「オフィサー・ダウン」 つまらない警察小説。

前に読んだつまらない小説のことをふと思い出し、しばらくねばってようやくタイトルを思い出した。 「オフィサー・ダウン」という小説。テリーザ・シュヴィーゲルという女性の作品。ハヤカワミステリにあって、+暇つぶしになんとなく手に取ったのだと思う。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞とあったのでまあクオリティは保証されているのだろう、と。

でも読んでみたら全然面白くありませんでした。女性警官が主人公で、冒頭で罠にはめられ、同僚警官の殺害容疑をかけられてしまう。その疑いを晴らすべく行動を開始する、という話。その後、警察内部の陰謀とかいろいろあってさらに窮地に追い込まれたりするんですが。

はっきりいってこの主人公、まともに捜査しているようには思えない。冒頭で殺された警官は自分の元彼氏で、捜査協力を頼む警官は自分の不倫相手で、こいつの頭の中には捜査のことより色恋沙汰しかないんじゃないか、と思います。

不倫相手にストーカーみたいにつきまとったりして、むしろ捜査の邪魔をしてるうちに、いつのまにか事件が進展している感じ。その間に、車を(わざと?)ぶつけてきた金持ちの男と知り合って行きずりの情事をするエピソードもあったりして(本筋とは無関係)ますます主人公が馬鹿に思えます。

この馬鹿さ加減というのは上記の金持ち男のエピソードのように意図的なもので、なにか隠されたプロットがあるんじゃないか?とも勘ぐってしまいますが、主人公の一人称視点で書かれてるので行間も裏もなく、けっきょく最後まで主人公はほとんど活躍せずにおわります。

それとも、主人公の馬鹿さ加減、大事なことがあるのにそれを忘れてついつい恋愛やらなんやらに翻弄される人間の悲しい性を描いた小説だったんだろうか。それなら納得できるけれど、どっちにしてももっと真面目に捜査しろよ、という感想に変わりはありません。警官が主人公で、事件を捜査する、犯罪小説なんだからね。

なんでこんなもんがアメリカ探偵作家クラブ賞なのか。女性警官が主人公で女性が作者だから、という、男女平等、女性の社会進出を目指す過渡期に起きたちょっとした行き過ぎなのかしら。まあ、こういう小説はあまり読まないので賞の位置づけ自体よくわからないんだけど。ひょっとしてモンドセレクション金賞みたいなものなのか?

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