トム・クルーズ主演「ジャック・リーチャー ネバー・ゴー・バック」の感想。

ジャック・リーチャーシリーズはアメリカで人気のアクション小説シリーズ。作者はリー・チャイルドというイギリス人なんだけど、アメリカ文化を舞台にした小説を書きたくてこのシリーズを書いたという。今までに19作が書かれ、ベストセラーになっている。

アメリカっぽい小説を描くため、広大なアメリカのどこでも舞台にできるよう主人公は決まった住居を持たない流れ者という設定。しかし、もちろんアクション小説の主人公なので単なる流れ者ではなく、軍の憲兵隊出身の元少佐で、格闘技にも諜報にも秀でていて、たくさんの勲章を持っている。

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ようするに、めちゃくちゃ強いヒーローです。

原作だと寡黙でちょっと強面の大男で、非常に知的でもあるんだけど、なんというか一見落ち着いたプロレスラーみたいな雰囲気を感じさせる。それがトム・クルーズになっちゃってるので、映画での印象は原作とはだいぶ違う。

個人的には、外観も含めた主人公の設定がこのシリーズの魅力でもあると思うので、トム・クルーズ主演になっちゃうと、第二のミッション・インポッシブルみたいな印象になっちゃって、魅力が半減していると思う。トム・クルーズが出てるとなんか緊張感が欠けるというか、コメディ要素がにじみ出てしまう。

でこのジャック・リーチャーの映画化第2弾、「ジャック・リーチャー ネバー・ゴー・バック」ですが。

暇つぶしにはもってこいだけど、それほど面白くない。

良くできている。脚本も台詞とかまできっちりできているし、アクションもあるし、カタルシスもあるし。しかし、全体的に非常にタルい映画で、まあビール片手に眺めるのがちょうどいい娯楽映画という位置づけだろうか。

この映画の欠点でもあり、いい点でもあるのは、主人公のジャック・リーチャーが基本的に最強である、という点。

尾行されてもすぐ気付くし、もちろん尾行者は余裕で片付けるし、相手の先を読んで奇襲するし・・・悪い意味で緊張感がない。演出としての緊迫感はあるんだけど、どうせトム・クルーズが勝つことが分かりきっているので真面目にハラハラすることはない。ただ、それがいい点でもあって、主人公の最強ぶりを楽しんでスカッとするのにはもってこい。

今回はパートナーの女性も結構活躍する。この人も憲兵隊の少佐で、あらぬ容疑をかけられて勾留されていたところをリーチャーに助けられ、一緒に逃走する。

もちろん冤罪なので、逃げながら二人で本当の黒幕を突き止めるんだけど、パートナーの女性も戦闘能力的に強い人なので、もう最強の二人といった様子になっている。

おまけに、一緒に行動することになる15歳の娘っ子も、機転が利き割と自助能力高そうな人なので、敵に襲われようが何しようがもう見ていて妙なことだが安心感しかない。

さらに、この少女がジャック・リーチャーの娘である可能性があることで、安っぽい親子関係ドラマもねじ込まれてくる。

笑えるシーンもいくつか入ってくるし、やっぱり、全体的に非常にヌルいアクション映画に仕上がっている。

演出は悪くないんだけど、根本的なストーリーが陳腐なんだと思う。黒幕や事件の動機も、なんだかなぁという感想しか浮かばない。軍の輸送機を使ってアフガンから麻薬を密輸していて、それに民間の軍事会社が協力していて、黒幕は軍の将軍だった、って、リアリティがあるとは思えない。

それと、そのへんに主人公の娘という要素が関係してこないのでちょっとものたりない。

もうひとつ、なにかあればと思ってしまう物足りなさ。

リアリティ=おもしろさではないのでべつにリアルじゃなくてもいいし、この映画にそもそもリアリティを期待はしていないので結構楽しく見られるのですが、やっぱりもう少ししまった部分が欲しくなるのは事実。あまりにスムーズにことが運び過ぎてしまい、逆に爽快感が抜けてしまう。やっぱり困難を乗り越える所にカタルシスが生じるのであって、最初から余裕でゴールにたどりだろ、と思ってしまうとちょっと興ざめしてしまう。

それから、ジャック・リーチャーは常に決まった住所を持たず、ヒロインと決定的な関係になることもなくどこかに去っていく。見ていてなんとなく、この映画がアクション版「男はつらいよ」みたいに思えることがある。原作ではそういう雰囲気は感じられないので、これはトム・クルーズの個性のなせる技だと思う。

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