キングの短編、If it breeds…の感想。

キングの勢いが止まらないですね。

ビリー・サマーズは映画化企画が進行中。シュワルツェネッガー主演で過去に映画化された「バトルランナー」、原題ラニングマンはエドガー・ライト監督で公開間近、予告編を見る限りかなり期待できそう。映画のリメイクっぽい雰囲気もあってアクション満載ながら、原作のテイストもありそう。

そして死のロングウォークも今年公開予定、これはどんな雰囲気になるのかちょっと気になる。さらにスタンドを新たに映画版でやろうって企画、まだ頓挫してないみたい。こないだのドラマシリーズはどうやらコケたっぽいが、ほんとうに映画版がでるんだろうか。ダグ・リーマンか監督らしいが。

そしてダークタワーもほんとにドラマ化らしい。前回の映画版は、ファンタジーアクションとしてはふつうに楽しめた。しかし、ダークタワーということで期待していたファンにとってはまったく的はずれな作品だったであろうことは想像に固くない。ドラマ版はアマゾンスタジオが手掛けるらしく、監督は安定のマイク・フラナガン。そしてドラマ+映画版という豪華な構成で、長大な原作をきっちり映像化してくれるのか今から楽しみ。

その他にもいっぱい映像化されてて、「異能機関」は先日公開されてかなり評判いいらしい。

“If it breeds…” という短編集からは”Mr. Harrigan’s Phone(ハリガン氏の電話)” がすでに映像化されてる。さらに同短編集の”The Life of Chuck”も2024年にドラマ化、これも不思議SF系のお話だったが評判はいいみたい。

この短編集に入っている表題作が”If it breeds…”で、これが他の短編と違うのは、主人公がホリーである点だ。つまり、シリーズものの一つと言っていい。

このホリーはキングにとっても近年稀に見るお気に入りキャラクターのようで、メルセデス3部作に登場し、主人公のビル・ホッジズに劣らない活躍を見せ、アウトサイダーでも中盤から実質的な主役として活躍をし、If it breeds…で短編に出たあとにはその名も”Holly”というホリーを主人公にした長編が書かれている。

かなり癖のあるキャラクターで、すでにドラマ化されているメルセデス3部作とアウトサイダーではそれぞれ違う役者が演じていたが、どちらも原作とは少し設定を変えているが、どっちも悪くないと思う。

で、If it breeds…をようやく読んだのでその感想。

まず「ハリガン氏の電話」は、古典的ホラー「猿の手」かと思わせながらそこで終わらず、ホラーというより老いや年を経ることにまつわるドラマって感じがする。ネットフリックスの映像化は見てなかったけど、ドナルド・サザーランドがハリガンを演じるらしく興味があるので今度見てみたい。

“The Life of Chuck”は、世界に異変が起きてどうやら世界が終りを迎えるらしい雰囲気のなか、どうやらその世界はチャックという人物の頭の中のものらしいことがわかり、チャックという人物の過去が描かれていく。不思議系のファンタジーで、そこら中にチャックの写真が現れる妙な世界観からどんな話なんだ?と当惑しながら読み進めるが、途中のダンスシーンなどは引き込まれキングの筆力にあらためて感心。

で、If it breeds…ですが。安定のホリー・ギブニーって感じでした。彼女が登場する他の作品と同じく、現在形できびきび進み、常識ではありえない事象を丹念に追っていき、事実を明らかにしていく。

過去の作品で、どうやらこの世界にはシェイプシフターがいるのは間違いないらしいとはわかっているんだが、それでも着実に証拠を集めていく姿勢がこれまでの作品に共通している。今回新たな要素としては、ホリーの他に、そういう化け物がいるってことに気がついて、独自に調査を進めていた老人+息子の二人組が登場することかな。

途中に毒親であるホリーの母や、痴呆になってしまったおじさんとの交流を挟みつつ、独自に調査を進めるホリー。相手が相手だけに、友人であるジェロームやその妹バーバラを近づけないよう、行き先を告げずに調査を続けるが…。

ちょっともどかしい感じも他作品と同じ、さらにサスペンスもきっちり盛り込んでかなり満足できるお話でした。人によっては既視感を感じてしまうかも。

そのあとRatという短編があるんですが、こちらはまだ冒頭しか読んでません。どうも、これもベン・スティラーが映像化権を獲得したっぽいです。

一体どうなってるんだキング。すごすぎる。

 

そして「異能機関」はドラマ版が公開され、かなり出来はいいみたいだ。

タイトルとURLをコピーしました