疲れて、突然映画を見に行きたくなった。映画館好きなので。
「シン・ゴジラ」が大ヒットしてて映画も評判いいのかぁ、と思っていたら「君の名は。」っていうのがあっさりゴジラ越えの大ヒットだって。なにをみようかな・・・
で、「ウシジマくん」を見てきた。
前作とかに比べると雑に感じました
なんというか、ちょっと雑な部分があるかなぁという感じ。
雑さというのは、たとえば天生塾のセミナー風景。セミナー中にこんなのぼったくりだとわめく闖入者が乱入する。(ちなみにドラマのシーズン3に登場したK)かれは100万円払って受講したこのセミナー、そこでもらった情報商材どおりにやってみたがちっとも稼げない、詐欺だと訴える。天生は、返してほしかったら返してやるとKの足下に100万円を投げ捨てる。そして、本当にこれがほしいのか。今100万円を手に入れるか、それとも明日の1億円を手に入れるのか、どっちがいい?とかいってあおる。それからなんか世界地図を見せて日本がどこにあるか指摘させ、真ん中だという答えに対しよその国で使われてる世界地図をみせる。そこでは当然だけど日本は真ん中ではない。視点を変えることであなたも100万円稼げる、というんだけど、意味不明なんだよね。物の見方を変えることが新しい価値を生むきっかけになる、ということは分かるんだけど、この地図を使った説明はその後ももう一回でてきてそこでも受講生が大げさに驚いているんだけど、そんなたいした説明か?水戸の紋所みたいに持ち出すほどのものじゃないだろう。
それからそれを聞いたセミナー受講生がわざとらしくうなずいたり、拍手し始める様子、Kがそれに説得されてがっくりうなだれて「もう一度御願いします」みたいなこという仕草とか、できの悪い三文芝居みたいで。かりにKがセミナーのサクラだとしても、天生のしゃべりにはそんな説得されるほどの話術も理屈も見えなかった。このセミナー、主人公?の若者がネットビジネスに入っていくきっかけになるところで、観客にもそれがどういったものなのか説明する大切な場面なので、もう少し状況説明も交えて丁寧にやってほしかった。
(ちなみにKをやってるのは金田誠一郎という役者さん。ドラマのシーズン3ではめちゃくちゃな衣装に出っ歯の入れ歯で、異様な風貌だった。台詞は少ないんだけど、ちゃんとした台詞に聞こえた。でもこの映画ではよく言えばゲスト出演、悪くいえば使い捨て感があった。)
あとは、お金の流れがいまいち不明で、主人公は高級マンションにすんでフェラーリに乗るほどの身分になるんだけど、自転車操業とはいえそれを維持するだけの収入があったということだ。それがどこから入っていたのか、よく分からなかった。地元の悪友(=かりべー)に情報商材を売って、おまえも売ったら手数料をやるといってさらに販路を広げるマルチ商法だけど、映画で見える限りではたいして人脈があるように見えないし。まあ、その後自分でセミナーを開き、そこでの販路で成功したということだろうけど、そこがあまりよく分からなかった。最初に販売した悪友が存在感ありすぎて、どうもそいつらと組んで商売してる感じがつきまとっていたからかな。実際は最初のノルマ達成の手がかりとしてかりべーを使い、その後は独力で成功。さらなる高みを目指して邁進していたが、そこで、最初に情報商材を買ったかりべーが、いわれたとーりやったのにぜんぜんかせげねーじゃねーか!と(Kのように)因縁をつけてくる、という流れかな。
かりべーは見た目もインパクトあるから、前半だけ出てきて、あとはしばらく演出を控えて、後半でまた登場させた方がよかったのでは。なんだか出ずっぱりな感じがして、主人公のマンションを襲撃するところもちょっと意外感がない。あと、見た目アブなそうだしやることも危険な割には、雰囲気がお笑いになってるんだよね。かといって危険な状態との落差で恐怖を演出するわけでもない。これは、同じく頭のネジがゆるんでそうなかりべーの彼女とのほのぼのシーンがところどころでてくるからかな。かりべーはIQ低そうだけど、その分暴力の行使に対して抑制のなさそうなアブない目つきをしてる、もっとヤバいやつだよという見せ方をした方がよかったのではないか。
あとはなんだろうな、丑嶋くんの友達の戌亥が天生の金の流れを調査するところとか、なんか浮いてませんでしたか?あのシークエンスだけ別の映画みたいでした。別にいいんですけど。
この映画でもう一つの柱になってるエピソードは、借金してキャバクラにはまってるサラリーマンの話で、サラリーマンをオリエンタルラジオの藤森が演じている。お笑い芸人は場慣れしてるせいか、演技もふつうでよかった。あと彼はチャラ男キャラで売っているけど、このサラリーマンが頭の中は女のことしかないチャラいやつなので、藤森も演じやすかったのではないか。
高橋メアリージューン演じる犀原という女闇金屋とマキタスポーツ演じるその部下の村井は、出番は少ないけどうるさくもない。前作ではちょっと犀原のキンキン声が気になったけど今回はそんな叫ぶシーンもなく、部下との組み合わせもよくてよかった。
それ以外の人たちは、前作と比べると少し演技レベルが全体的に落ちる気がした。
それから、カウカウファイナンスの事務員、とくに話に絡むわけでもない脇役なんだけど、金髪で無駄に目立つ。最上もがという女優で、ここに、この役でいる理由が分からない。前作の人か、そのままドラマのシーズン3の人でよかったよ。
ドラマと地続きで撮影している感じで、画面に映画らしさが感じられない。セミナーの風景とか、なんとか祭とかの様子もちょっと安っぽいんだよね。映画のウシジマくん1だと、けっこうがんばってる感じがしたんだけど・・・。
つまらなくはないが、映画館で見るほどでもない
以上、不満点を述べました。好きなら見て損はしない。でもテレビとかレンタル待ちでもいいかな。と思いました。是非とも映画館でみようという感じではなかった。
あと個人的に一番気になる点。かりべーが、金儲けるにはおれもあいつと同じ事をすればいーじゃんといって主人公のように情報商材を売る。しかしその「商材」はガチャガチャのカプセルに1枚の紙切れを入れただけの代物で、その紙切れには「金持ちになりたければ俺と同じ事をしろ」と書かれている・・・。この展開は原作の漫画も同じだったと思うけど、この紙に書いてあることはマルチまがいの情報商材ビジネスのある意味本質を突いていると思う。こういうのって分かる人にはすぐ分かるけど、分からない人にはなかなか分からない類の事だと思う。この映画の主人公は紆余曲折を経てそれに気づき、自分も天生のまねをしてセミナーを開き、「稼いでいる自分」を売り出す。なんでかりべーがそれに気づけたのか。かりべーはあほそうだけど地元のガラの悪そうな連中をまとめてるみたいだし、たぶん、かれは見た目あほだけど勘が鋭く意外と馬鹿にできないやつなんだろう。