スティーブン・キングの「It」予告編、日本版公開。ネタバレありの追記+ストラウブの小説との類似点。

2017/11/6追記:映画を見ました。感想はこちら。

「It(イット)」映画版の感想。必見。原作ファンとしては傑作。ホラー映画としても優秀。青春映画としても優秀。
11月3日公開の「It(イット) それが見えたら、終わり」を見ました。 斎戒沐浴して身を清め十分な睡眠をとった上で見に行くはずだったのですが、前日にビール2リットル以上飲んで寝不足で1日働いた帰りに夕飯も食べずに見ることになってしまいました。 原作好きでも楽しめる。変更点は多いものの、原作愛に満ちた...

2017/09/09追記:

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It/イットの日本語版予告編、なかなか興味をそそる。

さて、日本語版の予告も公開され、公開も11月に決まり、俄然盛り上がってきたスティーブン・キングのイットです。

日本版のキャッチコピーは「それが見えたら、終わり。」というもの。いかにも日本ホラー的な怖さでいいと思います。予告編のピエロの推し具合も、若干誤解を生むような気もしますがびびらせる溜めに這いかと思います。でもスティーブン・キングの最恐小説、というのはさすがに煽りすぎでしょう。最強小説、なら納得しますが。あと、やっぱり予告編の公開24時間で1億9700万回再生、ってやっぱり書いてあるけど、本当なんでしょうか。どうにも信じがたい。ちなみに、上の日本語版の予告編は9/9現在で46,000回の再生です・・・

個人的な意見を言わせてもらえば、Itはホラーと言うより、スタンド・バイ・ミーの強化版。原作も、以前のテレビドラマ版も、ラストは涙してしまう。なのであまりにホラーを強調するのも考え物な気がします。しかし、今回の映画版はどうなるかわかりません。ひょっとしたらものすごいホラーになっているのかもしれない。

It/イットの関連作品?の紹介。ネタバレ有り。

ところで、キングの盟友ストラウブがかいた「フローティング・ドラゴン」という小説があります。これと「イット」、ところどころにている所があって面白いなと思ってまえにも紹介したのですが、イット映画化に乗じてちょっとここでも紹介。

似ているといっても、パクリとかインスパイアとかそういう話ではありません。

キングとストラウブが同じホラーの書き手で、友人でもあるので、互いの小説に影響を受けているというのは当然です。共作もしてるし。またIt、「フローティング・ドラゴン」のどちらも、大きな物語の類型に当てはめることができ、どれがどれを真似た、とかそういうことではありません。キングの「呪われた町」、ストラウブの「ゴースト・ストーリー」、どれも同じタイプの話で、似ていると言えば似ています。

まず前提として、「フローティング・ドラゴン」は1982年で、イットよりも早い。

なにが似ているかというと、災害の元凶。イットは28年周期でデリーという町に現われるなぞの化け物でした。先のテレビシリーズではついに現われたその姿がおっきな蜘蛛というちょっと残念な姿で、皆さんの不興を買ったようですが、映画版はどうなるのでしょうか。それはともかく、「フローティング・ドラゴン」ではやはり、とある町に30年くらいの周期で現われるなぞの化け物がすべての災厄の原因となっており、その姿は伝説上の生物であるドラゴンになっています。蜘蛛よりは迫力あるかな。

なおイットでは、キングの小説でおなじみのデリーという町が大変なことになってしまいますが、「フローティング・ドラゴン」ではハムステッドという町がめちゃくちゃになります。イットでは、下水が噴出してトイレにいたおばあちゃんを吹き飛ばしたり、悪の影響を感じさせながらも現実感のある描写で町がおかしくなっていきましたが、「フローティング・ドラゴン」の場合は実際に人が死んだりめちゃくちゃになるのですが、どこか夢幻的、白昼夢的な雰囲気が漂っているのが違うところです。

あと、主人公たちが数人あつまって、強大な悪に立ち向かう、という筋書きは同じで、その細部もちょっと似ています。

例えば、その悪が30年くらいの周期で定期的に現われていた点。これは両者に共通しています。

イットでは、主人公たちは少年時代に一度その悪と遭遇し、30年近く後になって再びそれと対峙します。フローティング・ドラゴンの場合、主人公は大人も子供も交じっていますが、全員が過去に災厄のあったハムステッドに因縁があり、それが偶然、ハムステッドで出会うことになります。この周期的に立ち現れる悪、とい図式と、それに一度ではなく二度関わる、という点が似ています。

それと、チュードの儀式。

イットではチュードの儀式という箇所があって、少年時代の最後、負け犬グループの唯一の女性であるベヴと、他の男性陣が順番にセックスする場面がある。(←2017/11/6追記:これはわたしの勘違いで、この行為≠チュードの儀式でした。チュードの儀式はイットとの対決そのもので、この行為は、その後に行われる。)

これをきくと「ええっ?!」て思うかもしれませんが、初めて読んだときはわたしも「ええっ?!」て思いました。ちなみに本人たちはそのことをすっかり忘れていて、大人になって、再びイットに対峙するときにようやく思い出す。その儀式の意味とかについては、原作を読んでください。たんに大人になるためとかそういうことを超えたニュアンスが含まれていて、なんだかよくわからないけど感心します。

