韓国でリメイクもされるほど人気のスペイン産ドラマ。
まずスペイン産っていうのが新鮮。スペイン語の響きが耳に心地いい。
「教授」と呼ばれる正体不明の男が銀行強盗を計画し、スカウトしたアウトロー達とともに強奪作戦を実行するお話。
標的がただの銀行ではなくて、王立スペイン造幣局というのがいい。金を盗むのではなく、造幣局を掌握して好きなだけお札を刷ってしまおうという大胆な作戦。
教授は銀行強盗を実行する前に、田舎の一軒家にメンバーを集めて作戦の概要と各人それぞれの役割、どのようにことを進めるかをみっちり講義する。どのように銀行に侵入し、何が起き、どうするかを綿密にシミュレーションして、犠牲者を一人も出さない完璧な犯罪をめざす。
講義の様子は実際の作戦行動とシンクロするようにところどころでフラッシュバックされる。事前にわからないため、インサートされる講義の様子によって様々なトラブルが発生しても実はどれも想定済みだった、という教授の抜け目なさが際立つとともに、この展開は果たして想定済みなのか?という緊張感が生まれてなかなかいい。
教授を始め、強盗団メンバーのキャラが立っててなかなか面白い。主人公格のトーキョーはすごい人気みたいで、日本のテレビCMにも出てた。インスタのフォロワー数もえらいことになってるけど、これも多分ペーパー・ハウス放送後のことだと思う。
それくらいヒットしたらしい。
シーズン3以降はちょっと雰囲気が変わる
シーズン2で最初の銀行強盗は終了し、きれいに完結している。
シーズン3からはまた別のストーリーが展開される。ここからはちょっとテイストが変わってくる気がする。
最初の強盗は、教授の計画を元にしてなるべく犠牲を出さずに、という方針で進められた。その割には銃をぶっ放したりやり過ぎ感はあるんだけど。
しかしシーズン3以降は政府との全面的な闘争になっている。メンバーの一人が逮捕され、それを奪還するという最終目標があり、また政府側もヘマを繰り返すわけには行かないので気合を入れてかかってくる。
そのため、前シーズンにあったスマートさはやや薄れ、少々ガサツな部分が出てくる。とはいえ、全体のトーンはそれほど変わらず、なにか手を抜いているとかそういうことはない。
が、武力行使の肉弾戦が頻発するのがすこし残念な感じはした。
気になる点
また前にも指摘したけど字幕に少し改善すべき点が多いのではないかという気がする。役名の統一といった基本的なものだけでなく、ストーリーの理解を妨げかねない誤訳もある。
それから、死んだキャラのナレーションが挟まるのが個人的にはすごい違和感があった。あんた、いったい今どこでそれしゃべってるの?こないだ死んだからこの場面知らないんじゃないの?それとも実はまだ生きてるの?
あとベルリン、人気があったからか登場シーンがどんどん増えて行くのはいいんだが、シーズン1とそれ以降では少しキャラ作りが変わっていった気がする。最初はもっとゲス野郎だった気がするが。
それに関連して、ストーリーそのものがどこまで最初に作られていて、どこまで後付なのかも気になった点だ。これはフラッシュバックを多用する作風にもよるのかもしれない。フラッシュバックを使えば「実はこういうことだったのだ」と気軽に設定を後付することが可能だが、あまりにあからさまだと嘘くさく視聴者を呆れさせてしまう。
ペーパー・ハウスではベルリン絡みの設定は少し後付けが多すぎる気がしたが(教授と兄弟という設定にしてもホントかよと思ったし)、それ以外ではとくに違和感なかったと思う。
まとめ
シーズン終盤では当初のスマートな計画からどんどん逸れていき、どうやってもうまくいかないような八方塞がりの状況が続く。そこをどう切り抜けるのかと思ってみていたが、意外なことに正攻法で真正面から物語を展開させていた。終盤は結構疲れるが、なかなか力強いパワフルな物語だった。一気見もおすすめです。