投資信託を買う前に読んだ本その1「全面改訂 ほったらかし投資術」

銀行に金を預けても利息は雀の涙だし、どうするかなーと考えて結局投資信託に落ち着いた。実際に投資信託にたどり着くまでに三冊の本を読んだ。それらの本の感想を記録。

1冊目は、「全面改訂 ほったらかし投資術」。朝日新書、821円。

この本のよかったところは投資をする上で必要になる手続きや口座開設、投資信託の買い方について具体的にどうすればいいか書いてあるところ。この本だけで、実際に投資をはじめることができると思う。

さらにインデックスファンドを薦めていること、確定拠出年金を薦めていること、投資信託の購入手数料や高すぎる信託報酬を歯に衣着せずに断罪しているところ。このへんで、具体的にどのように、何に投資すればいいのかだいたい分かるようになってくる。証券会社や銀行は鬼門であると断言していて、歯切れがいい。

この本でおすすめされている方針を要約すると、

  • インデックスファンドを中心に投資
  • 配分は国内株半分と国外株半分
  • 債券は要らない
  • ある程度の金額になったらETFにリレー(買い換え)

となる。

しかし、この方針はすでに「ほったらかし」を標榜するには面倒くさすぎるように感じられた。もっとも問題なのがETFを薦めている点。ETFは、雑に言うと株式売買と同じような買い方で投資信託を買えるもので、投資信託に比べて信託報酬が相当低いものが多い。そのため同じ投資内容のETFと投資信託を比べれば、ETFのほうがよい成績になる。

ただし、ETFの売買にはそれ以外にいろいろなめんどくささと費用がついて回る。積み立てができなかったり、購入時に手数料が必要だったり。さらに海外のETFは信託報酬が極端に低いものもあるが、海外ETFは為替の問題や税金控除の手続きなどがついて回る。

確かにある程度の金額になれば購入手数料やもとの投資信託の売却益にかかる税金を考慮にいれてもETFに切り替えたほうが有利なんだろうが、はっきりいって面倒くさすぎる。それに、最近はインデックスファンドでもかなり信託報酬の少ないものが出ているので、ETFの優位性はすこし薄れてきている(ETFが優位になるためには相応の金額が必要になる)。

そして、国内株と国外株半々の根拠がよく分からない。しかも、それをリバランスしなければいけない。それって、面倒くさいのではないですか?

この本の著者の一人である山崎元氏の考え方は少し理屈が勝ちすぎているところがある。たしかに、そのようにやればもっとも効率よく理論的にはバランスのよい投資ができるのかもしれない。しかし、ETFやリバランスは、ほったらかしとは言えない。ETFやリバランスは上級編、ということにしてやれば怖じ気づく読者もへったろうに、と思います。しかし山崎氏にはどこかお茶目なところがありなかなか憎めないいいキャラだと思う。

この本を読んでわたしが最終的にいいなと思った方針は、結局「バランスファンドを積立てる」というものでした。

わたしほどものぐさでなく、また資金も余裕がある人にとっては、この本に書かれているETFも具体的な選択肢として考慮すべきものになるだろう。わたしにはETF購入にまつわる諸々の手続きが面倒くさすぎるし、購入手数料をカバーできるほどの投資額もないので、やらない。

なお山崎氏は余裕資金がある場合には一括投資を薦めている。確かに理屈から言うと、ほったらかし投資は長期的にみて経済がこれからも成長するという前提に立っているので、それも理にかなっている。暴落も予測できないので待っていても仕方ない。しかしリーマンショックを目の当たりにした経験からするとどうも全部一括で投資するのが恐いという気持ちも理解できる。わたしは、余裕があれば半分くらい初期に投資して、あとはまたじょじょに積んでいけばいいのかな、と思った。理想的には暴落を待ってその時に一括投資だが、それができればだれも苦労しない・・・。

というわけで、基本的な投資の考え方も含めて、日本で投資信託に投資するときには具体的にどうすればいいのかがわかりやすく書かれているので入門書としてはこれは非常におすすめできます。これを読んで、自分はどうしたいのか考えてみれば投資信託を買う際には他になにも読む必要なないのではないか、と思いました。

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