そして、この突飛なキングならではと思える場面にも、「フローティング・ドラゴン」になんとなく似た場面があります。それは主人公の一人、パッツィと、他の男性陣との繋がりを感じるシーン。パッツィは唯一の女性で、一番特殊な力が強い。その力をほかの人たちに分け与えるシーンがあって、それがmarryと表現されている。ここはよんでてイットを思い浮かべた。
それからイットのイメージで、風船がぷかぷか浮かんでいる、というものがある。予告編でも”You’ll float too”という台詞が出てくるけど、人間が風船のようにぷかぷか浮かんでいる、というイメージがイットにはある。いうまでもなく、このfloatという言葉、”Floating Dragon”と通じるものがありますよね。

というわけで、町一個崩壊する、という大雑把な筋立てをみても、なんか共通点があるなあ、と思ったのでした。その割にはこの類似に言及しているのをみた記憶がない。ひょっとしたら完全な勘違いかもしれませんが。

以上、予告編をみて思い出した、フローティング・ドラゴンとの類似点でした。「フローティング・ドラゴン」については以下の感想もお読み下さい。

ピーター・ストラウブ「フローティング・ドラゴン」その1
「フローティング・ドラゴン」”Floating Dragon”はピーター・ストラウブが1982年に発表したホラー小説。 海岸沿いのハムステッドという町を襲う災厄を描いたホラー小説で、表面的には怪異の原因が三層になっていて、 まず連続殺人鬼が野放しになっていて何人もの犠牲者が出ているという問題があり、...
ピーター・ストラウブ「フローティング・ドラゴン」その2
ストラウブの「フローティング・ドラゴン」の感想。読んでいて思い出した小説があった。 この小説を読んでいて思い浮かぶのは、ジェームズ・ハーバートの「霧」とキングの「IT」。 「霧」はイギリスの小説で、地震で政府の化学兵器が漏れ出し、それが霧状に流れてロンドンとかを覆い、それを吸った人はみな発狂しておか...

以上、追記終わりです。

舞台背景は原作の1950年代から変更されて、1989年になっていました。すみません。劇中、映画館で「リーサルウェポン2」「バットマン」がかかっているのがわかるシーンがあるそうです。平成元年、バブルの絶頂期でしょうか・・・。

アメリカでは9月に公開だそうです。

この映画も監督が変わったりいろいろ紆余曲折がありましたが、ついにティーザーが公開され、それを見る限りでは撮影も終わっている様子でどうやら無事に公開されそうです。

予告編2億回再生って、ほんとうですか?

この予告編、公開24時間で(オンラインで)もっともたくさん見られた予告編として記録を更新したそうです。その数、197,000,000回以上。ほんとかよって話ですが、ダークタワーが公開延期になったりしてどうも出来映えやその後の展開に一抹の不安を感じるなかで、ひとまずほっとできるところですね。

こちらがその予告編です。

こうしてみると、昔のテレビシリーズと雰囲気が結構似ている。時代設定とかはいじらずそのままだろうから、当たり前か。子供時代のベヴァリーが赤毛のショートになっている。なんかピエロが悪役のどっきりホラーみたいになっているのは、まあ仕方ないところか。

今回描かれるのは原作「IT」の主人公たちの子供時代のみ。その点が昔のテレビシリーズと比べると残念ですが、R指定だし、ピエロの怖さも十分のようなので、テレビよりも突っ込んだ描写に期待。でもセックスとかおならに火を付けるとか、そういうのはたぶんカットされるのかな。

なお、twitterによるとスティーブン・キング自身も出来映えに満足してる様子。そこで「ITのパート1」、といっているので、当然続編も検討されているんでしょう。大人編が映画化されるのかどうかについては、すでに撮影にはいっているのでは、という未確認情報もありますが監督の話によると続編制作自体まだ決定ではないようです。この予告編が記録的な試聴回数だったことで、本編の結果をまたずにパート2の企画にゴーサインが出たりしたらうれしい。

そもそも「IT」とは。

ところで「It」とは。スティーブン・キングの長編小説で、文庫は4巻に分かれいるくらい長い。デリーの街を舞台に、主人公たち「負け犬クラブ」の少年少女が28年に一度現われる怪物対峙する話。主人公たちの子供時代の1950年代と、かれらが大人になってからの1980年代の物語が交互に進行し、さらに沢山の挿話が差し挟まれるパワフルな小説。

このごちゃごちゃ感が苦手で分かりづらい、という意見もあるようですが、個人的にはそれがいい。同時進行していて最後に交差する構成が好きだった。スティーブン・キングはとかく筆力がすごいとかいわれますが、それはこのITにもっとも当てはまるように思います。

前のテレビのミニシリーズでもだいたい子供編、大人編に分かれていました。

テレビシリーズはちゃちいという意見をちょくちょく見ますが、個人的にはとてもよくできていると思います。少なくとも4回は見た。(原作は3回は読んだけど、けっこううろ覚え。)たしかに、クライマックスの特撮はしょぼい。しかし、原作ラストみたいな肉体、精神の垣根を超越したような描写とか、最後にさらっと箇条書きみたいに街をめちゃくちゃにするのはどだい無理なので。むしろそのあとのラストシーンがじーんときて好きなんだよな。

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