小説、本

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「Xと云う患者」の感想。芥川龍之介とノワールの邂逅。「暗黒の詩学」が狂いゆく龍之介の心象風景によくあっています。

芥川龍之介にまつわる短編集。龍之介が主人公で、面白いのは芥川龍之介自身の小説を利用して構成されているところ。内容も、基本的に事実というかいろんな伝聞やエッセイなどに現れる芥川龍之介を描いているので伝記的な作品でもある。芥川龍之介がどんどん狂っていって自分の小説に取り込まれていくような。 芥川龍之介の...
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赤松利市「らんちう」の感想。貧困、洗脳セミナー。社会派ミステリ。

たまたま買ったミステリマガジンで読んだ著者の経歴がとても面白く、それで興味をもって買った本。小説家になるまでが波乱万丈です。 結構すごい波乱万丈の経歴。 新卒で消費者金融に入社、七年後に本社勤務、さらに支店長となり大きな仕事をまかされ毎日朝四時まで残業してスーパー銭湯で眠るような生活のあげく、半年で...
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ジョン・ウィンダム「トリフィド時代」の感想。ゾンビの元相とも思える社会派SF、心地よい破滅ものの古典。

ジョン・ウィンダムの古典的SF小説、「トリフィド時代」。「トリフィドの日」というタイトルでも出ている。映画版は「人類SOS!」というなかなかの邦題がつけられています。新訳がでたということで、読んでみました。 これはとても有名なSF小説で、いわゆる心地よい破滅もの(コージー・カタストロフ)の代表作。で...
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陸秋槎「元年春之祭(がんねんはるのまつり)」の感想。中国、歴史、少女、本格ミステリの傑作。

ふだん、どっちかというとアメリカイギリスの本を多く読んでいると、別の文化の本も無性に読みたくなることがある。文章のリズムが違う気がして、やっぱりどちらも魅力的。 で陸秋槎の「元年春之祭」。作者自ら怪作と呼ぶだけあって、かなり独特な読後感を残すインパクトの強い本でした。おもうに、それまで小説を書いたこ...
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「C市からの呼び声」の感想。ちょっと笑えるクトゥルフホラーで、酔歩する男、玩具修理者の続編でもある。

小林泰三の原点とも言える「玩具修理者」。日本ホラー小説大賞の短編賞をとったこの短編、実は思いっきりクトゥルフ神話体系に組み込まれたお話でした。けっこう売れてる本だと思うのですが、日本のクトゥルフものとしてはかなりメジャーなお話なのではないでしょうか。 他の小説でもそこここにクトゥルフの影がちらつく小...
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小林泰三「人外サーカス」の感想。なんと、ネフィリムの続編。

帯を見ると、サーカス団が森で吸血鬼と戦う話。なにか秘密もあるらしい。 吸血鬼?吸血鬼というと、同作者では「ネフィリム 超吸血幻想譚」というヴァンパイアものがすでにあるんですが、まさかあれの続編なんでしょうか。タイトルからして全然雰囲気ちがうけど。 そんなことを思いながら読み始めてみると、なんと思いっ...
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「高慢と偏見、そして殺人」の感想。高慢と偏見(自負と偏見)の続編で、ダーシーとエリザベスが殺人事件に巻き込まれます。ドラマ化されてます。

P・D・ジェイムズが90歳をこえてから発表した作品。それだけでもけっこうびっくりなんだけど、それがイギリス文学の傑作「高慢と偏見」の続編ということでなおさらびっくり。 高慢と偏見とは。 「高慢と偏見」についてざっと説明。ジェーン・オースティンという女性がかいた小説で、貴族間の身分を超えた恋愛/結婚を...
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小林泰三「ドロシイ殺し」の感想。ファンは必読。「玩具修理者」「酔歩する男」関連作です。

小林泰三のおとぎの国シリーズ?「ドロシイ殺し」です。 アリス殺し、クララ殺しに続いておとぎの国シリーズになるんでしょうか。こんかいはドロシイ殺しということで、有名どころのオズの魔法使いがネタ元になりました。 独特の世界が魅力のシリーズ。 主人公である井森の活躍しているのかしていないのかわからないキャ...
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ポール・オースター「トゥルー・ストーリーズ」の感想。ジャージー・コジンスキーがでてきてびっくり。

面白くなるように脚色しているから面白いのか、それとも当たり前の出来事でもさも面白い話のように語る口調が面白いのか。 内田百閒の文章は、ただ電車に乗った、というようなことを書いてるだけなのに面白い。これは8割位は文章の力で、些細な出来事、当たり前の行動をことさら針小棒大に書いてみせたり、あるいはいきな...
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小林泰三「パラレルワールド」の感想。

「失われた過去と未来の犯罪」と「記憶破断者」を足して半分に割ったようなお話でした。 構造としては「失われた過去と未来の犯罪」と同じく前半で物語の舞台装置が提示され、後半で展開されるのは「記憶破断者」のような特殊能力者の戦い。 一粒で二度美味しいともとも取れるし、各要素がちょっとあっさりしていて物足り...
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