元SAS隊員アンディ・マクナブが書いている、元SAS隊員が主人公のニック・ストーンシリーズの感想。

前に戦争ゲームをやっていたとき、武器の種類が沢山出てきて軍隊の種類もたくさんあるのに違いがよく分からず、そういう違いを説明してくれる本を探しているときにたまたまアンディ・マクナブの「ブラヴォー・ツー・ゼロ」と「SAS戦闘員」を見かけて、読んでみた。

結局、銃の種類は細かい違いは未だにさっぱりわからないんだけれど、大雑把にわけてライフルとスナイパーライフルとショットガンとマシンガンとかがあって、軍隊も各国に軍隊と特殊部隊がある、という基本的なことがわかった。それ以上に、マクナブの本が結構面白かったので、かれが書いている小説も読んでみた。

ニック・ストーンという元SAS特殊部隊員が主人公の、ニック・ストーンシリーズ。

はっきりいって、客観的にみてそれほど面白いとは思えない。ストーリーはワンパターンだし(シリーズが進むほどにそうなる気がする)、文章は単調。描写もディティールが売りなのかも知れないが、くどいことも多い。「復活の日」の後半の追跡劇なんて、いったいいつまでこれ続けてるんだろ、って思いながら読んでしまった。

にもかかわらずついつい気になって、しばらく見かける度に買って読んでました。

主人公は元SASの精鋭で、優秀な工作員として政府の仕事を請け負って暮らしている。

時期によって政府に雇われていたりフリーだったりするけれど、仕事以外の生活面ではダメ人間で、それもだらしないとか不潔とかそういうのじゃなく、基本的な対人関係を築けないという、なんというか問題を抱えた子供がそのまま大人になったようなダメさ。著者のアンディ自身も捨て子で養子に出されていて、少年院にも出入りしていたので、ついついアンディ≒ニックとしてみてしまう。

そんなニックが養子の娘ケリーとの関係に悩んだり、上司と揉めたりするところに、本筋の任務とは別にどことなく気を引かれる。これは、文章が下手だとか言っておきながらあれだが、すっかりニックに感情移入してしまっているのでしょうか。

それから、英国的というとあまりに雑なまとめ方になるんですが、暗い。英国的に暗い気がする。だいたい、こういう小説とか映画の主人公は無敵で、機転が利いて、どんな難局も切り抜けるものと相場が決まっている。この小説の主人公も工作員としては優秀で、機転も利く。ただ、他の作品と違うのは、敵も同じくらい優秀だと言うこと。

多くの映画とかで主人公の決定的に有利な点は、主人公が優秀なことだけでなく、相手方がより弱いことにある。こちらの弾はあたっても敵の弾は当たらないとか、そういった主人公補正が当たり前のように効いている。

でもニック・ストーンシリーズだと、敵も味方も同じくらいの知能、同じくらいの能力として描かれている気がする。主人公が最後に一騎当千の活躍をしてすべて無事解決、とかそういうことには決してならない。テロリスト集団が本気出せば、これくらいやるよな、みたいな妙な納得感がある。その納得感があるから、いつもワンパターンの辛い展開で、あーあ、とか思いながらもついつい読んでしまうのかも知れない。

まあ、あまり馴染みのない世界各国で馴染みのない諜報活動、というよりはもっと過激な非公式活動が、かなり詳しく描かれているのでそれだけでも興味深いのは間違いないんですけど。

一応、日本では5冊邦訳が出ているようですが、最新のが2007年の「解放の日」ですね。それからすでに10年。次が訳される可能性は限りなく低いような気もしますが、次作の”Dark Winter”はひとつの区切りになる作品なので、ぜひこれだけでも翻訳を出して欲しいものです。

なお、その後もシリーズは順調に出続けて2016年時点で18冊もあるみたい。わたしは8冊目まで読みましたが、その先を読みたいかといわれるとちょっと微妙です。若干飽きてきたのもあるし、ワンパターンのアクションもので気晴らしに、というにはちょっと暗めのテイストの話ばかりなもので。

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