも本を読めたりいいんですが、故障するし永遠に使えるわけではないし。それに3万円をどう考えるか。

3万円かかるなら、その3万円分、本を買ったほうがいいのでは、と本好きのひとなら考えてしまうと思います。文庫なら30冊は買える。それにブックオフとか古書店なら買い方次第では100冊は買える。中古なら100円しない本もあるし。

不満3、読める本が限定されている

そう、中古本が読めないのもキンドルというか電子書籍全般の特徴かもしれません。

キンドルで買える本に中古というものは存在しません。当たり前といえば当たり前なんですが、どんなに古い本でも大量に出回っている本でも、基本的には定価で買わざるを得ないということになります。そのかわりたまにセールがあったり、まとめ買いでさらにお得になったり、ということはあって、新刊なら紙の本より安いことがほとんどなんですが。

そして、値段だけじゃない問題としては、そもそも電子化されていない書籍はキンドルでは読めないということです。

古典的な本とか名作やベストセラーはキンドルでも買えるし、著作権切れるくらい古いものは青空文庫版が手に入ります。新刊も最近は多くが電子書籍版も同時販売されるようになってきました。

しかし、大多数の過去の小説、本は電子化されておらず、される見込みもないものが多いのではないでしょうか。このへん、今後どうなるのかわかりませんが、現時点でかつて出版された本の大多数がキンドルではアクセスできないのは厳然たる事実です。

読みたい本、お気に入りの本がキンドルで読めなかったとしたら、残念ですね。

まあ、キンドルで読める本も大量にあるからその中で探していけば読むものが不足するなんてことはまずないでしょうけどね。

電子書籍は永遠に手元において置けるのか?

それから、いつまでキンドルのフォーマットが続くのか、という問題。

紙vs電子書籍に関連して、紙の手触りがどうとかそういうのはあまり気にならないんですが、気になるのはamazonがこのサービスを止めたら購入した電子書籍は一体どうなるのか、ということです。キンドルが壊れたらその電子書籍はどうやって読むのかということです。

キンドルという端末が壊れたらまた新しいのを買わないと読めないのでしょうか。まるでメガネやコンタクトレンズのように一生お金を出して買い続けなければならないのでしょうか。それもちょっとめんどくさい。

データの信頼性の問題もある。データ自体はどこかにバックアップをとったりできるでしょうが、フォーマットが時代遅れになったり、読めなくなる可能性は十分あると思います。そういう面での信頼性は紙の本のほうが圧倒的に高い。

まとめ。読む分には確かに便利。

そんなわけで、いろんな問題がありつつも便利な端末でした。

不満点は他にもあるんですが、辞書機能以外はkindleの問題というより電子書籍全般に当てはまる問題なのでkindleが悪いわけではありません。むしろ電子ブックリーダーとしてはkindleの使い心地はとてもすぐれていると思います。

ある程度たくさん本を読む人、通勤とかでいつも本を持ち歩いて読んでいる人なんかにはおすすめできます。あとは上記の問題に納得できる人なら、おすすめできます。個人的にはかなり便利に感じています。

あ、画面が少し小さいだけで、基本的な読書感覚は変わらみたいなのでオアシスじゃなくてペーパーホワイトでもいいと思います。

次のキンドルはカラー?

E-inkの世界は進歩が進んでいて、カラーのE-inkがすでに開発されて、ほぼ実用段階に入っています。

で、どうも次のキンドルはカラーになるのではないかという話を読みました。推測段階ですが、カラーE-inkがかなり進んできているので時代の流れ的に次はカラーE-inkの採用になるだろう、そうしなければ他社との競争に出遅れる、といった論調でした。

ま、どうなるかわかりませんが次世代キンドルを待ってみるのもいいかも。

タイトルとURLをコピーしました