小説、本

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小林泰三「安楽探偵」の感想。

これも連作短編集。タイトル通り、オフィスに居ながらにして依頼人の証言だけで事件を解決する「先生」の話。先生と依頼人の会話、それと「助手」の合いの手で進んでいくお話です。 この本は小林泰三の作品の中ではやや小粒で、出来としては中の上くらいだと思う。しかし、この短編集には連作のよさがとてもよく現れている...
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麻耶雄嵩「鴉」の感想。

本格推理をよく知らない私が手を出していいのかわかりませんが、率直な感想。 まず、主人公の名前が珂允(かいん)で、弟が襾鈴(あべる)。弟の死の謎を解きに珂允が向かったのは文明から孤絶した山奥の村で、村人はみんな和服を着ている。テレビはおろかガス水道もなく、電気が通ってない。で、探偵役の名前がメルカトル...
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「ぼぎわんが、来る」の感想。

日本ホラー小説大賞を審査員の満場一致の賞賛を受け受賞したという。どれほど面白いのか、試しに読んでみました。 まあまあといったところでしょうか。 第一章で感じる違和感はちゃんと解消されます 著者は新人ということで、まず気になったのは第一章です。これ、読んでて主人公に反感を持ってしまうのですが、果たして...
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「記憶破断者」の感想。メメントより面白いと思いました。

小林泰三の「記憶破断者」を読みました。前向性健忘症の患者を主人公にしたお話。記憶は著者の大きな関心ごとのようで、似たテーマの話はいろいろとあるようです。この本は前向性健忘症を扱っていますが、その症例や記憶自体をテーマにしているのではなく、それを利用したサスペンス・ホラー小説になっています。 追記:幻...
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「世界城」の感想。面白いです。世界観がいい。この舞台のいろんな話が読みたくなる。

世界城。相変わらず、舞台設定が面白い。 「天獄と地国」みたいな科学的に緻密に計算された環境ではないんだけど、舞台を取り巻く政治情勢とか、この世界がどのように成り立ったのかはそれなりに考えられているみたい。 なので、なおさらこの小説の「第一部」完っぽさが惜しまれ、続きが読みたくなる。 舞台設定がおもし...
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「失われた過去と未来の犯罪」の感想。ミステリじゃないけど、アイデンティティにまつわる面白いSF小説。

「SFミステリ」と書いてあるけど、そうじゃない。長編のように見えるけれど、実際には連作短編集といったほうが正確だと思う。ミステリ、といわれたときに期待するような要素もなく、こういう宣伝文句は内容を誤解させそうなのでやめたほうがいいのではないでしょうか。 同じ小林泰三の「密室・殺人」も本格ミステリだっ...
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「惨劇アルバム」の感想。なかなかいい雰囲気のホラー短編集。

小林泰三の連作短編集。 表紙が御茶漬海苔というけっこうグロいホラー漫画家の絵で、タイトルも「惨劇アルバム」なのでさぞ陰惨な物語が展開されるのかと思ってしまうが、そうではない。 どっちかというと狐につままれたような、どこまでが本当でどこまでが幻なのかわからないような幻惑的な内容のお話で、グロ成分は控え...
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「ネフィリム 超吸血幻想譚」の感想。人間vs吸血鬼vsもっと強い敵。

小林泰三の吸血鬼もの。 ジャンルとしては同じ作者の「人造救世主」三部作に近いアクションもの。吸血鬼ものであるのですが、耽美なタイプではなく、印象的には強いて言えば映画の「ブレイド」みたいなタイプかな。全体的に暗めな色調のなかで、わりかし派手なアクションが連発する感じです。どっちかというと伝奇小説とい...
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小林泰三「酔歩する男」の感想。自殺した菟原手児奈をめぐる、波動関数の拡散によるタイムトラベルもの。

「玩具修理者」とセットになって収録されている「酔歩する男」。文庫のタイトルは「玩具修理者」ですが、こちらは正味30ページちょっとの短編なのにたいし「酔歩する男」は170ページ位あって、むしろこっちのほうが長い。 物語も、これも著者らしさがよく出ている印象的な作品になっていると思います。 タイムトラベ...
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小林泰三「玩具修理者」の感想。

その昔、角川の第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した短編。(ちなみにこのときの長編はパラサイト・イヴ) これと中編「酔歩する男」の二編で「玩具修理者」として出版されていて、どちらも小林泰三の名を知らしめた名作です。いまさらながら感想を書きたいと思います。 玩具修理者の感想。 まず「玩具修理者」。こ...
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