「ベイマックス」をみた感想。予告編がすこし詐欺っぽい。

ディズニーのアニメ映画で、フルCG。最近のCGは本当に進化していて、見ていて楽しい。

舞台はサンフランソーキョーという架空の都市で、サンフランシスコと東京を混ぜたような感じで時々日本語の看板が映ったりする。題材がロボットだから、アトムとか鉄人28号とかAIBOとかを輩出した日本に敬意を表してのことなのかな?主人公が日系人ぽい名前なのもそういう面でのリスペクトなんだろうか。それとも、全然関係ないのだろうか。調べれば分かるのかも知れないけど、調べてない。

見終わって第一に感じたのは、日本での予告編とのギャップでした。映画館で見た予告編は、「ディズニーが送る新たな感動ドラマ」みたいな雰囲気で、ベイマックスという介護用ロボットのもたらす癒しが主題のほのぼのドラマを期待させるものでした。

実際の映画は、むしろスーパーマンとかスパイダーマンみたいなヒーローアクションだった。ベイマックスは心に傷を負った主人公を慰めてくれて、介護用ロボットとしての役割も果たしてるけれど、そのテーマを物語の主軸にするために主人公のお兄さんが犠牲になったのかと思うと少し残念な気もしました。お兄さんが死ぬ場面が少し唐突で、物語のために無理に殺している感じがした。

まあ面白い映画だったと思うけど、予告編で想起された感動みたいなものはなかった。予告編を見たときに全く違うタイプの物語を想像していたからだと思う。あの予告編ではこのドタバタアクションは予測できなかった。ベイマックスは普通に面白い映画でよかったが、予告編で想像されるものではなかった。そして、もし俺が見たのが映画本編を忠実に連想させるような予告編であったなら、この映画を観たかどうか。積極的には(お金を払ってまでは)見なかっただろう。ベイマッククスは、普通にアクション映画として宣伝してくれたほうがよかったんじゃないか。少なくとも、あの予告編では本編の内容は想像できないし、意図的に観客を誤解させようとしている。そんなことをする必要ないのに。

だいたい、予告編は本編のいいとこ取りで、本編より面白いことが多い。実際に映画をみて面白いと思う率が60%位だとすると、予告編のおもしろ率は90%を超えるかも知れない。それは当たり前で、ほんの数十秒とか数分の中に本編のいいとこ取りをしてストーリーを作り上げるのだから面白くないわけがない。派手な場面ばかり集めたり意味ありげなシークエンスを連続させたりすれば、たいていの映画から興味を煽る映像を作り出すことはできるだろう。昔はビデオを借りてきて、本編が始まるまでの予告編を見ているのが楽しみだった。時にはとりあえず予告編だけ見てビデオを止め、本編は後ほどあらためてみると言うこともあった。つまり予告編と本編を別立てで楽しんでいた。(なぜか、DVDの予告編はうざいと思うことが多い)

CMは面白くするのが当然だと思う。時には本編より面白くなってしまうが、そんなCMにつられて本編を見て、つまらなかったとしたら、それはそれはCMの手柄だ。CMは本編以上に面白くあるべきだ。低予算で鼻から宣伝費などかけられないような、しかもつまらない映画なら、無理矢理予告編をでっちあげるのは仕方ないと思う。苦し紛れの予告編と本編のギャップを楽しめることもあるかもしれない。しかし、嘘はいけない。映画の内容を誤解させるようなCMはよくないと思う。

少し前は、やたら「愛」を叫ぶCMが多かった。主人公の行動は、全てが愛のためだった。馬鹿馬鹿しかったのは「300」で、半裸の男どもがひたすら戦うという内容だったが、CMではそれすらも「愛」のためにされていた。馬鹿かと思った。「とりあえず愛をうたっていれば客が入る」「客を呼ぶには愛をテーマにしなければならない」とでも思っていたのだろうか。もしそうなら、観客を馬鹿にしている。この映画での主題はCMに謳われたような愛ではないからだ。主題は300の兵で数万の兵に立ち向かったスパルタ王の勇気とか強さとかそういうもので、この映画では愛は添え物みたいなものだ。「300」はもともと面白い映画だ。間抜けな予告編はかえって映画を貶めている。

予告編とは少し違うが、続き物は客が呼べないという配給会社の判断で「ロード・オブ・ザ・リング」が三部作だということを隠して上映されたというのを聞いたことがある。真偽は不明だが。また、「ザ・シンプソンズ」の日本語版で、吹き替えのキャストがテレビ版のキャストから変更されたことがあった。どちらも、映画会社が観客を馬鹿にしていることを示している。こういうことが少しでもへるといいんですけどね。

まあ、こんなことはそれほど多くないと思う。やっぱり、予告編は面白いものが多い。

それと、予告編だけじゃなくてDVDとかビデオのパッケージに書いてある宣伝文句も、結構すごいのがあると思う。昔、何かのアクション映画のパッケージに「カロルコ超特急!」とかいてあった。何のことだろうと思ったら、カロルコは配給会社だった。ターミネーター2とかを作って、その後カットスロートアイランドを作って倒産したすごい会社だ。それから「ミッドナイトクロス」という、ブライアン・デ・パルマ監督の映画。「トリックは、映画そのもののトリックになる 映画の虚構を突くデ・パルマの傑作サスペンス!」「・・・コマ撮りされた殺人現場の写真、音声テープ、隠しマイクなど、二重、三重のトリックが巧妙に仕掛けられたデ・パルマの傑作サスペンス。」と書いてり、いったいどんな奥深い映画なのかと期待させられるが、残念ながらたいした映画ではなかった。ま、こういうのは別にいいと思うんです。「ナポレオン・ダイナマイト」が「バス男」になるのはどうか。ナポレオン・ダイナマイトじゃだれもみないよ。流行りものに引っかけようと、たまたま主人公がバスの前に立っていたカットを使ってタイトルを「バス男」にし、なんとか電車男にあやかった。これくらいの山気は、まああってもいいんじゃないかと思います。

  • ベイマックス
  • (BIG HERO 6)
  • 監督: ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
  • 2014年
  • 上映時間 102分
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