マインドハンター シーズン2の感想。いよいよ面白くなってきました。

マインドハンターシーズン2。

相変わらずおもしろいよ。ほぼ一気観してしまった。

エピソード数は9話で話数はまえより少ない。ちょっと長めのエピソードなんかもあるけど、もうちょっと楽しんでいたかった。

凶悪犯のインタビュー、メインとなる連続殺人犯、そこに主人公たちのドラマが加わるという構成はほぼ同じ。同じながら、今シーズンから主人公たちのそれぞれのドラマが深化していよいよドラマらしくなってきた感じ。そして実録ものからフィクションへの飛躍が始まったという気がする。

スポンサーリンク

チャールズ・マンソン

インタビューは相変わらずたくみで、面白い。今シーズンのメインはかの有名なチャールズ・マンソン。ごく普通だったはずの大学生をそそのかして冷酷な殺人を指導したかれの素顔が垣間見れます。

このドラマのインタビュー、いったいどの程度、実際のものを再現しているんだろう。全部は知らないけどドラマに出てくるインタビュー対象者はたぶんほぼ実在の犯罪者だし、本物のスクリプトを参考にしてるんだろうとは思うけど。

チャールズ・マンソンはとにかく見た目が似ている。そしてその妙に人を煽るところや、さり気なく自分を実際以上の人物に見せようとするところなんかは面白かった。ちなみにシャロン・テート殺害事件を扱っているタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でも同じ役者がチャールズ・マンソンを演じている。こっちはまだ見てないけど、殺害事件当時の話だからより若いときのチャールズ・マンソンを演じているはず。ほぼ同時期に、同じ人の役を別の作品で演じるってなかなかないよね。それだけこの役者が似てたってことかな。

主人公たちのドラマも徐々に独自の展開が始まってきて、ドラマらしくなってきた。

今回の主役は、デンチ捜査官かな。もともと主人公の1人ではあるけれど、もっとも時間が裂かれていたのがこの人の家庭のエピソードだと思う。なんと、まだ幼い彼の息子が、近所でおきた幼児死亡事件に関わっていたことが発覚。

当時一緒にいたのは近所の年長の少年たちで、赤ちゃんの死因はわからないけれど、デンチの息子の関わり方がちょっとあれで、幼児の遺体を十字架に見立てた?木片に縛り付けることを提案したという。

その後、息子は心を閉ざしてしまい、デンチと奥さんは疲弊し、デンチは平日は仕事でアトランタに入り浸り家に帰るのは週末だけ、奥さんは徐々に疲弊し精神が不安定になっていく。

デンチとしても、ひょっとして息子は、自分たちが研究しているシリアルキラーの典型的なパターンに当てはまるのではないかという恐怖をどこかで感じながら必死で家庭生活を維持しようとする。

しかし激務と問題を抱えた家庭の両立はそう簡単なことではないようです…。

それからチーム唯一の研究者であるウェンディーにも恋のドラマが。こっちのラインは同性愛の話ではありますが、それだけじゃない普遍的な要素がありますね。

行動科学科の立場を巡ってはシーズン1の上司に代わって物分りのいい上司が登場し、事件外の余計ないざこざはなくなりそうな予感。より事件および主人公たちのドラマに集中するということでしょうか。

意外だったのはフォード捜査官のエピソードで、てっきりシーズン1の恋人とのからみがまた出てくるのかと思ったら、それはありませんでした。彼女との話はシーズン1だけでおしまいってことなんですかね。

それからシーズン1後半で参加したスミス捜査官。相変わらず影が薄く、これからなにか活躍してくれるのかどうか気になります。

アトランタ児童連続誘拐殺人事件 (Atlanta child killer)

今回メインとなる事件はアトランタ児童連続誘拐殺人事件。この事件の捜査にFBIが関与してたっていうのは事実ですが、ドラマではその関与の仕方について、当然ですが脚色が加えられているようです。

いつもどおりのインタビューをしつつ、アトランタの事件に協力していく主人公たちですが、その導入も自然で違和感がない。主人公たちの関係性もブレなく描かれているし。

事件発生当初の警察のずさんな捜査を、被害者の家族の怒りで表現したり、ドラマ的にはとても良くできていると思います。その後も犯人の追求がなかなか進まず、かなりフラストレーションの溜まる状況がデンチの家庭の問題と並行して描かれるのでなかなか辛いものがあります。捜査本部が常に埃っぽい映像で描かれたりして。

フォードの考案による犠牲者の追悼行進の場面が、昔のフィルム映像みたいな演出をされていたり、今回は結構積極的な映像表現も使ってますね。ドラマはフィクションだけど事件は実際にあったもので、被害者なんかもすべて実名なので、この場面はそういう現実との地続きの感じがでていてよかったと思いました。

地域住民の事情、警察の事情、証拠不十分なままの逮捕などすっきりしない結末を迎えます。

被害者は28人もいますが、逮捕された容疑者が起訴されたのは2件だか3件の殺人の容疑だけで、あとの件について彼は起訴されていない。つまり立件するだけの確実な証拠がなかった。

容疑者役の俳優は、確実に犯人だとは言い切れない、しかしどう考えても怪しいと思わせるのらりくらりとした言動を微妙に演出していて、そのへんがとてもよかった。

結末は次回に続く感じ。

アトランタの事件はもやっとしてはいるものの一応解決。

そしてBTKキラー。ドラマのトリを務めるであろう彼もちょこちょこ登場して、徐々にその凶暴性、変態性をあらわにしていきます。

そのほか、デンチの家庭の問題なんかを引っ張ったまま、ドラマとしては解決していない最終話にも思えるけど、何もかも次のシーズンにつながっているのでむしろ次回を楽しみに待ちたいという気持ちになりました。

まとめ

最終的にはBTKキラーとの対決になるんだろうけど、すでにそれがなくても主人公たちの魅力で引っ張っていけるドラマになりそうな気がする。もちろん、メインは猟奇殺人、シリアルキラーなので行動分析課の発展にも期待するけど。

それからやっぱり重要だと思うのは、このドラマは連続殺人とか猟奇殺人がネタで、それなりに過激な会話もたくさん出てくるけれど、映像的なハッタリとか扇情的な場面がほとんど、というかまったくないところ。「オーガズモ」という映画みたい。あれもアメリカのポルノ業界を舞台にした下品な傑作コメディだったけど、そのものの映像はなかったとおもう。

そのへんがそんじょそこらの低級な番組とは違っているので、なんというかBTKキラーが女装して自慰にふけっている姿を見て安心して不安を感じられます。びっくりホラーじゃなくて、ほんとの不安を醸し出してくれるというか。音楽もそれに一役買ってると思う。

また、「ゾディアック」を見たくなってきた。

タイトルとURLをコピーしました