「ジャドヴィル包囲戦」の感想。コンゴ版「ブラックホーク・ダウン」か?面白い。

Netflixオリジナルの戦争映画で、コンゴ動乱の最中に起きた一紛争を描いたもの。こういう話があったとは全く知りませんでした。国連軍とフランス人率いる傭兵部隊の戦闘。

戦争映画というより戦闘映画ですね。第二次大戦後まもないころにコンゴで発生した戦闘を扱っているのですが、国連軍vsフランス傭兵部隊というこれまで見たことのない対戦相手の戦闘で、それだけでも興味深い。そしてシチュエーションも、国連軍としてコンゴに送り込まれたアイルランド軍の1中隊が、数で勝る傭兵部隊の猛攻に耐え必死で籠城するという熱いもの。しかも、このアイルランド軍はこれがはじめての実戦経験だという…。

敵地の真っ只中で押し寄せる敵兵をなんとか押しとどめるというシチュエーションから、「ブラックホーク・ダウン」のような雰囲気のある映画でした。もの珍しい組み合わせもあって、面白い映画でした。

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コンゴを部隊に、フランス人傭兵部隊と国連軍が戦う珍しい実話戦争映画

実際にあった出来事で、コンゴ動乱やコンゴからカタンガ共和国が独立するという事件の発端になった話や、当時の国連側の動きなんかはだいたい事実なんだとおもいます。しかし戦闘場面については映画向けに相当脚色がされているのではないかと思います。さらに国連総長ハマーショルドの乗った飛行機の墜落原因が戦闘機による撃墜っぽく描かれていたり、当時コンゴで国連の外交官をしていたオブライエン博士はあからさまな悪役として描かれていたり。でも、そうしたはっきりした演出が、劇映画としては分かりやすく、おもしろい。

アイルランド兵たちがコンゴに向かうまでは、ちょっと退屈であまり印象に残らない場面が続きます。冒頭で黒人の偉い人が殺されるのも、唐突でそれが誰かもわからないので効果的とはいえない。そもそも、これがコンゴ動乱の話だとかまだ良くわかってないし。

なので映画が面白くなってくるのはアイルランド兵がコンゴに向かい、自分たちの拠点にたどり着いてからです。

実戦経験のないアイルランド軍が主人公。

国連のいわゆる「平和維持活動」のためにコンゴに送られたアイルランド兵ですが、実はこのアイルランド軍、これまで実戦経験がない。隊長は歴史書やなんかを読みふけっているインテリっぽく描かれている。しかしジャドヴィルの拠点についてすぐ、その無防備ぶりに驚いた隊長はとりあえず部下に塹壕を掘らせ、最低限の守りを固めさせる。この辺りをみるときちんと行動をとれ、リーダーとしての素質はあるらしい。

戦闘に至る背景。

コンゴからの独立を宣言したカタンガでは国連部隊ははっきりいって邪魔者扱い。国連部隊がじゃまくさいカタンガ側はフランスに掛け合い、ウラン鉱山を引き合いにだし警備会社社員という名目で傭兵を派兵させる。

隊長が町に一杯やりに出かけた際出会ったのは、フランス人の傭兵部隊を率いる隊長。ここでも隊長はそれなりに対応し、ただのインテリじゃない、ちゃんとした隊長らしいキャラなんだなっていうのがわかる。そして相手には手練の兵士がいるから増援をよこせと国連に要求。

ま、そもそも平和維持活動ということでとくに困難もないと想定し、実戦経験のない部隊が送られたのかもしれない。しかし独立を宣言するチョンべと国連軍の間で戦闘が起き、カタンガの市民が巻き添えになったことえ自体はいっきにきな臭くなる。

そして報復に、炭鉱経営の社長がフランス人にジャドヴィル襲撃を命じ、戦闘が始まる。

映画を見ていると、フランス外人部隊がそのままカタンガに派兵されたのかなと一瞬思ってしまうけど、そうではなくあくまでも傭兵というかたちでフランス人が派兵されているみたい。ジャドヴィルを襲撃したのはそのフランス人傭兵たちと現地の兵隊の混成部隊のようです。

