映画「ルールズ・オブ・アトラクション」の感想。なんだろう、この虚しさは。

アメリカの大学生の虚無的な生活を描いた映画。

「レス・ザン・ゼロ」、「アメリカン・サイコ」に続くブレット・イーストン・エリス原作の映画化で、ジャンル分けすればいちおう恋愛映画になるのかな。でも、これも底にあるのは一貫して同じような虚無感で、どうにもやり場のない虚しさがこみ上げてきます。

大学生のパーティ会場での乱痴気騒ぎから始まって登場人物それぞれの恋の行方が描かれているんだけど、とくにだれにも感情移入できないという不思議な映画です。恋愛映画に求める環状の昂ぶりもなく、画面上の賑やかさとは裏腹に感情的起伏のない淡々とした印象を受ける。

映像的には、ハンディカメラでの撮影とか早回し、逆回しみたいないろいろな手法がごちゃごちゃと取り込まれていて、画面の色使いも全体的に暗いなかで登場人物のファッションなんかは賑やかなものがあるんだけど、それがかえって登場人物の内面の虚しさを浮き彫りにしているような気がする。

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本質的な部分では「アメリカン・サイコ」と同じ

つまり、これは本質的な部分で「アメリカン・サイコ」とセットになっている映画なんだと思う。もちろん、世界観も原作も地続きなので(本作の主人公は「アメリカン・サイコ」の主人公の弟)、それは当たり前といえば当たり前なんだけど。

「アメリカン・サイコ」はホラー/コメディの装いで主人公の恐ろしくスカスカな内面を描いた映画だったけど、こっちは恋愛/コメディの装いで登場人物のスカスカな内面を描いている。

で、「アメリカン・サイコ」のショッキングな描写と最終的な帰結はなんとなく調和しているきがするんだけど、「ルールズ・オブ・アトラクション」では一見するとふつうの学生たちの馬鹿騒ぎに見える。そして、普通に見える若者たちもまた、「アメリカン・サイコ」の主人公と同じような虚無を抱えていると考えると、こっちのほうが怖いかもしれない。

登場人物はほとんど学生で、大人としては教授が一人登場するけど、こいつもクズ。なかなか潔い。

まとめ

みていて虚しさを感じる映画だった。なんとなく見られるし、退屈はしないけど、観終わってほんとに何もなかったな、と実感した。ただ、昔の記憶なので今見たらまた違った印象があるのかもしれない。

恋愛映画とストレートには呼べないし、コメディとよぶほど笑えたり面白いわけでもない。悲恋ものというわけでもないし…。恋愛映画だったら、同じように沢山の登場人物がでてきて賑やかで、個々の恋愛模様にきちんと焦点を当てた「ラブ・アクチュアリー」でも観たほうがずっと面白いと思う。これはこれで、あらゆるシーンに意味を散りばめてエンターテイメントに徹した真逆の作り。