「ぼぎわんが、来る」の感想。

日本ホラー小説大賞を審査員の満場一致の賞賛を受け受賞したという。どれほど面白いのか、試しに読んでみました。

まあまあといったところでしょうか。

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第一章で感じる違和感はちゃんと解消されます

著者は新人ということで、まず気になったのは第一章です。これ、読んでて主人公に反感を持ってしまうのですが、果たしてこれは狙ってやってることなのか、それとも…。意図的でなく主人公を描いてここまで嫌悪感を抱かせるのはある意味すごいんだけど。主人公が書くブログとか。

まあ審査員絶賛ということだから筆が下手ということはなく、狙いがあってのことなんだろうと少しドキドキしながら読み勧めましたが、心配は杞憂でした。ちゃんと著者の狙い通りだったのでした。そして、そのあたりが明らかになる第一章から第二章への切り替えは見事。このあたりから安心して物語に没頭できました。

あとはストレートなお化け話です

子供の頃に昔話で聞かされていたぼぎわんという妖怪が、おとなになってからやってくる話。ぼぎわんの正体はなにか、それがなぜいまさらやってくるのか、という謎を交えつつ語られます。

どうにかしてその化物を遠ざけようとする話で、「リング」タイプに分類される話かもしれません。「リング」はもう古典のような存在になってしまいましたね。

主人公はぼぎわんにつきまとわれる家族。一家をサポートするのが霊能力者の真琴と、その恋人で三流オカルトライターの野崎。この三者が協力してぼぎわんに対処するんですが、二章までと三章まででかなりテイストが変わります。

正確には、三章で女霊媒師が登場するまでとそれ以降。なんというか、「貞子vs伽椰子」のノリというか、あまりにも真正面から対妖怪人員としての霊媒師が登場してしまい驚きました。あるいはもうちょっとシリアスなものだと「インシディアス」とか。まあこういうノリに抵抗がある人でも、そこに至るまでには物語に引き込まれてるのであとは勢いで読み進められると思いますけど。

あまりにもストレートに、力技で化物と戦います

霊媒師の正体は前半でも言及されている真琴のお姉ちゃん。この人の正体についてはひょっとして「すでに死んでるんじゃないか?」と思わせるような描写だったんですが、そういう予想を逆方向に覆すお姉ちゃんでした。お姉ちゃんと警察の偉い人のやりとりとか笑ってしまうんですけど。

それ以降、結末の付け方については、まあうまくまとめた感じはしますが個人的には別に怖くもないし、ラストも含めてもう一ひねりしてほしかった。審査員絶賛というのは、たぶん一般受けする読みやすさ、この本を受け入れられる層の広さも考慮にいれてのことなんだろうなと思います。

個人的によかったところ

でも個人的には、ぼぎわんとは直接関係ない部分かもしれないけど、一章と二章の語りのギャップが一番おもしろかった。

それから三章で野崎を主人公に設定しているところ。やっとまともな主人公が登場した、という感じ。一章ではある意味脳天気な田原秀樹が主人公で、かれが妻と子のために行動するわけですが、野崎の彼女である真琴は子供が産めない体なんです。そして野崎は三流オカルトライター。この辺も、田原やその家族との対比によってキャラが際立っていると思います。

まとめ

三章がこの小説としては一番盛り上がるところであり、そしてちょっとありきたりというかひねりのない部分でもあります。最後まで読みやすいのでついつい読んでしまうものの、あまりにあっけないというか。一章で見せてくれたようなでかいひっかけがもう一つあればもっと印象深いものになったかな。

でもキャラもできてるし、読みやすいし及第点は超えてます。日本ホラー小説大賞はどっちかというとニッチなものじゃなくて一般に理解されるホラーを目指しているようなので、そのニーズにはピッタリだと思う。

この小説はさっそく映画化されるけど、キャラクター的にはシリーズ化されてもおかしくないと思います。