戦闘シーンはフェーズが分かれていて、わかりやすい。

日曜日なのか教会にいて、いきなりの攻撃に慌てふためくアイルランド軍。しかしすぐに応戦し、塹壕に身を潜めて対応。ここで指揮官のまさかの判断ミス、「敵は高台から南側に攻めてくる、精鋭に守らせろ」と断言しますがそれが大外れ。理論と実戦は別物な部分があるのでしょう。部下の信頼を少し失います。しかし、日頃の訓練の賜物か、アイルランド軍の練度が高かったのか、第一波はなんとか撃退します。

続けざまにくる第二派。ここでは、戦闘を見物に来たのんきな敵社長を見つけた隊長が、狙撃手に命じてかれを首尾よく狙撃。敵を一時退却させます。

その後、敵の降伏勧告を拒否しあくまでも拠点を死守するアイルランド軍にさらに攻撃が加えられる。衛生兵の影に隠れてこっそり展開する敵スナイパーや、迫撃砲など、続々と迫りくる危機。しかし隊長の機転と的確な判断、あと頼れる軍曹のおかげでなんとかそれをかいくぐる。

この映画では6日間に渡る戦闘が描かれるが、ぶっ続けで戦い続けるわけではなくて敵が何度かに分けて襲撃してくるので、フェイズがはっきり別れている。そのおかげで徐々に疲弊していく様子が分かりやすくなっているし、攻撃が来るたびに劣勢になるので意外と緊張感もでているような気がする。

でも、ジャドヴィルは完全に包囲されているので、結局は弾丸が尽きてしまうのでした。隊長は何度も援軍を要請するものの、国連大使のオブライエン博士は完全に無視。

敵もそのうち戦闘機まで出してきたり、迫撃砲で武器庫を狙ってきたり、いよいよ切羽詰まった事態に。建物まで砲撃で破壊されるが、アイルランド軍はそれでも抵抗をつづける。からの薬莢を拾い集めて箱に詰め、そこにダイナマイトを仕掛けて即席の爆弾を作ったり。この辺で隊長はもう立派な隊長として見事に振る舞っている。

だがしかし、弾も食料も尽きた状態でこれ以上抵抗しても部下を無駄にするだけ。最後の最後、隊長は降伏し、アイルランド軍は全員捕虜となるのでした。

戦闘の終結とその後。

国連の都合で翻弄されたアイルランド軍が解放されて故郷に帰ったのはその1ヶ月くらいあと。あれだけ頑張ったアイルランド軍を待っていたのは、任務の失敗という責任と世間からの冷たい目。故国と国連のためにジャドヴィルを死守したと誇らしい気持ちだった隊長は、おまえが国連の立場を危うくしたと逆に叱責されてしまう。軍法会議にかけてもいいんだぞと脅された隊長は「それでも軍人ですか」と上官をぶん殴る。そんな隊長の姿を見て、部下たちはみな、彼に敬礼を送るのでした。

国連の立場的にほぼ「なかったこと」にされたジャドヴィルでの戦闘ですが、2000年代に入ってアイルランド軍の名誉回復がなされ、勲章が授与されたそうです。

結局のところ、アイルランド軍は降伏してしまったわけですが、かれらの戦いぶりはどうだったのか。なんとこの戦闘で150人いたアイルランド側の死者は0。その一方、カタンガの混成部隊は300人の死者を出し、さらに多くの負傷者を出しているということです。一人一殺を軽く超える戦いぶりで、降伏はしたものの戦いぶりは立派なものだったと言えるのではないでしょうか。

まとめ

そんなわけで、新鮮なネタを手堅くまとめたジャドヴィル包囲戦はかなりおすすめできる戦争映画でした。

Netflixで暇つぶしのネタを探す場合、Netflixオリジナルはそれなりに予算をかけてリサーチのもとに作ったものが多いようなので、ハズレが少ないかもしれない。知名度がないのと、Netflixのサムネイルがどうもしょぼく見えるのでなかなか食指が動かないことが多いけど、どうしようもないC級映画を見るよりはむしろ積極的に見ていったほうがいいかも。

  • ジャドヴィル包囲戦
  • (The Siege of Jadotville)
  • 監督: リッチー・スミス
  • 2016年
  • 上映時間 148分